中国で拡大するネイル市場と現在のトレンドとは

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最近、日本でも目にするようになったインフルエンサーという意味の中国語「ワンホン」。ワンホンを参考にしたメイクやファッション、そしてネイル産業においても「ワンホンネイル」は注目されている。近年、中国ではネイル市場が拡大しており、今後も成長し続けると予測されている。本記事では現地のネイル事情や相場、市場規模、流行しているアイテムやデザインについてご紹介する。

中国で拡大するネイル市場と現在のトレンドとは

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2024年6月16日

中国のネイル事情

中国上海市の街を歩くと「美甲」という看板のあるネイルショップが至るところで営業している。複合商業施設に併設されている店や、住宅が集合している小区の中にある店、口コミだけでネットワークを広げひっそりアパートの一室で運営している店、自宅まで出張サービスをしてくれる店など営業スタイルはさまざま。

中国のネイル関連商品の相場は日本よりも安い。クオリティが同じとはいえないが、中国なら日本の相場の半額または店によっては半額以下で済む。

日本人御用達で有名な中国人女性が営業しているネイルサロンは、手足ともに単色80元(約1,600円)、デザイン120元(約2,400円)でジェルネイルができる。中国人の友人おすすめのネイルサロンは88元(約1,760円)から一番高くても168元(約3,360円)と低価格。いずれのサロンも上海市中心にあり、市外であれば更に安くネイルをすることができる。

日本にも上陸している火鍋で有名な海底撈(ハイディーラオ)では、待ち時間にハンドマッサージとネイルを無料でしてくれる。また、中国人に人気のスーパー銭湯でも無料でネイルをしてくれ、大人気のためかなり早めに予約をしなければすぐ枠が埋まってしまう。このように中国では無料のネイルサロンを併設している飲食店や商業施設を目にすることが日本より多いように感じる。

では、ECモールでのネイル関連商品の反応はどうだろうか。タオバオで”ネイル”と検索すると、ジェルネイルだけでなくネイルチップやネイルシールなど、種類が非常に豊富で尚且つ安く手に入れることができる。日本だとジェルネイルを一式揃えるためには5、6,000円が相場のイメージだが、中国だとメーカーにもよるが2,000円ぐらいで購入が可能なため、趣味としてセルフネイルをする人はもちろん、昨今の中国におけるネイル人気の影響と、敷居が低いことから仕事としてスタートさせる若者も多いという。中国でのネイル人気は今後も続き、市場はさらに拡大すると予測されている。

拡大し続ける中国のネイル市場

(出典:小紅本)

中国では近年、ネイル関連が消費の新たな一大成長分野になりました。中国での市場規模は今後も拡大し続け、中国での市場規模は、2027年までには2662億元(約5兆6760億円)に達すると予想されています。

(引用元:中国国際放送局 https://japanese.cri.cn/2024/04/16/ARTIgJAUEB7VDPvqpRAwxcm8240416.shtml

小紅本(RED)で「美甲」と検索するとネイル関連の投稿は2031万件を超え、「网紅美甲」は31万件以上の関連投稿と、32万件以上の商品が販売されている。

中国語で「网紅(ワンホン)」とはインフルエンサーを意味しており、「网紅美甲」を日本語にすると、インフルエンサーのネイル=流行っているネイルという意味になる。

日本でも最近はワンホン女子になりたいと憧れている人が増え、中国の美容を参考にしたメイクやネイルをしている投稿が増えていて、ワンホンネイルは海外からも注目されている。

流行りはネイルチップとリボン

(写真:中国にあるネイル専門のチェーン店にて撮影)

今後も拡大を続けると予想される中国のネイル市場だが、現在トレンドとなっているのが「穿戴甲(ネイルチップ)」である。

ネイルチップはジェルネイルと違い、自分で簡単にネイルを付けたり外したりすることができ、再利用可能で低価格。すでにデザインが仕上がっているため施術時間は最小限で済み、仕上がりイメージが違うといったトラブルを避けることができるのが魅力で消費者から支持されている。

種類やクオリティにもよるが、タオバオで販売されている人気のネイルチップは、1セット10元(約200円)前後と非常に安価で購入できる。

全国に500店舗以上あるネイル専門店Fingerbookでは、200元前後(約4,000円)から手作りのネイルチップを販売している。タオバオなどECモールで売られているネイルチップと比較すると高価だと感じるが、品質は高く子どもから妊婦まで安心して使用できる素材を使用している。

また、店員がネイルチップを付けてくれるため剝がれにくく長持ちする。万が一剥がれてしまった場合は何度でも無料で直してくれる。所要時間は15分程度で、仕事で忙しい若者から子育て中の母親、また、長い時間じっと座っていることが難しい子どもなど、幅広い層がネイルチップを買い求めているという。筆者が店に足を運んだ日は、店内が常に人で賑わっている状態で人気の高さが伺えた。

店員いわく、人気のデザインはリボンだと教えてくれた。去年中国ではバレリーナをモチーフにしたお姫様ヘアやファッション、メイクが流行り、バレリーナシューズを連想させるリボンが人気となった。ネイル業界でもバレリーナやリボンをモチーフにしたデザインが流行っているため、小紅本ではさまざまなリボンネイルを見ることができる。

まとめ

(出典:小紅本)

少額で起業しやすいネイル産業だが、投資をした後に店をたたむむことを余儀なくされるケースも多く、チェーン化するのは難しい業界ともいわれている。ネイル産業は特に技術が必要なことから、消費者からのクレームや返品、アフターフォローの対応が難しいことも課題のひとつだという。

筆者もネイルチップをネット注文したことが数回あるが、写真と色が全く違ったり、日本では考えられないような雑な仕上がりで返品したことがあり、当たり外れが目立つ商品である。

日本の丁寧な仕事や技術は中国のネイル市場における課題解決へと繋がる一方で、薄利多売の傾向にあることから、現地の価格とどれほどすり合わせができるのかが成功の要になるだろう。

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