オープンデータ度でマレーシアが世界1位に 

マレーシア

マレーシア統計局によると、公式データの公開度2024/25年のランキングでマレーシアが2年前の67位から大きく躍進し、全198ヶ国中第1位の座を獲得しました。

なぜここまでのランクアップが可能だったのか、この事実が今後のマレーシアや地域社会にどんな影響を与えるのかについて深掘りします。

オープンデータ度でマレーシアが世界1位に   

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年8月1日

「Openness(開示性)」で99点という驚異的なスコア

このランキングはオープンデータの度合いを「公開の範囲」と「開示性」という2つの項目で調べ、100点満点で点数化しています。

マレーシアは、2022/23年にはスコアは59点で67位、その前の2020年にはスコアは53点で78位でした。今回は開示性で99点、総合点で90点という飛躍的な上昇を果たしています。

オープンデータプラットフォームの導入

大きな契機となったのが、2022年7月のOpenDOSM(統計局のオープンデータプラットフォーム)の導入で、2023年にはフルリニューアルしています。

統計局の単独のプラットフォームと、マレーシア政府が運営する全国統一のオープンデータポータルサイト(data.gov.my)の整備・展開によりデータの量や質などが飛躍的に向上し、ランキングがアップしたと見られています。

2位はシンガポール

シンガポールは2位で、以下にフィンランド、デンマーク、ポーランド、ノルウェーといった北欧諸国が続き、日本は47位でした。

主任統計官のモハメド博士は「この成功は、マレーシアが公式データの公開性と網羅性において世界的に競争できる能力があることを証明している」と声明で述べました。

また「透明性とデータの公開性を維持するには、長期的な計画、継続的な資金提供、そして部門間の連携が必要になる」と付け加えました。

マレーシアの政治・経済への影響

この結果がマレーシアの社会にどのような影響を及ぼすと考えられるでしょうか。

まず、データに基づく政策決定が可能となり、行政への信頼性が高まり、国際的評価・投資を呼び込むことが可能になります。現在、ジョホール州やクアラルンプール周辺などでは、データセンターや製造業のハブ整備が進んでおり、さらなる経済発展につながる可能性があります。

データの公開と可視化は監視機能を強化し、腐敗や不正の抑止につながることが期待されます。マレーシアは、2023年には汚職認識指数で50点、57位に留まっていて、今回の結果がマレーシアの改革努力を後押しすることが期待されています。

アジア地域への波及効果

先進国のシンガポールやフィンランド、欧州諸国に勝利したことで、アジア内のベスト・プラクティスモデルとして評価されています。アジアをリードするオープンデータシステムの構築として波及効果が見込まれています。

今後への展望と課題

統計局は今後も更新と改善を継続していく計画です。

現在このシステムは年次統計が中心ですが、将来的にはリアルタイムに地理情報や選挙・交通などのデータ開放強化されていくことが期待されています。

「ランキングで勝った」だけで終わらず、ヘルスケアや都市計画への応用など、実際の経済活動や市民生活の改善につながる、実用的なものに転換することが今後の鍵となるでしょう。

この首位は終着点ではなく、あくまでもスタート地点なのです。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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