インド進出の基礎知識まとめ・インド税務ガイド2021-個人所得税編
インド税務ガイド2021-個人所得税編
著者:日本経営ウィル税理士法人
公開日:2021年11月11日
1.基本情報
1)概要
個人所得税とは、個人の所得に対する税金で、その課税範囲はインドの居住ステータス(通常の居住者、非通常の居住者、非居住者)によって大きく異なります。
また、2020年4月より、2つの税制からの選択制となったことも、インドの個人所得税の大きな特徴です。正しくご理解の上、ご自身に有利な税制を選択する必要があります。
2)課税期間
インドの個人所得税の課税期間は、所得税法で4月1日~3月31日と定められています。
3)申告期限
インドの個人所得税の申告及び納付期限は、7月31日までと定められています。
4)予定申告制度
給与賞与以外にかかる所得税の年間見積税額が1万ルピー以上の場合は、年4回の予定納税が必要となります。
納付期限 | 納付税額 |
---|---|
6月15日 | 年間見積税額の 15% |
9月15日 | 年間見積税額の 45% |
12月15日 | 年間見積税額の 75% |
3月15日 | 年間見積税額の 100% |
2.居住性
1)インドの居住別課税範囲
居住性 | 課税範囲 |
---|---|
通常の居住者 | 全世界所得課税となるので、日本で受け取っている不動産収入等も課税対象に含まれる |
非通常の居住者 | 非居住者の課税対象に加え、インドでの活動から発生している所得で、インド国外で発生し受け取る所得も含まれる |
非居住者 | インド国内で受け取った、あるいは発生した所得 |
2)インドの居住判定基準
居住性 | 課税範囲 |
---|---|
通常の居住者 | 下記のいずれかを満たした場合 1)当該会計年度に182日以上インドに滞在した場合 2)会計年度中に60日以上インドに滞在、かつ当該会計年度前の過去4会計年度期間で365日以上インドに滞在している場合 |
非通常の居住者 | 通常の居住者に該当した上で、下記のいずれかを満たした場合 1)会計年度前の10年のうち過去9会計期間は非居住者 2)会計年度前の過去7会計年度期間の滞在日数が729日以下の場合 |
非居住者 | 通常の居住者に該当しない場合 |
3.個人所得税率
1)インドの個人所得税の選択制
インドの個人所得税は、次の2つのルールより選択制となっており、それぞれ税率や控除可能額が異なります。
① 従来の制度
② 新制度(2020年4月1日以降選択可能)
2)インドの所得範囲
インドでは給与や賞与に限らず、次のような現物給付も所得として認識します。。
① 法人が従業員の代わりに支払っている住宅家賃
② 法人が従業員の代わりに支払っている自動車
③ 法人が従業員の代わりに支払っている所得税手当 等
3)個人所得税率(従来の制度)
課税対象所得 | 税率 |
---|---|
250,000ルピー以下 | - |
250,000ルピー超/500,000ルピー以下 | 5% |
500,000ルピー超/1,000,000ルピー以下 | 20% |
1,000,000ルピー超 | 30% |
4)個人所得税率(新制度)
課税対象所得 | 税率 |
---|---|
250,000ルピー以下 | - |
250,000ルピー超/500,000ルピー以下 | 5% |
500,000ルピー超/750,000ルピー以下 | 10% |
750,000ルピー超/1,000,000ルピー以下 | 15% |
1,000,000ルピー超/1,250,000ルピー以下 | 20% |
1,250,000ルピー超/1,500,000ルピー以下 | 25% |
1,500,000ルピー超 | 30% |
5)所得控除項目(従来の制度)
- 給与所得控除
- 家賃控除
- 生命保険控除
- 住宅ローン控除
- 教育ローン控除
- 寄付金控除 等
6)所得控除項目(新制度)
新制度における所得控除項目では、5)のような従来の制度の控除項目は使用できず、出張交通費等の限られた項目のみが使用可能となります。
7)追加課徴金(Surcharge)
インドの個人所得税は、一定以上の高所得者に追加課徴金(Surcharge)として税金が所得税に課されます。
課税所得 | 税率 |
---|---|
500万ルピー | 10% |
1,000万ルピー | 15% |
2,000万ルピー | 25% |
5,000万ルピー | 37% |
8)健康教育目的税(Cess)
インドの個人所得税に課される健康教育目的税(Cess)の計算方法です。
著者:日本経営 ウィル税理士法人
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