マレーシアのデジタル革命|クアラルンプールのスマートシティ化が示す投資機会
2024年のスマートシティランキングで、クアラルンプールが前回の89位から73位へと大きく順位を上げました。コロナ禍を契機に加速したデジタル化、政府主導の「スマートシティプロジェクト」、そして1996年から続く「マルチメディア・スーパー・コリドー構想」。これらの取り組みがクアラルンプールを東南アジアのデジタルハブへと押し上げています。
本コラムでは、マレーシアのスマートシティ戦略から見えるビジネスチャンスと今後の展望を探ります。
スマートシティランキング |クアラルンプールは順位を上げる
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年7月11日
世界の主要都市をランキング
スマートシティランキングは2019年から毎年発表されており、世界各地の主要都市で市民に対して聞き取り調査を実施し、各都市のインフラやテクノロジ、サービス、雇用や教育などの分野でそれぞれ評価し、ランク付けしています。
チューリッヒが 5年連続で世界で最もスマートな都市に輝いており、オスロが2 位、キャンベラが3 位と、トップ3 の順位は前回の調査と変動はありませんでした。
シンガポールがアジアの都市としてはトップの5位となっています。
クアラルンプールは前回の89位から順位を上げており、東京は86位にとどまりました。
クアラルンプールの評価
この報告書によると、クアラルンプールは、以下の点で他の都市と比べて優位性があると評価されています。
・オンラインでのチケット購入の容易さ
・オンラインの求人リストに簡単にアクセスでき、仕事が見つけやすい
・オンラインで医療機関の予約が簡単にでき、利用者の利便性を向上させた
・オンラインで、チケットの購入や運行状況が確認でき、公共交通機関の利用がより容易にできる
一方、クアラルンプールの欠点について示されています。
・交通渋滞
・汚職
・大気汚染
・手頃な価格の住宅が少ない
以上の項目が、懸念されている問題だと指摘しています。
コロナ禍で一気に進んだスマート化
コロナ禍で、マレーシアのスマート化は一気に進んだのが、生活をしていると実感できます。
街を歩けば、あらゆる場面でスマートテクノロジーが活用されていることに気づきます。
交差点の高度な信号制御システムで、交通の流れをコントロールし、また、公共の場所や主要な施設では、無料のWi-Fiが提供されているため、常にインターネットに接続できます。
街全体がデジタルでつながっているため、スマートフォンやモバイルアプリで、駐車場など公共サービスなどを含むあらゆる支払いが簡単にできます。
コロナ禍で整備されたシステムで、コロナやデング熱など危険性の高い疾病に関しては、周辺でどのくらい罹患者が出ているのかを簡単に確認できます。
スマートシティプロジェクト
マレーシア政府は、クアラルンプールを含む複数の都市で「スマートシティプロジェクト」を推し進めています。
ICT(情報通信技術)が導入され、デジタルでのサービスの提供が進められています。
マレーシア政府は「デジタル経済戦略」を積極的に推進しており、適切な法制度を整備してスマートシティの安全性とプライバシー保護を強化しています。
民間の協力を重視し、スマートシティの推進において助成金や税制の優遇措置を行い、イノベーションセンターを設立するなどして、民間企業やスタートアップの支援を積極的に行っています。
デジタルトランスフォーメーション推進
1996年にマレーシア政府は「マルチメディア・スーパー・コリドー構想」を開始し、情報デジタルの強化に重点的に取り組んでいます。
以降マレーシアのデジタル分野での各種指数は上昇しており、東南アジアではいずれもシンガポールに続く第2位となっています。特にインターネット普及率やデジタル決済率では非常に高い数値を誇っています。
クアラルンプールのスマートシティ化の進展は、マレーシア全体の経済と社会の発展に貢献していて、持続可能で革新的な都市が築かれていくことが今後も期待されています。