コクヨの東南アジア戦略:マレーシア直営店から見る日本文具の未来

マレーシア

グローバル市場で存在感を増す日本の文具ブランド。コクヨが2024年5月、東南アジア初の直営店をマレーシアにオープン。このビジネス展開から、アジア市場における日本製品の潜在力と戦略が見えてきます。経済成長と教育熱の高まりを背景に、付加価値の高い文具市場が拡大中。
日本文具の機能性、デザイン、そして「kawaii」文化が、どのようにグローバルビジネスの成功につながるのか。

今回はこの記事を中心に、マレーシアでも人気な日本の文房具について解説します。

【2024年最新】コクヨ、マレーシア進出!日本文具の海外戦略とは  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年7月25日

東南アジア初の直営店

東南アジア初となるマレーシアの直営店は、売り場面積が約80平方メートル、学生向けの文房具などを中心に、約1,500品をそろえる予定です。

入居するモール「the Starling」は、クアラルンプールに隣接する衛星都市のPetaling Jayaにあり、モールの周辺には、高層マンションやオフィスビルが立ち並ぶ中に昔ながらの商店などが混在しています。平日は多くのオフィスワーカーが来店しており、夜間や週末には近隣のファミリー層で賑わっています。

1997年に現地法人

コクヨは1997年に現地法人を立ち上げており、オフィス空間を企業に提案する事業をメインに展開しつつ、文房具の販売も行っていました。

2022年には市場調査を行い、マレーシアが近年経済成長していることに加え、学生の勉強熱や親の教育熱が高まっていることから、手応えを感じていたそうです。

2023年には今回出店する「the Starling」と、マレーシアでも最大規模のモールである「1 Utama Shopping Centre(ワンウタマ・ショッピングセンター)」で期間限定でポップアップを開催しました。延べ2,000名を超える人が来店し、学生から社会人まで、多くの客層から好評を得ていました。

海外1号店は上海にオープン済み

コクヨは2022年7月、中国の上海に「キャンパス・スタイル」の海外店舗の1号店を開業していて、学生や20~30代の女性を中心に好評を得ています。

さらに2023年10月、タイの首都バンコクのショッピングモールで、ポップアップショップをオープンし、やはり学生を中心に人気を博しています。

付加価値文具市場が拡大

経済が発展中の国では学生の勉強熱の高まっており、ソーシャルメディアなどによって自己を表現するニーズの高まりもあり、コクヨは付加価値のある文具の市場が拡大していると見ています。

文房具事業はお客様との接点をより強化していくことにより市場をとらえて、グローバルで事業領域をさらに拡大していく予定だそうです。

書道の伝統

日本では、手書きは非常に尊重され、幼い頃から手で書くことに興味をもつように支援する伝統があります。

書道はその伝統のひとつで、世界的にも日本の「カリグラフィー」として、複雑な漢字や文字を筆やペンを用いて美しい線で書くことが、高い評価と強い関心を得ています。

日本人は非常に洗練された文房具製品を好むため、日本の文具は高品質であると、高く評価されています。

なぜ世界中の人に日本の文房具は愛されるの?

なぜ、日本の文房具は世界的に評価され、人気があるのでしょうか?

その理由としては、まず非常に機能的で実用的であるという点です。
機能的であるばかりではなく、細部へのこだわりや顧客への配慮をも込められています。

そして何より、美しくてとてもかわいいデザインであることが人気の理由になっています。

日本文化の「かわいらしい」という要素は、海外でも広く「kawaii」として知られていて、文具製品も例外ではありません。

例えば、ノベルティ消しゴムはかわいくて大人気ですし、和紙テープは、テープに似た機能を驚くべきことに紙で見事に再現しており、外国でも非常に人気があります。

創造的なプロセス

日本人はしばしば自虐的に「日本人には創造性がない」と言いますが、決してそんなことはないでしょう。

日本人は細部へのこだわりが強く、顧客の要望を最も尊重し、非常に創造的なプロセスで製品を完成形へと導きます。

これらの独特の要素が、海外の顧客を魅了し興奮させているのです。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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