平均寿命83.5歳 シンガポール 

シンガポール

シンガポール統計局は、2024年のシンガポール居住者の出生時における平均寿命が前年から上昇したと発表しました。2023年の83.2歳から83.5歳へと0.3歳上昇しました。

今回はこのニュースについて深掘りして説明します。

平均寿命83.5歳 シンガポール  

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2025年 8月1日

世界でもトップクラスの長寿国

シンガポールは世界で最も高い平均寿命を誇る国のひとつです。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で2020年から2023年にかけて平均寿命が低下していましたが、回復傾向にあることが明らかになりました。

過去10年間で男性の平均寿命は2014年の80.3歳から0.9歳延び、女性の平均寿命は84.8歳から0.8歳延びました。

シンガポールの総人口は604万人

シンガポールの総人口は2024年6月時点で604万人となり、初めて600万人の大台を超えています。

外国人労働者や留学生などの外国籍の非居住者の人が、全体の約4割の約240万人を占めています。

日本同様に急激に少子高齢化が進んでいるのが現状です。

平均寿命が延びた要因

平均寿命が延びた要因として、以下の点があげられます。

1. 医療制度
シンガポールの医療制度は、Medisave、Medishield、Medifundの「3M」モデルを基盤としており、国民の医療費の自己負担を抑えつつ、質の高い医療サービスを提供しています。これにより予防医療や早期治療が促進され、健康寿命の延伸に寄与しています。

2. 健康的なライフスタイル
喫煙率は14%と低く、成人の肥満率も10%未満となっています。政府主導で健康診断やさまざま生活習慣改善プログラムが実施されており、テレビでも盛んに啓もう活動が行われ、国民の健康意識の向上が見られます。

3. 健康的な生活
65歳以上の高齢者のうち、85%が健康で活動的な生活を送っているとされています。老後の生活の質も高く、平均寿命が延びている要因となっています。

シンガポール社会への影響

このニュースはシンガポール社会にもさまざまな影響を与えるでしょう。

1. 高齢化社会への準備
平均寿命の延伸は、高齢化社会の到来を一層加速させることを意味します。シンガポールでは65歳以上の高齢者人口が急速に増加しており、約20%に達しています。これにより、医療、介護、福祉サービスの需要が増加、社会保障制度の負担が増大して、高齢化社会への準備が加速されています。

2. 医療インフラ整備
高齢化によって医療・介護のニーズが高まっています。政府はすでに保険制度を強化しており、介護施設の拡充や在宅医療の普及も進めています。 しかし、地域密着型の進んだケアサービスや、若年層の介護人材の育成が急務となっています。

3. 労働力の変化
高齢者の雇用促進が重要な課題となっていて、政府は65歳以上のシニア層の再雇用機会を提供し、定年延長を進めています。

4. 世代間の負担の増加
高齢者が増える一方で若年層の人口は伸び悩んでおり、世代間での負担の偏りが問題となっています。特に、年金や医療保険などの社会保障制度における財政面での負担増に対して不安感が広がっています。

急速に進む高齢化社会への対応が急務

シンガポールの平均寿命延伸は、社会全体に多大な影響を与えます。

高齢化の進行に伴い、医療や介護、労働力市場の変化が予想され、これらに対する適切な準備と政策の転換が求められます。健康寿命の延伸を図るための国民全体の意識改革も重要であり、シンガポールは引き続き革新的な方法で高齢化社会に対応しなければならない時期に差し掛かっています。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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