NVIDIA、Google、Appleが選ぶマレーシアの魅力 |地理的優位性と産業基盤が評価
マレーシアの政府は、半導体産業の更なる発展を目指して「国家半導体戦略」を新たに発表しました。これにより、海外企業の誘致やインフラ整備、人材育成への取り組みを強化し、マレーシアの半導体産業を「次のステージ」に引き上げようとしています。
マレーシアは既に世界第6位の半導体輸出国であり、東南アジアの中心的な立地や成熟したエレクトロニクス産業、低コストな優秀な人材といった強みを活かしてきました。政府の後押しもあり、NVIDIA、Google、Appleといった大手企業が相次いで投資を表明するなど、マレーシアが半導体産業の新たなハブとして期待されています。今後、設計機能の強化による付加価値向上など、マレーシアの半導体産業がさらに飛躍する可能性に注目が集まっています。
今回はこの記事を中心に、マレーシアの半導体産業について深掘りしたいと思います。
世界的な半導体製造拠点を目指しているマレーシア
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年8月8日
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半導体輸出国
マレーシアは世界の半導体の組立て、およびテスト市場のシェアの13%あまりを占める世界第6位の半導体の輸出国で、世界市場シェアの7.0%を占めています。
主要経済国における金融政策の引き締めや、米国と中国の間の緊張関係が業界に悪影響を及ぼしていることで、マレーシアの半導体業界は課題が残り不安を見せていましたが、復活の態勢が整い2024 年の後半は特には回復し、明るい未来の可能性が出てきそうです。
「国家半導体戦略」
アンワル首相は250億リンギ(約8,475億円)を投じて、海外の半導体メーカーの投資誘致に力を入れるほか、人材育成や中小企業の支援を強化、新たな「国家半導体戦略」を発表しました。
政府は総収入が10億リンギット(約340億円)を超える半導体関連企業を約100社設立するという目標を掲げ、これによりマレーシア人の賃金の引き上げを目指し取り組みます。
ICの設計拠点に
以前の記事でマレーシアの半導体産業への海外からの投資が増えていることをお伝えしましたが、改めてマレーシアの強みについて解説します。
①戦略的な地理的位置
マレーシアは東南アジアの中心に位置していて、アジア全域へのアクセスが非常に容易です。この地理的優位性によって物流コストが低減され、日本や中国、インドなどの主要市場への迅速なアクセスが可能です。
②成熟したエレクトロニクス産業
マレーシアは長年にわたるエレクトロニクス産業の経験を持っているため、インフラやサプライチェーン、そして熟練した労働力が整っています。特にペナン州は「東洋のシリコンバレー」とも称され、多くの半導体関連企業が集積しています。
③政府の支援と政策
政府は今回の「国家半導体戦略」だけではなく、ハイテク産業の育成に積極的に取り組んでいます。例えば、投資誘致政策として「マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)」が長年にわたって推し進められており、税制面での優遇措置やインセンティブも提供しています。
④ 低コストで優秀な労働力
マレーシアの労働コストは先進国に比べるとまだ低く、さらにエレクトロニクス産業の充実で熟練した技術者が多いため、高品質な生産が可能です。さらに英語が通じることも、国際的なビジネスを円滑に進める上では重要です。
大きく発展する可能性を秘めている
時価総額で先ほど世界1位になった「NVIDIA」がマレーシアへの巨額な投資を発表しており、Google も投資を決めています。さらにApple もマレーシアでの製造拡充を検討していています。
アジアの半導体ハブを目指すマレーシアの取り組みに、さらに拍車がかかることは間違いないでしょう。