ラトビアのクリスマス:賑わいと伝統が紡ぐ温かな日

クリスマスが訪れると、西欧の多くの国では街が静まり返る。ドイツやフランスでは24日午後からほとんどの店舗が休業し、人々は家族と静かに過ごす。一方、ラトビアではスーパーが通常営業を続け、街には活気があふれる。各地の伝統料理も彩りを添え、ラトビアの「pīrāgi」やロシアの「オリヴィエ・サラダ」はその一例だ。文化の違いがクリスマスの過ごし方にも表れ、静寂を好む地域と賑わいを楽しむ地域のコントラストが際立っている。
ラトビアのクリスマス:賑わいと伝統が紡ぐ温かな日
著者:ラトビアgram fellow さえきあき
公開日:2025年1月4日
クリスマスの静寂と賑わい:欧州各地の違い
ドイツやフランスなどの西欧では、クリスマスイブやクリスマス当日はほぼすべての店が閉まっている。スーパーやショッピングモールは24日の午前中まで営業するものの、それ以降は閉店する。レストランも多くが営業を休止し、開いているのは移民が経営している店に限られる。このような状況は欧州では一般的であり、祝日でも営業している店舗の多くが移民によって運営されているのが特徴だ。
とにかく、クリスマスは家族と過ごすもの、という考えが強く根付いている。このため、生活に必要なスーパーの従業員さえも休暇を取ることが当然視される。結果として、クリスマス前後の数日は自宅で過ごすことが基本となり、街から人が消える。そのため、独身者にとっては寂しさを感じる数日間となることが多い。今年のドイツでは、クリスマスマーケットも本番のクリスマスを待たずして22日には撤収される地域が多かった。このように、家で過ごすことを国全体で推奨しているかのような雰囲気が漂っていた。
一方で、ラトビアの大手スーパー「Rimi」はクリスマス当日でも通常営業している。街中も普段通りに人々が行き交い、車やトラム、バスも通常運行している。そのため、寂しさを感じることはない。また、クリスマスマーケットも年末までオープンしており、クリスマスの休暇を利用して訪れる観光客にも優しい環境となっている。さらに、プレゼントや食材の買い忘れがある親にとっても非常にありがたい存在である。
ラトビアのクリスマスの家庭料理
日本の正月におせちなどの伝統料理があるように、ラトビアのクリスマスにも伝統料理がある。
友人のラトビア人たちが口をそろえて教えてくれたのが「pīrāgi」。三日月型のパンの中にベーコンを詰めたお惣菜パンである。クリスマスになるとお母さんがこれを大量に作って実家で待っている、というエピソードも聞き、ラトビアのクリスマスシーンには欠かせない食べ物だということがうかがえた。
他にも、ロシア系の家庭や旧ソ連地域で作られる料理として「オリヴィエ・サラダ」と言うものがある。ロシア語から直訳すると「ミート・サラダ」になるようだが、料理のメインが肉というわけではない。ポテト、ゆで卵、豆、肉をマヨネーズで和えたものでポテトサラダのようなものだ。東欧地域でも食べられるようで、地域や家庭によって具材が変わる。
ラトビアのpīrāgiに似ているのがロシアの「ピロシキ」。オーブンで焼くか油で揚げて作られるパンである。名前だけなら日本でも有名なこの料理、中に入るフィリングにはこれといった決まりがない。筆者がお邪魔した家庭では甘いピロシキが作られており、朝食やおやつ感覚で提供された。
まとめ
欧州各地で異なるクリスマスの過ごし方が見られる中、ラトビアでは賑わいが続く祝日となっている。大手スーパーは通常営業を維持し、クリスマスマーケットも年末まで開かれるため、訪問者や買い忘れの多忙な親にも優しい環境だ。また、三日月型のパン「pīrāgi」や「オリヴィエ・サラダ」といった伝統料理が家庭で振る舞われ、家族の絆を深める時間となる。賑わいの中に息づく温かな伝統が、ラトビアのクリスマスの魅力を際立たせている。
【参考】
◇LSM.lv:Try a traditional Latvian dish this Christmas
https://eng.lsm.lv/article/culture/food-drink/23.12.2024-try-a-traditional-latvian-dish-this-christmas.a581368
