イタリアで熱狂的な人気を誇る「ワンピース」─新たなライバル出現の予感!
東京オリンピック開催時、フランスのマクロン大統領のツイッターが話題となった。
それは、ワンピースの原作者である尾田栄一郎氏から、フランスのワンピースファンに感謝を込めたイラストが送られたことにとても感動し、感謝を伝えるものだった。
Passionnés de One Piece, je partage avec vous ce dessin original offert par son auteur. Merci ありがとうございます @Eiichiro_Staff ! pic.twitter.com/0n5sAaky7j
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) July 23, 2021
もはや日本の文化親善大使とまでなっている漫画(MANGA)を、世界中で老若男女が楽しんでいる。その翻訳部数も天井知らずといえるほど、日本の漫画が世界中に溢れている。
ではイタリアではどのような漫画が人気なのであろうか。
先日もアマゾンプライムイタリア版で動画を漁っていたところ、ルパン三世系がザクザクと出てきた。さらに、ルパン三世が名探偵コナンとコラボレーションしているアニメ映画もなかなかな人気である。もはやその登場人物は日本人だけでなく、世界的にも共通であるともいえよう。
今回はイタリアでの漫画についてお伝えする。
ついに「ワンピース」にライバル出現か? イタリア 漫画トレンド
著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年4月28日
ヨーロッパでのマンガの取り扱われ方
ヨーロッパの中でイタリアが最も漫画を読んでいるかといえば、それはノーだ。ヨーロッパの中で漫画を最も読む国はダントツでフランスだ。フランスではイラストで話が展開されるマンガのような書をバンドシネという。代表作といえば、ベルギー初の「タンタン」であろう。アメリカンコミックの影響を受けながらも、ディズニーの「ミッキーマウス」の漫画本もかなり人気があった。フランスに限らず、ミッキーマウスの漫画本はイタリアでもいまだに人気があり、古本屋でも現役で売買されている。
もはや世界三大漫画といわれる、日本の漫画、アメリカンコミック、フランス&ベルギーのバンドシネ。漫画といえば大抵は日本の漫画タイトルを示すとの認識で良いのではないか?と日本漫画の翻訳単行本があちこちで販売されるようになったヨーロッパである。
以前は専門取り扱い漫画ショップでしか販売されなかったが、一般書店でも取り扱いが増えている。さらには、駅のキオスクや空港などでもエリアを設けて販売されるほど、日本の漫画はポピュラーになった。
『鬼滅の刃』か『ワンピース』か。
イタリアで漫画が一気に広まったのは「アキラ」の登場からではなかろうか。ただし当時の漫画本はアメリカンコミックの形体で左綴じで編集されており、今の日本の漫画の右綴じ発刊は「ドラゴンボール」からであったとようだ。おそらく漫画人気が加速したゆえに、日本と同じような単行本式に合わせていったのではないだろうか。
イタリアでも「鬼滅の刃」が圧倒的な人気を集めている。「鬼滅の刃23巻特装版」は、イタリアの漫画販売において2023年4月に第1位を獲得している。次いでギネス記録をもつ「ワンピース」である。2022年の販売実績を見れば、「鬼滅の刃」と「ワンピース」が二分するという。この人気に続いて「僕のヒーローアカデミア」「チェンソーマン」「進撃の巨人」「呪術廻戦」「地縛少年花子くん」「東京リベンジャーズ」「その着せ替え人形は恋をする」「怪獣8号」などがイタリア語訳で販売され、ほぼ日本の漫画市場と遜色のない同時期の人気ぶりとなった。
ドラゴンボール世代のイタリア人漫画家が注目される
このように日本の漫画が世界の老若男女を楽しませており、そしてともに成長してきた世代も出てきた。いつまでも輸入ばかりのコンテンツということでもない。
特にイタリアではまさにドラゴンボールで育ったと言われる漫画家のゼロカルカーレが発刊した「No sleep till Shengal(ノースリープ ティル シェンガル)」が、初刊にして23万部を発売したというのが真新しい。
こと漫画の消費はパンデミック期において圧倒的に伸びたとされる。
自宅待機が世界中で推奨されその日常の楽しみを供給してきたのが漫画であったといえよう。
現在は日本のコンテンツが主流の漫画市場ではあるが、その漫画で育ったクリエーターもいて、各国その世代のコンテンツも楽しみな流れである。
いつか日本にもイタリア人作家の漫画が翻訳されて発売される日が来るのかと思うと、それも楽しみである。
参考資料
◇ilLibraio.it:No sleep till Shengal, a ottobre il nuovo libro di Zerocalcar
https://www.illibraio.it/news/fumetti/no-sleep-till-shengal-nuovo-libro-zerocalcare-1425230/
◇Demon Slayer: il numero 1 è stato il manga più venduto in Italia nel 2022:
https://www.mangaforever.net/7266365869/demon-slayer-il-numero-1-e-stato-il-manga-piu-venduto-in-italia-nel-2022
◇Goin’ Japanesque!: 5 Popular Foreign Mangaka Artists, Active in the Manga Industry of Japan:
http://goinjapanesque.com/33100/