愛犬同伴でスペイン移住を実現 | 空の旅への備えと乗り越えるべき壁

スペイン

先日の日本航空(JAL)機と海上保安庁機の衝突事故において、ペットは機内から持ち出せないルールでペット2匹が犠牲になった。これに対して色々な立場の人の意見があり、物議を醸したのは記憶に新しい。そもそも飛行機で移動するような長距離の旅行に犬を連れていくなんて言語道断というような厳しい意見も目にした。

しかし世界中でペットと生活を共にする人々が増加している中で、筆者のように旅行ではなく引っ越すためにペットと長距離移動を余儀なくされる人もいる。本記事では、犬同伴で日本からスペインへ移住した体験談をお伝えする。

EU圏へ犬同伴で移住する方法|スペイン

   著者:スペインgramフェロー 北田ミヤ
公開日:2023年12月28日

日本在住時にやるべきこと・Part1

日本国内には犬を連れて海外へ移動するための諸手続きを代行してくれるエージェントが存在する。行先やサービス内容にもよるが、平均で約10万円〜30万円程度のコストがかかるようだ。今回はエージェントを利用せず飼い主自身で手続きを行うのを前提に、筆者の経験をもとにお伝えしたい。

筆者の場合、最終目的地はスペインであったが、引っ越し時にまだ日本⇔スペインの直行便はなく(2024.10末よりイベリア空港による直行便が再開する記事はこちら「スペイン⇔日本直行便の再開が決定!」)、フランス (シャルルドゴール空港)での乗り換えが必要だった。スペインより先にフランスに入国するため、どちらの国の入国条件に基づいて準備すればよいかわからず大使館に問い合わせたところ、最初に入国するEU国の動物輸入規定に従うとの解答を得た。

日本在住時に行うべき必要な手続きは以下の通り。

① マイクロチップの装着 規格 ISO11784 (HDXまたは FDX-B方式)
 愛犬にマイクロチップが装着されていることを確認する。このチップはEU域内での識別に必要となる。念のため筆者は事前にかかりつけの動物病院にてマイクロチップリーダーで登録番号と登録完了通知書の番号が正しいかを確認してもらった。

※一般的に日本で利用されているマイクロチップはISO11784/5に準拠している

② 狂犬病の予防注射
1年以内(接種後1か月以上経過)の狂犬病の予防接種の証明が必要。接種を受けた動物病院にて接種証明書にワクチンのメーカー名とLot番号、獣医のサインを英語で表記してもらう。

(狂犬病血清検査は日本は免除)

③ 混合ワクチン予防注射
狂犬病同様、1年以内の予防接種証明に同じくメーカー名の英語表記を依頼した。

④ NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)登録
NACCS(動物検疫関連業務)を初めて利用する場合、利用者IDを取得する必要がある。

また、届出・申請を行うにあたり、以下の書類を準備する。

・届出者または申請者住所と氏名
・マイクロチップ装着証明書
・狂犬病予防接種(ワクチン)証明書(狂犬病予防接種済証)
・犬/猫の名前、生年月日、品種など

詳細な手続きについては、以下のリンク参照

(リンク:犬、猫を輸出するには:動物検疫所 https://www.maff.go.jp/aqs/animal/aq12-1.html

(参考元:ペット輸出入許可証の申請サポート – ペット海外渡航サポートーPaw  https://paw-pet.net/permit/

(参考元:BURDEN PET RELOCATION  https://pet-relocation.burden1.info/

日本在住時にやるべきこと・Part2(出発当日)

出発当日は動物検疫所での検査が必要だ。(要予約)

筆者は羽田 00:05発の便だったため、犬の待機時間の負担も考慮し羽田の検疫所で検査できる一番遅い時間の16:30を予約しておいた。

検査自体は30分もかからなかったと記憶している。

この当日の検査の際に入手できる「輸出検疫証明書」は、EUに入国するために必要なEU指定用紙の健康証明書の代用として可能である。

航空会社のルールは?輸送方法はどうする?

犬・猫などのペットを海外へ送る方法は、手荷物と見なして飼い主と一緒に飛行機に搭乗する方法(ハンドキャリー)と、 航空貨物と見なして輸送する方法の2種類に分けられる。ハンドキャリーはさらに、客室へ持ち込む方法(ペットインキャビン)と、 スーツケースなどと同様に機内預け荷物として送る方法(ラゲージ扱い)に分かれている。

欧米諸国のほとんどでは手荷物と見なして飼い主と一緒に飛行機に乗ることが可能だが、行先や航空会社によってルールが異なるため、しっかりとした下調べが必要だ。

今回筆者が選んだ航空会社はAir France。理由はいくつかあるが、事前のリサーチでPet Friendlyな航空会社であること、バッグも含め8キロ未満の犬はエコノミー、プレミアムエコノミーへのペットインキャビン(一緒に客室に入れる)が可能なことなどが決め手となった。

◆Air Franceの主なルールは以下の通り。

・出発48時間前までにペット輸送予約手続きが必要。
・犬または猫の重量が、ケージを含めて8 kgから75 kgの場合、預かり輸送のみ可能。
・ペット輸送は、航空券運賃に含まれておらず、空港で追加料金の支払いが必要。
・機内に持ち込めるペットの頭数には限りがあるため、筆者は飛行機のチケットを予約する時に予約したい便に犬を持ち込めるかを確認し、それから席を確保した。

その際に航空会社からは犬の重量とバッグのサイズ確認があった。

犬を機内に持ち込む場合は、国際航空運送協会(IATA)の規定を遵守したペットキャリーを使う必要がある。動物が立ったり向きを変えたり、横になったりすることを自然に行えるような広さ、少なくとも3サイドに喚起口がなくてはならず、動物が逃げられないような大きさで、メッシュで覆われている必要がある、などの様々な条件がある。

これらはキャビン持込用ではなく貨物持込のためのハードケースの情報で、機内持込可能なソフトケースのIATA規格は見つけることができなかった。最終的に筆者が用意したソフトケースは両サイドが蛇腹状に拡張できる44×30×29のものだったが、問題なく搭乗できた。

(参考元:IATA – Traveler’s Pet Corner https://www.iata.org/en/programs/cargo/live-animals/pets/

(参考元:ペット同伴でのご旅行 | エールフランス航空
https://wwws.airfrance.co.jp/ja/information/passagers/voyager-avec-son-animal-chien-chat

実際に出国・入国した体験談

日本国内の空港は犬がケージから出ることはできないため、出国当日の検疫後はフライトの時間近くまで空港外の芝生で過ごして時間を潰した。

もともと吠えない犬なのでその辺りの懸念は無かったものの、幸いフライト中はほとんど眠っていたようだ。機内では基本的にケースから出ることはできないが、時折水をあげたりする際も客室乗務員の方々は大変親切に優しく声をかけてくださった。

14時間50分のフライトを経て、経由地フランスへの入国審査はあっけない程簡単だった。犬に対するチェックは一切無く、準備した書類を渡すこともなく、そのまま入国。日本国内とは違い、到着後はすぐにケージから出て空港内を歩くことができた。

トランジットは犬の負担を考えて7時間後の便にし、余裕をもった乗り換えにした。フランス入国後は一旦空港外へ出て散歩やカフェを楽しみ気分転換し、再度Air Franceの便に乗り込みついに目的地のスペインへ。

スペイン入国もフランス入国時と同様、一切のチェックは無く、こちらから「犬を連れているんですが」と声をかけたが特に手続き等は無かった。そのため用意した書類は現在も手元にある。

この書類は入国後にEUパスポートを作成する際に役立つこととなる。ペットのEUパスポートに関しては次の記事をお読みいただきたい。

まとめ

振り返ってみると、ただでさえ煩雑な海外引越し手続きに加え、初めて犬を国際線に同伴するのは、犬の体調管理や書類の不備がないかなど不安で一杯だった。しかし実際に経験してみるとそこまで難しいことはひとつもなく、大変スムーズだったように思う。特に入国に関しては想像以上にあっけないものであった。

今回利用した航空会社はAir Franceで、EU国に入国する場合という限られた情報・体験談ではあるが、今後ペットを伴って長距離移動する飼い主の方々の参考になれば幸いである。

北田ミヤ

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スペイン在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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