スギ薬局 日本式のドラッグストアを展開
愛知県に本社を置く、日本のドラッグストアの大手「スギホールディングス」が、先日、マレーシアの首都クアラルンプール郊外のショッピングモールに日本式のドラッグストア1号店を開店しました。
在マレーシアの日本人が待ちに待った「日本式のドラッグストア」の進出です。
今回は、マレーシアの薬局・ドラッグストアビジネスについて解説します。
スギ薬局 日本式のドラッグストアを展開
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年12月1日
日本式のドラッグストア
今回オープンしたのは、クアラルンプールの郊外にある「スターリンモール」です。
オープン当日は、モールには「スギ薬局」をお目当てに来店したであろう日本人がいっぱいでした。やはり、みんな日本式ドラッグストアを待ち望んでいたのでしょう。
女性向けの商品やベビー用品が充実し、スギ薬局のPB商品もかなり多く、ローカルのドラッグストアとの差別化が図られていました。
スギホールディングス
スギホールディングスは中部地方の方にはおなじみですが、日本のドラッグストアチェーンでは売上高ランキング6位で、ドラッグストア事業のほかにも訪問看護にも取り組んでいます。
同社は調剤併設型のドラッグストアの展開を進めていて、近年は地域に特化した「核店舗」を展開し、コミュニティスペースや健康測定コーナーを設けたり、管理栄養士や薬剤師による健康相談サービスを提供しています。
ポップアップストア
昨年スギホールディングスは、地元の「アルプロ・ファーマシー」との提携を発表し、伊勢丹のクアラルンプール店をはじめとする3店舗の期間限定のポップアップストアを開店し進出準備をしていました。
ポップアップストアとは、比較的短い期間に限定して開設されるストアで、商品やブランドの認知を拡大すること、商品のプロモーションやテストマーケティングを目的として出店されることが多く、「ミスタードーナツ」もシンガポールで大成功を収めています。
マレーシアでは今年に入って飲食部門を中心に、このポップアップストアにトライする日系の企業が増えています。
マレーシア国内のドラッグストア
日本ではコンビニの代わりに利用することも多いドラッグストア。ここマレーシアは一般的に2つのタイプの店舗があり、ひとつは、一般医薬品や衛生用品を中心に扱っているのドラッグストア(Drugstore)です。
もうひとつは、ファーマシー(Pharmacy)と呼ばれる薬剤師が常駐し、頭痛薬や風邪薬などの一般医薬品を取り扱う店舗です。これらの店舗は明確に区別されています。
マレーシアに多くあるのは「ファーマシー」で、国内に数百店舗を展開しているグループもあります。
その中でも「ガーディアン(Guardian)」は、400店舗以上、50年以上の歴史があります。健康・美容用品の販売で30%近いシェアを占めていて、モールに行けば必ず見かけます。PB商品も多く、コロナ禍ではマスクが大量販売されていました。
マレーシア最大級のドラッグチェーンストアは「ワトソンズ(Watsons)」で、500以上の店舗があります。風邪薬や頭痛薬などの医薬品も扱ってますが、化粧品や衛生用品、ヘアケアやスキンケア、サプリなどが充実していて、日本のドラッグストアと近い感じです。
カード会員は「タッチンゴー(Touch’n Go=略してTNG)」と呼ばれる交通系のICカードと兼用なので、非常に便利です。
競争過熱
ここまで紹介した2つのチェーンのほかにも、イオン(AEON)系のドラッグストアや、120店舗以上展開している「ケアリングファーマシー(CARiNG Pharmacy)」など、数多くのローカルのファーマシーやドラッグストアが存在していて、すでに過当な競争と言えるでしょう。
しかし、日本のドラッグストアを利用している側からすると、まだ何かが足りないと感じていました。スギ薬局の進出によりそのギャップが埋まる可能性もあり、また日本からのさらなる進出が期待できるでしょう。競争が過熱しているなかの進出は選択肢が増えるので、地元の人々からも歓迎されると思います。