マレーシア 2024年 腐敗認識指数で57位 

マレーシア

2024年のマレーシアの「腐敗認識指数(CPI)」は、世界ランクで57位であることがわかりました。2023年と順位は変わりませんでした。
近年、政治家による汚職が絶えないマレーシアですが、その背景などについてこの記事では深掘りしようと思います。

マレーシア 2024年 腐敗認識指数で57位  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年4月6日

100点満点で50点

「腐敗認識指数」は、世界180の国と地域の公共部門における腐敗の認識レベルを、トランスペアレンシー・インターナショナル(国際的非政府組織)が専門家と13の測定調査で評価したもので、100点満点で指数化し、世界の国をランク付けしています。
マレーシアは2023年に引き続いて100点満点で50点、ランキングでも180カ国中で57位と変わりませんでした。

注目に値する

トランスペアレンシー・インターナショナルは、「マレーシアのランキングが2023年と変わっていないことは注目に値する」と評価した上で、「政府は今後、2033年までに上位25位にランクインするという目標を達成するには、透明性と説明責任を確保し、司法機関への政治的干渉がないようにして制度改革を加速する必要がある」と指摘しています。

相次ぐ政治家の汚職事件

マレーシアの近年の大規模な汚職事件の事例を紹介します。

1、1MDB事件

この事件ではアメリカの金融大手ゴールドマン・サックスも資金調達を支援したとされ、マレーシア政府に対し39億ドル(約4,100億円)の和解金を支払うことで合意しています。

2、ムヒディン元首相の汚職疑惑
2023年3月にはマレーシア汚職対策委員会が、ムヒディン元首相を職権乱用や資金洗浄の容疑で逮捕しました。彼は首相在任中、政府の経済刺激策に関連するプロジェクトで不正な資金受領や権力の乱用があったとされています。
これらの事件は、マレーシアにおける高官の汚職問題が深刻であることを示しています。

マレーシアで汚職が減らない理由

マレーシアで汚職が減らないのは、政治・経済・社会のさまざまな要因が絡み合っているためです。
政府と民間企業の関係が密接で、大規模なプロジェクトの多くが政治的な影響を受けます。特に政府系企業が経済の大部分を占めている現状では、政権が変わるたびに高官の任命が変わるなど、不透明な経済運営が続いています。

また、マレーシア汚職対策委員会(MACC)は政府の影響を受けやすいと指摘されており、政権に近い人物の汚職捜査が十分に行われないケースがあります。1MDB事件でも、外国の捜査機関の介入がなければ発覚しなかった可能性もあります。

さらにマレーシアでは、政府関係者と企業の間に強いコネクションが存在し、「知り合いを優遇する」という文化が根強くあります。このため能力よりも関係性が重視され、不正が黙認されやすい環境が生まれています。

また、一部の国民の間では、賄賂は「コーヒー代」で、払うことが当たり前という考え方が残っています。例えば交通違反をした際に警察官に賄賂を渡すことで罰則を逃れるといった日常的な汚職は根付いており、これが社会全体の規範意識の低下につながっていると指摘されています。

意識改革が必須

マレーシア政府は2033年までに腐敗認識指数(CPI)の上位25カ国入りを目指していますが、そのためには 司法の独立性を高め、政治資金の透明化を進め、公務員の待遇を改善し、国民の意識改革を図る などの抜本的な改革が求められます。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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