急成長するマレーシアのキャッシュレス市場:世界第3位の成長率の秘密

マレーシア

マレーシアがキャッシュレス決済の先進国として急速に台頭しています。コロナ禍を契機に、世界第3位の成長率を誇るマレーシアのキャッシュレス市場。若年層を中心に85%がデジタル決済を日常的に利用し、2030年までに完全キャッシュレス社会の実現を目指しています。政府の積極的な支援策や、高度なデジタルインフラの整備により、ビジネス環境も急速に変化。
本コラムでは、マレーシアのキャッシュレス革命の現状と、その成功要因を詳しく解説します。

Z世代が牽引するマレーシアのキャッシュレス化:85%が導入するライフスタイル  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年8月15日

キャッシュレスがライフスタイルに

クレジットカード大手のVisaによる「消費者支払い態度調査」によると、マレーシアの消費者の3分の2以上が、キャッシュレスのライフスタイルの導入を試みているという結果が出たそうです。

キャッシュレス支払いは主にZ世代とY世代がライフスタイルに取り入れていて、それぞれ85%と78%の人が利用しています。

導入店舗も急増中

キャッシュレス決済が進んだ背景には、デジタル決済を受け入れる店の数が増加、特にコロナ禍以降では急増していて、キャッシュレス化の勢いが高まっていることが影響しています。

デジタル決済の利用が増加しているのは、食品・飲食で84%、小売店での買い物では79%、スーパーマーケットも76%と高くなっています。

以前は朝市などでは現金での決済がほとんどでしたが、今では、ほぼすべての店舗でキャッシュレス決済をしており、店側も現金よりも携帯などでの支払いを望むようになっています。

昨年度の調査では、スーパーマーケット(53%)、小売店(46%)、レストラン(44%)だったので、急速にキャッシュレス化が進んでいるのは明らかです。

2030年までにキャッシュレス社会に

マレーシアは、2030年までにキャッシュレス社会になるとされていて、日常の支払いでは現金が使われなくなることが予想されています。

政府もキャッシュレス化を支援しており、各種の支援プログラムやキャンペーンを行っています。電子ウォレットが急速に普及し、2020年から2021年にかけて電子ウォレットの登録ユーザー数が870万人から1,350万人に急増しています。

マレーシアでなぜ進む、キャッシュレス決済

マレーシアで他国に先駆けてキャッシュレス化が浸透したのには、次の理由が考えられます。

① 便利で安全な支払い手段
 コロナ禍以降は、消費者も小売業者も便利で安全なキャッシュレスを好む傾向があります。スマートフォンを使った簡単な支払いが可能になっている影響が大きいです。

② インフラ整備と政府による推進
 「GrabPay」や「Touch ‘n Go eWallet」などの QRコード決済や、「Boost」などの電子マネーが普及しています。また、政府はデジタルマレーシア戦略を掲げ、高速インターネットやモバイル通信の普及を進め、キャッシュレス決済の普及を積極的に支援しています。

③ 小売業界やサービス業界の対応
 小売業界やサービス業でも、積極的にキャッシュレス決済を受け入れることで、顧客の利便性を高め、売上の増加を見込んでいます。多くの店舗が電子決済を導入し、顧客のニーズに応えています。

④ 若年層の普及促進:
 調査結果にもあるように、マレーシアの若年層は最新のテクノロジーに精通していて、キャッシュレス決済に対する受容度も高く、市場の成長を牽引しています。これにより、マレーシアではデジタル経済が急速に成長しています。

キャッシュレス決済は欠かせない

これからマレーシアに滞在する予定のある方やマレーシアに事業進出される企業においては、キャッシュレス決済は、絶対に欠かせないことです。

現金も利用できますが、店舗でもキャッシュレス決済を好む傾向は進んでおり、いずれキャッシュレスに統一されていくでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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