ラトビアでのオリンピックの盛り上がり

エストニア

世界中の人々が一斉に同じ話題について語り合うことができる、4年に一度の大コンテンツ、オリンピック。毎日異なるスポーツの話題で盛り上がるかと思いきや、ラトビアではそうはいかず、大きな盛り上がりを見せたのは3×3バスケットボールであった。ソ連時代も含めたラトビアのオリンピックの歴史と盛り上がりを見せた種目についてみていく。

ラトビアでのオリンピックの盛り上がり

著者:ラトビアgram fellow さえきあき
公開日:2024年10月7日

ロシア帝国時代とソ連時代を挟むオリンピック参加歴

ラトビアのオリンピック参加歴は少々複雑である。1900年-1912年はロシア帝国の一部として、そして1948年-1988年まではソビエト連邦の一部として参加したため、「ラトビア」というひとつの国として参加した歴史は他の国と比べると短い。その歴史の中で獲得したメダルの数は累計で31個(金:5、銀:14、銅:12)である。似たような参加歴を持つエストニア、リトアニアも同程度のメダルをこれまで獲得している。

少数精鋭で挑んだパリオリンピック

日本なら柔道、アメリカなら水泳、中国なら卓球…といったように、国ごとにメダル獲得の有力候補となる種目は異なる。ラトビアはそもそも人口が少ない国であり、スポーツを本格的に取り組むとなった際の設備や費用をふんだんにかけることができないため、世界レベルの選手が育ちにくい。そのため、オリンピック出場枠を勝ち取ることさえ難しく、今回のパリ五輪に参加したラトビア人アスリートは29人で、出場するのは14種目のみであった。

その中でメダル獲得への期待が大きかった種目は3×3バスケットボール。これは、2021年の東京オリンピックからの新種目であり、なんとラトビアはこの種目で金メダルを獲得している。つまり初代王者ということになり、パリオリンピックではディフェンディングチャンピオンとして出場した。ちなみに2021年にこの種目に参加した国は4か国。3/4の確率でメダルが獲得できるお得なチャンスとなっていた。

以前の記事で紹介した通り、ラトビアはバスケットボールが人気な国で、今オリンピックの通常の5人制バスケットボールへの出場権をあと一歩のところで逃すほどだ。しかし5人制よりも3人制の方が強いと言われていたため今回もメダル獲得を期待されていた。

気になる大会結果

期待されていた3×3バスケットボールは4位に終わり、惜しくもメダルを逃す結果となった。試合形式は、参加した8チームでまず総当たり戦を行い、勝ちの数が多い順の1位と2位はセミファイナル進出が決定、3位から6位で残り2枠をかけて戦う、という形式だった。この予選ラウンド各チーム7戦するのだが、ラトビアチームは唯一7戦全てにおいて勝利を収めたチームとなった。勢いそのままにセミファイナルも相手を負かすかと思いきや、フランスに負け、そのまま3位決定戦でもリトアニアに負けてしまった。

ラトビアチームは2pシュートの成功率が高くそれを駆使して得点していたのだが、それを相手が対策したのか、もしくは選手の調子が悪かったのか、セミファイナル以降の試合では2pシュートを外す確率が高かった。

過去20年以内でメダル獲得歴のあるBMXにおいても結果は振るわず、ラトビアチーム全体としてもメダルは無しという結果で幕を閉じた。

選手帰国のお出迎え

結果がついてこなかったとしても、国を代表して大舞台でパフォーマンスしたことには違いなく、そんな選手を労うため空港から首都リガの広場前ではパレードのようなことが行われた。帰国数日前に、ラトビアのバスケットボールの公式インスタグラムのストーリーズで予告され、誰でも参加可能だった。

選手のインスタグラムアカウントではその様子がたくさん投稿されていた。

ある選手が投稿した写真。

手作りのメダルには「私たちにとっては1位です。」と書かれている。

まとめ

今回のオリンピックでは参加した全種目においてメダル獲得とはならなかった。人口が少ないことや優秀な選手を育てる環境が十分に整えられないことは、ラトビアに限らず小さい国の課題であり、それが顕著に表れた結果となった。しかし、3×3バスケットボールにおいてはメダル獲得を期待するなど、人々を楽しませる瞬間も存在した。次のオリンピックでは、ラトビアのアスリートたちはどのような結果をもたらしてくれるのだろうか。

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さえきあき

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エストニア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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