世界イノベーション指数    2年連続アジアトップ

シンガポール

世界知的所有権機関(WIPO)によると、2024年版「世界イノベーション指数」でシンガポールは世界4位、2年連続でアジアの首位を保ったことがわかりました。

すでに何回かの記事でシンガポールのイノベーションのすごさについて解説してきましたが、あらためてシンガポールのイノベーションの取り組みについて詳しく紹介します。

世界イノベーション指数    2年連続アジアトップ

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2025年 4月25日

「グローバル・イノベーション・インデックス(GII)」

「世界イノベーション指数」とは、世界知的所有権機関(WIPO)が世界各国・地域のイノベーション能力を評価する指標で、毎年発表されています。

この指数は、特許出願数や研究開発投資、高等教育の水準、インフラ整備など、イノベーションに関係するさまざまな指標をもとに算出されます。

2024年版ではスイスが14年連続で首位を維持し、以下スウェーデンが2位、アメリカが3位となっています。日本は13位となり前年と同順位を維持しています。

この指数の意義は、各国のイノベーション能力を比較することで、国や企業が戦略的な意思決定を行う際の重要な指標となり得ることです。

シンガポールのイノベーションの実例

シンガポールのイノベーション力のすごさの実例をいくつか紹介しましょう。

①デジタル政府サービスの強化
政府は「スマートネーション」構想を掲げて、デジタル化を国家全体で推進しています。デジタル政府サービスの強化に取り組み、ほとんどすべての申請がオンラインで可能となっており、市民の利便性向上が実現されています。

②オープンイノベーションの推進
官民が協力してオープンイノベーションを推進していて、共同開発や実証実験を行っています。これによりイノベーションシステムが活性化し、多くのスタートアップ企業が育っています。

③5G技術の導入
シンガポールテレコム(Singtel)は、5G技術を活用した無人店舗「UNBOXED」の展開を進めており、デジタル・ヒューマンの「ステラ」を導入しています。これにより非接触でフレンドリーな接客が可能となり、消費者の体験の向上が図られています。

シンガポールアジア首位の背景

シンガポールが技術革新力でアジア首位となった背景にはこのような政府の積極的な政策がありますが、そのほかに地理的な優位性や積極的な多国籍企業の誘致、そして高度な人材育成など、複数の要因が作用しています。

①多文化共生と人材の多様性
多民族国家であるシンガポールは、多文化共生の社会を見事に築いています。これによりさまざまな視点からのアイデアが生まれ、創造性やイノベーションが促進されています。また、積極的に高度な外国人人材を受け入れることで専門的な人材を確保し、産業の高度化を支えています。

②高度なインフラと物流
世界有数の空港や港湾を有していて、物流インフラが高度に整備されています。これにより貿易やサプライチェーンの効率化が進み、経済活動の基盤となっています。

③優れた高等教育
シンガポールは教育水準の高さが際立っています。 特に科学や技術、工学などの高等教育に力を入れ、創造性や問題解決能力の育成が図られていて、それが技術革新や経済成長の基盤となっています。

躍進が期待

シンガポールは引き続き研究開発への投資と人材育成を強化し、技術革新力のさらなる向上を目指しています。

これらの取り組みにより、シンガポールはアジアにおける技術革新のリーダーとしての地位を一層強固なものにすることが予想されます。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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