アジアのスタートアップ拠点として躍進|シンガポール

アジアを代表するスタートアップのハブとして、シンガポールが急速に台頭しています。
戦略的な立地で政府の強力な支援があり、しかもビジネスに優しい環境で知られ、世界中の起業家や投資家、イノベーターを引きつけています。
今回は、小さな都市国家のシンガポールが、スタートアップの拠点として企業を惹きつけているその理由を探ります。
アジアのスタートアップ拠点として躍進
著者:シンガポールgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 3月28日
世界の7位

世界銀行などの国際レポートでは長年にわたり、シンガポールは世界トップクラスのビジネス拠点の 1 つとして認められてきました。
「グローバル スタートアップ エコシステム レポート 2024」では 前年の8位からワンランクアップして7 位となり、 東南アジアでは唯一世界トップ10リストにランクインしています。代表的なアジアのハブである北京や東京、上海、ソウルを上回りました。
東南アジアの取引量の6割強
シンガポールに拠点を置くスタートアップは、2023年、ASEAN6ヶ国内のすべての株式取引の63.7%を確保し、2022年の56.7%から顕著な増加を示しています。取引件数も前年比の31.4%増で大幅な成長を遂げました。
特に健康分野や教育分野が活況を呈していて、東南アジア全域への市場アクセスを武器に、多国籍企業がシンガポールを拠点とする動きも増加しています。
近年では日本企業も投資やパートナーシップを積極的に進め、アジア市場進出の拠点として注目しています。
成功したスタートアップの具体例
では、シンガポールで成功したスタートアップの代表例を紹介しましょう。
①Grab(グラブ)
2012年に設立されたアジアを代表する配車アプリで、現在ではフードデリバリーやデジタル決済などを提供するスーパーアプリへ進化しています。配車サービスの雄「Uber」をアジアからわずか数年で撤退させました。2021年のNASDAQへの上場後、評価額は400億ドルを超えています。
②Sea Group(シー・グループ)
2009年設立のデジタル決済やeコマースを中心にしたテック企業で、「Shopee」を運営しているシンガポールを代表する多国籍企業です。
「Shopee」は何といっても安さが大きな魅力で、アプリも使いやすく、英語、マレー語、中国語と多言語対応なので便利です。マレーシアの月間のユーザー数は約3,000万人を越えています。
③Carousell(カルーセル)
2012年設立のオンラインマーケットプレイスで、現在8ヶ国以上でサービスを展開するユニコーン企業です。
シンガポールの優位性
なぜシンガポールでは多くのスタートアップ企業が誕生し、世界へ大きく羽ばたいていけるのでしょうか。その理由を解説します。
①税制の優遇
シンガポールではスタートアップ企業は3年間、その利益に対して課税が免除されます。また、シンガポールは法人税率が17%と世界的にも低水準で、企業支援が充実しています。
②資金調達の支援
政府、特にEDB(経済開発庁)が出資する投資スキームがあり、特にテック分野の企業に対し、ベンチャーキャピタルと共同で資金提供を行っています。
③グローバルネットワークの構築
シンガポールはASEANのハブとして東南アジア市場へのアクセスが容易という立地的な優位性があります。また、グローバル人材の誘致を目的とした「EntrePass」ビザにより、起業家が自由に活動できる環境を整備しています。
④イノベーションハブの設立
国家プロジェクトである「One-North」と呼ばれる、知的創造産業や国際研究開発事業推進のためのエリアには、スタートアップや研究機関が密集し、技術革新が促進されています。
ASEAN市場との連携強化
シンガポールは今後もテック分野やグリーンテクノロジー、さらにフィンテックの分野での成長が期待され、シンガポールを拠点とするスタートアップは、ASEANの成長を取り込む形でさらに進化すると予想されています。そしてアジア全体のスタートアップシーンをけん引し続けていくことが期待されています。