ECビジネス急成長中のバングラデシュ:利用におけるメリットとデメリット
新型コロナウイルスパンデミックによって、世界中でECビジネス利用者が増加した。バングラデシュでも同様であり、ECビジネスやフェイスブックを利用したFCビジネスが急成長している。
ECサイト、FCサイトの急増に伴い、渋滞の酷いダッカを中心とするバングラデシュにおけるオンラインショッピング事情は益々便利になってきている。その一方で、物流インフラの改善、現金決済中心のC2C、Eコマースに関する体系的な法制度・規制の未整備など課題も多く存在する。本記事においては、バングラデシュのECビジネスの現状と展望について紹介していく。
ECビジネス急成長中のバングラデシュ:利用におけるメリットとデメリット
著者:バングラデッシュ gramフェロー 田中志保
公開日:2023年2月21日
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バングラデシュのECビジネスの歩み
バングラデシュでは2008年頃からECビジネスがスタートしたが、当初は各社が独自に活動していて、その数も少なかった。2015年、ECビジネス業界としての取り組みや政府と議論する業界団体として、バングラデシュの電子商取引協会e-CAB(https://e-cab.net/)が設立された。2023年2月9日時点では、1,949社が在籍している。2020年には在籍企業数が約1,000社であったことから、3年で約50%増加したことが分かる。EC事業者が全体の75%、FC事業者が25%となっており、Facebookを利用したFCビジネス登録をしている会社が約4割を占めている。
また、e-CABによると2022年時点で2,500 以上のECビジネスプラットフォームがあり、1% が大企業 、中規模企業が 4%、中小企業が95%である。更に2021年の e コマース市場規模約 56,870,000万BDTが、2026 年までに約 149,280,000万BDTと、2倍以上の売り上げが予測されている。
バングラデシュの代表的なECビジネス
急成長するバングラデシュのEC・FCビジネスであるが、国内で利用できる代表的なECビジネスサイトを紹介していきたい。以下の表に、バングラデシュの代表的なECビジネスサイトをまとめた。
幅広いカテゴリーの商品を、ECビジネスサイトを通じて購入することができることが分かる。
サイト名 | サービスカテゴリー | 設立 | 特徴 | |
1 | Daraz | 生活用品、事務用品、家電等 | 2015年 | 全国で展開している。バングラデシュ最大のEコマースサイト、中国からの輸入品も取り扱っており、輸入品は1か月ほどの時間がかかる。尚、輸入品はキャンセルとなる場合もある。不良品返品システムがスムーズではない。 |
2 | Chaldal | 食料品 | 2013年 | バングラデシュ最高のオンライン食料品店 |
3 | Pickaboo | 家電、ハイテク製品 | 2016年 | 電気製品とハイテク製品に専念している。 |
4 | FoodPanda | 食事、食料品、日用品 | 2014年 | 全国で展開している。カスタマーケアがスムーズ。 |
5 | Rokomari | 本、電気製品 | 2012年 | バングラデシュで初めての書籍オンライン販売を開始 |
バングラデシュのオンラインショッピングのメリット・デメリット
バングラデシュでの生活の中でオンラインショッピングを利用するメリット・デメリットはどういったものが挙げられるのか、筆者の生活を例に紹介していきたい。
① FoodPanda
ダッカ・チッタゴン等の都市部に暮らす日本人に一番なじみのあるECサイトといえば、FoodPandaを挙げる人が大半だろう。割引コードが常に提供されており、ハンバーガー、ビリヤニ、日本食、イタリアン等の幅広い食事がアプリで注文できる。また、食事以外にも日用品、ペット用品、医薬品の注文も可能だ。メリットとしては、システムがしっかり整っているため予測時間へのずれが少ないこと、注文した商品が確実に届くこと、商品の間違いがあった場合もカスタマーサポートセンターが早急に対応してくれることなどが挙げられる。返金ではないが、サイト内で使うことのできるバウチャーを発券してくれる。
一方でデメリットとしては、アカウントへのログインが急にできなくなるといった不具合が生じるケースがあり、このような不具合への対応が課題である。
② Daraz
国内最大のECサイトを謳うにふさわしい品ぞろえで、様々なカテゴリーの商品が手に入る。
デリバリー日程もほぼ守られており、利用しやすい。一方で、商品の配達間違いが多く、またその返品への対応が遅く、さらには手続き後に返品をキャンセルされることもある。全く違う商品が届くこともあり、その際受け取り拒否をするとアカウントが停止される場合もある。このようなトラブルに対して、Darazのカスタマーサポート電話番号がなくメールのみであるため、思ったような回答を得ることができない場合がある。トラブル解決に時間を要することが課題となっている。
バングラデシュECビジネスの課題と展望
上記で紹介したように、生活の中でも便利なECビジネス。様々なサイトが日々作成され、幅広い商品をオンラインで購入することができるようになり、ダッカを中心とするバングラデシュでの暮らしはより快適になったといえる。カスタマーサポートや地方都市へのサービス拡大が充実していくことで、顧客満足度が向上し、より市場開拓が進んでいくと考える。今後のバングラデシュECビジネスに注目していきたい。
参考
◇NEWAGE:
https://www.newagebd.net/article/186702/e-commerce-pathway-bangladesh-landscape