日本のセブン銀行 マレーシアに海外グループ会社を設立
日本のセブン銀行は、マレーシアに海外グループ会社としては4番目の現地法人を設立しました。
セブン‐イレブン銀行は2024年10月から12月頃までに、セランゴール州にマレーシア国内で初のATMを設置する予定です。
今回はこの記事をもとに、マレーシアの銀行の現状や金融包摂化の推進度、そしてセブン‐イレブン銀行の戦略について解説します。
日本のセブン銀行 マレーシアに海外グループ会社を設立
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年11月14日
事業内容
マレーシアの現地法人は、クアラルンプールを拠点に、銀行の支店やATMの設置を進めていく予定です。
今後セブン‐イレブンの店舗にATMを順次設置していきます。それにより新たな金融サービスの提供が可能になり、「金融×小売サービス」の実現を推進していく戦略です。
なぜマレーシアなのか?
セブン銀行の海外グループ会社としては、マレーシアは米国、インドネシア、フィリピンに次いで4 拠点目です。
なぜマレーシアに進出したのでしょうか?
以下の理由があげられています。
①高く継続的な経済成長
マレーシアは現在3.7%で経済成長をしていて、国民の平均年齢も29.2才で、過去10年の人口増加率も平均で年1.3%程度と増加しており、いまだ人口ボーナスが発生している状況ということ
②現金流通量の拡大
いまだに現金払いをする人の割合が7 割を超えているため、ATMの利用件数が日本と比較しても高くなっていること
③ATMの設置数は少ない
マレーシア国内には現在約15,000 台のATMがあり、人口100万人あたりだと446台と比較的少なく、ATM事業の成長性が見込めるため
マレーシアの銀行システムの現状
マレーシアの銀行業界は、中央銀行である「Bank Negara Malaysia」の監督下にあり、厳格な規制が敷かれています。
国内最大の商業銀行である「Maybank(マラヤンバンク))や「Public Bank」などの大手銀行が存在していますが、まだ銀行口座を持たない人々も多く存在します。
マレーシアでは金融の包摂化が進んでいますが、地方や低所得者層では銀行サービスへのアクセスが限られているのが現状です。
ただ、デジタルバンキングの普及は急速に進んでいて、スマートフォンを利用したモバイル決済やオンラインバンキングが増加しています。
セブン‐イレブンの強み
セブン‐イレブン銀行は、非常に強力な競争優位性をすでに有しています。
まず何といってもブランド認知度の高さです。
セブン‐イレブンは既に非常に高いブランド認知度を持っていて、消費者の強い信頼を得ています。
これを活かすことで、銀行サービスの提供をスムーズに行うことが可能です。
マレーシア国内にすでに2,500店舗以上を展開しており、この店舗ネットワークを活用するだけでも広範な地域に銀行サービスを提供することが可能です。
既存のインフラやシステムなどを活用して低コストでのサービスの提供が可能で、手数料などで価格競争力を持つことができます。
進むデジタル金融サービス
マレーシアでは、デジタルバンキングに対する需要が急速に高まっています。
セブン‐イレブン銀行は、既存の店舗インフラとこれと連携したデジタル金融サービスを提供することで、若年層を中心とする、これからの消費をリードする消費者に強くアピールできます。
セブン‐イレブン銀行の動きが、マレーシアのデジタル金融サービスや金融の包摂化をさらに推進していくでしょう。