リー家から新時代へ:変革期のシンガポール

シンガポール

建国59周年を迎えたシンガポール。今年のナショナルデーは、リー・シェンロン前首相からローレンス・ウォン新首相への交代後、初めての独立記念日となります。国父リー・クアンユー氏の時代から続いた体制が大きく転換する中、新たな指導者たちは「Together, As One United People」をテーマに掲げました。
マレーシアからの分離独立以来、多民族国家として驚異的な発展を遂げてきたシンガポール。その歴史的転換点となる2024年のナショナルデーから、新時代のシンガポールの方向性を読み解いていきます。

シンガポールのナショナルデー(National Day)

   著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2024年 10月4日

新たな体制下初のナショナルデー

以前こちらでお伝えしたように、シンガポールは国父で初代首相の「リー・クアンユー」氏の息子「リー・シェンロン」前首相から、ローレンス・ウォン首相へと首相が変わりました。

大統領も昨年9月にターマン・シャンムガラトナム大統領に代わっており、国家のリーダーの顔ぶれが新しくなって迎える初めてのナショナルデーになります。

新たな時代の夜明け

ナショナルデー・パレード(NDP)を中心に、軍事パレード、市民パレード、文化パフォーマンス、花火など建国を祝う式典やイベントが数多く開催されました。

中でも夜の花火は圧巻で、シンガポールの新たな時代の夜明けを実感できました。

「Together, As One United People」(共に、ひとつの国民として)

建国59周年の今年のNDPのテーマは「Together, As One United People」でした。

独立記念日のテーマは、国民の団結を呼びかけるものが通例ですが、今年のテーマも例外ではありません。「共に、ひとつの国民として」というテーマのもと、国民はシンガポールの大成功を祝い、多様で包括的な未来を築くために団結することを使命として掲げています。

シンガポールの国旗の意味

シンガポールの国旗は白と赤で構成され、水平の下半分の赤色は人類の普遍的な兄弟愛と平等を象徴しています。白は普遍的で永遠の純粋さと美徳を象徴しています。

左上の赤い部分には描かれている白い三日月は、若い国家であることを表します。月の隣にある5つの星は、シンガポールの民主主義、平和、進歩、正義、平等の理想を表しています。

掲げなければ罰金

ナショナルデー近くになると、HDBと呼ばれる公共住宅には国旗がずらりと掲げられて非常に壮観です。都市国家で罰金国家のシンガポールならではの光景と言っても過言ではありません。

国旗の掲揚を忘れたり、傷つけたり、期間を過ぎても掲げていると罰金が課されるのは、さすが「罰金都市」シンガポールですね。

国家のアイデンティティの形成

ナショナルデーの式典は、シンガポールの国民のアイデンティティを形成する上で非常に重要な役割を果たしています。祝祭のときには、民族を越えて、シンガポール国民としての社会的な結束と一体感を生みます。

この日最も重要なのは、国の功績を祝い、進歩をみんなで称えることです。シンガポールを現在の栄光ある高みへと押し上げた先人の功績をたたえ、革新の精神を燃え上がらせ、前を向く力を与える日であるということです。

Majulah Singapura

シンガポール国歌「Majulah Singapura(進め!シンガポール)」は、まさにシンガポールの驚異的な都市国家としての歩みを示しています。

ナショナルデーの祝賀行事も年々進化していますが、変わらないものがひとつあります。それは、シンガポール国民の揺るぎない国家の誇りの精神です。

シンガポールは今後も素晴らしい発展を遂げていくでしょうが、国の揺るぎない精神や国民の誇りは、「Majulah Singapura」に示されているように、絶え間なく守られ続けることでしょう。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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