シンガポール空港が世界に先駆け”パスポートレス”へ |入国審査の完全自動化を実現
シンガポールは2024年後半に入国管理の新システムを導入し、出国時にパスポートを使わず自動ゲートを使って出国できるようにする計画を明らかにしています。
常に世界の最先端を行っているシンガポールのチャンギ空港ですが、国際ハブ空港としてさらなる進化を続けていきそうです。
この記事では何回か取り上げましたが、あらためてチャンギ空港のすごさについて紹介します。
チャンギ空港、入出国管理の未来形| パスポートなしで入国可能になる日
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2023年 11月17日
世界初
2024年に導入する「次世代国境管理システム」では、入出国時に、外国人も含むすべての人が自動ゲートを通れるようになり、出国時はパスポートの提示も不要となる予定です。
出入国審査時における自動ゲート化は、2022年5月にチャンギ空港とマレーシアとの陸路の国境検問所で導入され始め、徐々に台数を増やしてきました。
2024年の第1四半期までには、まずはチャンギ空港を使って入国する人の95%が自動ゲートで入国審査を受けられるようになる予定です。
シンガポールは2024年中にはパスポートを使用しないで入国手続きが自動でできる、世界で最初の国になるようです。
生体認証を使用
システムとしては、パスポートの代わりに生体認証が本人確認の証明として用いられます。
出国審査時や手荷物を預ける際、搭乗時に使用され、この時には認証トークン (QRコード)を使用して自分で自動申告ポイントにチェックインする方法のようです。
テオ通信大臣は「乗客はパスポートや搭乗券を提示する手間が減り、よりシームレスで便利な処理が可能になり、チェックインプロセスがさらに進んだデジタルレベルに移行する」と、議会演説で述べています。
出入国管理局の権限拡大
今回のシステムの導入で、出入国管理局はすべての入国方法において事前に旅客などの情報を収集する権限を持てるようになります。入国管理以外の犯罪を犯したシンガポールにとって「好ましくない人物」に対して、搭乗禁止の指令を出す権限をもつことになり、国境管理が強化されることになります。
旅行者を安全で効率的に管理
2023年8月の1ヶ月だけで515万人以上の乗客がチャンギ空港を利用しています。
これは2019年の8月に記録した600万人近い数に迫っており、観光産業がパンデミックの影響から回復を続けていることを示していて、2024年も順調に増加していくと予測されています。
また、ターミナル5 が2025年に建設が開始されます。2030年代の半ばには完成・運行を開始する予定で、さらに乗客数は増加すると予想されています。
テオ大臣は「増え続ける大量の旅行者を、安全を確保しながら、効率的に管理し続けなければなりません」と述べています。
常に世界最先端
シンガポールのチャンギ空港は常に世界最高にランクされていて、ワールドベスト空港にも選ばれています。
今回の新システムの導入でさらに最もハイテクな空港になるでしょう。
チャンギ空港の凄さは、設備面だけではありません。サービスなどのソフト面でも、常に世界の耳目を集めていて、世界で最も高い40mの屋内の滝をもち、900 本以上の木と、 60,000 本に及ぶ低木が植えられたテラス上のガーデンをもって、利用客を楽しませています。
世界最長のすべり台があり、子どもも大人も楽しめる一大エンターテインメントスポットとして、観光の顔にもなっています。
大胆な政策を実行
シンガポールのすごさは、人口も土地も少なくこれといった観光資源がないことをしっかりと自覚して、それをカバーするために優秀な人材を自国民に限らず積極的に育成・採用し、大胆かつ強力に政策を実行していく力です。
シンガポールの動きから今後も目が離せません。