イタリア人の夏バカンスの過ごし方:知的な質素さに注目

イタリア

夏休み期間中にイタリアを訪れた人はがっかりする光景を見たことがあるかもしれない。
街はシャッターが閉まっている店舗が多く、「夏季休暇中」のサインを掲げている。
せっかくイタリアまできたのに!と残念な思いした人もいるだろう。

イタリア人は働かない、というイメージがあるのは、まさにこの夏のバカンスのせいもあるかもしれない。

イタリアは有給休暇で4週間の休暇を取得することができる。夏に一気に消化する人も少なくないので、長期休暇は夏に当てられることが多い。それがバカンスに充当されるのだろう。

そして今年は世界各国が行動制限を解除しているので、ここ数年間我慢していた旅行熱が燃え上がるのも致し方ない。

インフレの不安は拭えない中で、いったいイタリア人はどこを目指して夏休みを過ごすのか。

2023年イタリア人の夏休みは意外と質素

著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年8月7日

インフレ渦中でどこいくイタリア人の夏休み2023年

イタリアの観光状況を観察する機関コンフコメルチョ(Confcomercio)は、6月から9月の間において、18歳から74歳までの3千万人のイタリア人が観光旅行を予約していると発表。そして、イタリア国内外を含めて6,300万人が出発するという。その売上金額は総計450億ユーロ(約7兆円)で、一人当たりの旅行予算は1130ユーロ(約175,150円)となっており、昨年の2022年の10%の増加となった。

のんびり過ごすことを目的とし、主な旅先としては圧倒的に海が人気で24%を占める。

その次に芸術や文化を楽しめる都市への訪問が15%。小さな村で過ごすが11%。そして最後に山(11%)の順に人気がある。

夏休みは人も動けばお金も動く。

パンデミック後は安近短なイタリアスタイル

「海外」という言葉は飛行機に乗ってどこか遠くへというが、日本の漢字の成り立ちからし、そう考えてしまうのも無理はない。なにせ海の外は海外である。一方のイタリアは半島の成り立ちになっているので、海外という外国は車でいけてしまう。最も近いところでは、フランス、スイス、オーストリア、スロベニア、クロアチア、リヒテンシュタインなどが国境に控えている。

そういう地理的要因を前提に、イタリア人の今年は56%の人がイタリア国内で過ごすとする。2022年時は4人のうち3人が国外へ出ることを好まなかった時代からは、少し外向きになってきたのは見受けられるが、さほど遠くへ行くということもなさそうだ。

旅行で使う金額も、6月、7月、8月の出発では全く価格が変わるが、ピークの8月出発で平均920ユーロ(約142,600円)を費やす。イタリア人の場合は、目的地で散財するということはせずに、宿泊先もホテルよりはB&Bや友人を頼ったり、2人に1人は出費を抑えた行動をしたいと倹約志向が目立つ。

実は蓋を開けてみると質素なイタリア人の休暇だったりするのだ。

夏休みとイタリア人の生活スタイルの変化

イタリアの学校は6月前半には終了となり、9月なかばから新学期がはじまる。なので、夏休みが3ヶ月もある。

このような長期休暇は子どもだけとはいえ、子どもの休暇に親が翻弄するのは世界各国共通であり、サマースクールだったり、それこそ祖父母や親戚を頼りにしながら働くケースも様々だが、その間に家族全員でも少なくても2週間、いや10日はどこかでのんびり過ごすのがイタリア式である。

ただし、ピーク時に子どもを連れて旅行をすると、やはり高い。

そしてインフレが重なれば出費は抑えたいのが当然のこと。同時にパンデミックでの経済活動の取り戻しもしたいとする企業はシフト的に長期休暇を取ることを斡旋している。なので6月から担当が変わりながらもお互いの休暇をサポートしながら会社を回しているという感じだ。

パンデミック前のかつてのイタリアは”8月は会社をお休みにします”という企業も多かったが、事情はかなり変わってきたという印象を受ける。

筆者のイタリアの取引先にも夏休みの案内を問い合わせたところ、「基本的にオフィスは通常営業です」 と返答であった。

ただし、オフィスは営業していたとしても、交代制での営業は致し方ないので、返答は「夏季モードになります」 と注釈をつけておく。

*1ユーロ=155円で計算。

◇Turismo da record per le vacanze estive: valigie in mano per 30 milioni di italiani:
https://www.tag24.it/677653-turismo-record-vacanze-estive/

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