エストニア発のテック革命が日本上陸!ウーバーイーツが採用した自動走行配達ロボット

エストニア

ウーバーイーツジャパンが自動走行ロボットを使った配達事業を日本でも開始することを発表した。アメリカに次いで2ヶ国目の実施となり、予定されている稼働範囲は東京の一部エリアのみである。使用予定の配達ロボットはアメリカのスタートアップ企業のものだが、エストニアではそれ以前に配達ロボットが完成し街中を走行していたのはご存じだろうか。

日本上陸 実はエストニアが先駆けの配達ロボット

著者:エストニアgram fellow さえきあき
公開日:2024年4月3日

東京のウーバーイーツの配達員がロボットに

ウーバーイーツの日本法人は、自律走行ロボットを使った配達を東京の一部地域で開始すると発表した。配達ロボットを使うのは米国に次いで2ヶ国目となる。この配達ロボットは公道を走り、人間の歩行速度と同じくらいの早さで走行する。

箱の形をしたロボットで、注文を受けると店舗に行って商品を受け取り、顧客のいる場所まで届けに行くという、人間がやることとなんら変わらない行動をとってくれる。
このロボットの制作会社はアメリカのスタートアップ、Cartken(カートケン)社が設計したもので、三菱電機が日本仕様にアレンジを加えた。
しかしこの配達ロボット、エストニアではかなり前に話題にのぼり、かつ既に実用化もされているロボットなのだ。これにはエストニアお得意のスタートアップ企業が関連している。

(参考:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC040PX0U4A300C2000000/?n_cid=SNSTW005

配達ロボットはどうやって生まれた

前項で名前の出たアメリカのスタートアップ企業「カートケン」は、実はgoogleの流れを汲む企業だ。Googleの「Bookbot」という今の配達ロボットと形や機能が似たロボットを作る企画が倒れたあと、これに関わっていたエンジニアたちが2019年に設立させたのがカートケンである。このBookbotという企画はロボットが図書館で本を借りて自宅まで届けてくれるというサービスで、使われ方としてはウーバーイーツの例とほぼ同じである。しかし、この本を届けるサービスの利用者はあまりにも少なく、36人だけだったという。Google内でいつから自立走行ロボットについて開発が行われていたかは不明だが、2018年の初めには既に自律走行ロボットに関するチームを立ち上げていたそうだ。
しかし、Googleよりも動きだしが早かった企業があり、これがエストニアに関連している。

エストニアが関与している配達ロボット

カートケンが設立される前、そしてgoogleがbookbotを作るよりも前の2016年11月、「Starship Technologies (スターシップ テクノロジー)」という企業によって自立走行ロボットは既に開発されていた。この会社はエストニアが誇る企業、スカイプの共同設立者Ahti Heinlaとエストニアのエンジニアチームが立ち上げたもので、2017年の1月にはエストニア・イギリス・アメリカでロボットが試験運転することを知らせる記事がリリースされた。
スターシップが開発に着手したのは2014年からで、その企画は開発中ずっと秘密にされてきた。つまり、自律走行ロボットのリーディングカンパニーである。
世に情報が出てきた時には既に現在のものと形がほぼ同じであったため、どれがオリジナルかという議論にもちこむのなら、間違いなくスターシップと言えるだろう。

(画像引用元:Estonia https://estonia.ee/delivery-robots-created-by-estonian-engineers-are-transforming-the-world/

本社はアメリカのサンフランシスコにあり、エストニア企業とは言えないのだが、ロボットの実用化はエストニアではいち早く進んだ。エストニアの首都タリンでは街中を走行するこのロボットをたまに見かけることがある。しっかり走行しているときもあれば、何かに引っかかってタイヤが空回りしていることもある。

旗をたててコロコロと動いている様子はなんともいえない可愛さがあるため、エストニアにくることがあれば周囲にいないかぜひ探してみてほしい。

まとめ

日本でも限定的な範囲ながら導入されることとなった自律走行ロボット。今回提携しているのはアメリカの会社ではあるが、歴史をさかのぼっていくとエストニアにリーディングカンパニーがあった。エストニアはテクノロジー関連でスタートアップを目指す人たちにはサポートを行っており、外国人も参入しやすい環境ができている。次に日本で話題になるテクノロジーも、もしかするとエストニアが関連しているかもしれない。

参考
◇Techcrunch:
https://techcrunch.com/2020/02/11/the-engineers-behind-googles-bookbot-have-launched-a-delivery-robot-startup/

◇Pitchbook:
https://pitchbook.com/profiles/company/431718-58#overview

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さえきあき

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エストニア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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