マレーシア熱波の予測:7月まで続く恐れ、エルニーニョの影響も

マレーシア

4月下旬、マレーシアの複数の州で気温が 36°C の熱波レベルを超えて急上昇したため、熱波警報が発令されました。4月22日にはマレーシア中部のネグリ・スンビラン州で最高気温38.4℃を記録しました。マレーシア気象局は、5 月上旬まで毎日35℃で推移する地域がほとんどで、この熱波は6月から7月まで続くと予測しています。

今回は、今年の熱波についてと、マレーシアの5月から9月にかけての気象について説明します。

マレーシアの熱波は7月まで続く恐れ   

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年5月25日

モンスーンの移行期

気象局は「現在マレーシアはモンスーンの移行期に入っており、この暑さは 8 月まで長引くことが予想され、8月以降は雨が戻る見込みだ」と発表しました。この熱波はすべての州に影響を及ぼし、とくに北海岸と東海岸が最も深刻な影響を受けており、「タイと国境を接する一部の地域では気温が 37°C を超えています」と報道されています。

ヘイズも影響

エネルギー天然資源大臣は、現在発生している「ヘイズ」が熱波の原因でもあると付け加えました。

「ヘイズ」については以前この記事で説明しましたが、その発生の一番の原因となっているのはインドネシアのスマトラ島やカリマン島、一部マレー半島での焼畑農業(野焼き)にあります。ジャングルを焼き払うことで大量の煙や排気ガスが発生し、それらがモンスーンの風にのって、毎年4月から10月ごろにかけてマレー半島に運ばれてきます。

また大臣は、今回「泥炭火災」の影響もあると示唆しました。泥炭火災とは、通常 4~6 メートルの地下深くに埋められた胆泥が燃料源となり起こる火災を指し、消火することはほとんど不可能だと述べられています。

エルニーニョの影響も

マレーシア政府は、6月にはエルニーニョ現象が強まると予測しています。過去、エルニーニョで最も大きな影響があったのは1998年で、このときプルリス州の気象観測所で最高気温40.1度が観測されています。エルニーニョ現象が強まると、マレーシアでは気温の上昇、大気の乾燥、降雨量の減少などが起こるとされています。

気象局は、5月から7月にかけてエルニーニョ現象が62%の確率で強まると予測しており、早急な対策が必要であると述べています。

また、マレーシアではエルニーニョ現象が強まると、デング熱やマラリア、気道系の疾患などのリスクが高まるとされ、今年はすでに例年の2倍近くのデング熱患者が発生していることもあり、さらなる警戒を呼び掛けています。

学校生活にも影響

5月6日、マレーシア教育省は熱波の影響で学生が熱中症で死亡したことを受け、当面の間、屋外での活動と制服登校も中止し、スポーツウエアなどの簡単な服装で通学させるようにと発表しました。また、高温やヘイズの様子によっては休校も考慮するよう呼び掛けています。

異常な天候が続く

現在、東海岸の州は干ばつに直面して泥炭火災が発生しています。ペナンではダムの水位が低下していますが、クアラルンプールのあるクラン渓谷では夕方の雷雨が大混乱を引き起こし、地滑りも起きています。

マレーシアは世界で最も雷が発生する地域と言われていますが、最近は、日中はうだるような暑さで、夕方には激しい雷雨に毎日襲われています。

南北にも東西にも広いマレーシア、各地域で天候も様変わりします。

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