中国の知っておきたいトレンド「City Walk」と「Wildeat」とは?

ビジネスニュース

近年、ウォーキングなど自然を感じながら過ごすスローライフが中国の若者の間でブームとなっている。SNSではお洒落でユニークな目を引く写真やショートムービーが次々に投稿されブームが起こっている。特にCity Walkは多くのユーザーが参加し、City Walkの次に人気とされているのがWildeatだ。なぜ中国でこのようなトレンドが広がっているのか、その背景や詳しい内容について紹介する。

中国の知っておきたいトレンド「City Walk」と「Wildeat」とは?

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2024年7月16日

中国で人気のCity Walk(シティウォーク)とは?

シティウォークでも人気のある外灘エリア

中国上海市のお洒落な店が多く並んでいることで有名な「愚園路」や「武康路」、「外灘」などのエリアを歩くと、多くの若者が写真を撮影しながらウォーキングを楽しんでいる姿が見られる。ここ最近の中国では、お金をあまりかけずに都市部をゆっくり散策するCity Walk(シティウォーク)がトレンドとなっているのだ。

旅行としてシティウォークを楽しむ人だけでなく、自分が住んでいる地域を散策する人も多く、新しい魅力を発見することができるという。友人や恋人、家族、ペットと街をぶらぶら歩きながら、話題のカフェや飲食店巡りをする人、文化や歴史的建造物に触れる人、有料ガイドをつけて街を歩く人など様々な楽しみ方が選択できる。

RED(小紅本)によると、シティウォークの人気都市第1位は上海市、次いで北京、広州と都市部が中心だ。その人気は地方にも広がっており、観光産業として目を付けた旅行会社や飲食店などもこのブームに参入している。

RED(小紅本)で「Citywalk」と調べると関連投稿は324万件を超え、この数字は日に日に増えていることから、中国の若者の関心の高さが見受けられる。

シティウォークが人気となった背景

上海市ではシティウォークの定番である愚園路エリア

旅行情報メディア・馬蜂窩の旅行ビッグデータによると、6月、同サイト内の「シティウォーク」の人気度が前月比で121%増となっている。自分が生活している都市、または旅行先で”お金をあまり使わない”シティウォークを選んでいる旅行者は全体の70%を占めている。「00後」(2000年以降生まれ)より「95後(1995-99年生まれ)」、学生よりサラリーマン、男女別では男性より女性のほうが「シティウォーク」を好んでいる。

(引用元:人民網 http://j.people.com.cn/n3/2023/0807/c206603-20054750.html

ではなぜ中国の若者の間でシティウォークがトレンドになったのか。その理由は、近年の中国の消費傾向に関係している。現在の中国はコスパ重視の傾向にあり、爆買いする人は減り、本当に良いと思ったものしかお金を出さない人が増えた。更に、昨年は東南アジアでの詐欺被害や日本の処理水問題なども相まって、海外旅行離れが顕著化した。一方シティウォークはコスパが良く、移動時間を節約できるためタイパの面でも魅力的である。忙しい現代人でも手軽にリラックスすることができることなどが理由となり、シティウォークブームに繋がったと考えられる。

City Walkの次はWildeatがトレンドの予感?

中国のSNSでは、Wildeatに関連する投稿は1万件を超え、ショートビデオの再生回数は2000万回を超えたという。

Wildeatとは文字通り、自然の中でご飯やスナックなどを食べることを指す。中国メディアによると、元々はキャンプ飯のように野外で調理をして食事をすることを意味していたが、現代風に形が変化し、Wildeatの概念は広いものとなったという。会社の昼休みに公園などで自然を感じながら食事を楽しみリラックスすることもWildeatに当てはまる。City Walkが散歩ならば、Wildeatはピクニックよりも短時間でできるリフレッシュ方法になる。

現在、中国人の若者は、短時間の自由を求めてその場から逃げ、何事もなかったかのように戻るという意味の「短逃离」が注目されている。中国で人気のキャンプやサイクリングも現実社会から逃げることができるもののひとつだが、費用と時間がかかるというデメリットがある。しかし、Wildeatはコストを最小限に抑えることができ、且つ、短い時間で自分を癒すことができる。多忙を極める中国の若者にとって、休憩時間でもできるストレス解消方法なのだという。また、自然を感じたいというニーズやSNSの影響、コスパ、タイパ、リフレッシュできる体験など様々な欲求を満たせるため、Wildeatは若者の間で流行し始めているのだ。

まとめ

出典:小紅本

近年の中国の若者のニーズは、コスパ、タイパ、スローライフ、自然、伝統など多様化している。City walkの次はWildeatが来ると噂され、Wildeatの次はWildnapやWildsleep(野生での昼寝・眠り)がトレンドになるのではといわれている。中国の若者は自分を癒すことへの関心が高く、その方法をSNSなどを通して探し、ニーズにハマると物凄いスピードで人気が広がる。中国ではスピードが勝敗の行方を左右する大きな要因となるため、チャイナスピードに遅れをとらないよう中国のトレンドの動きを常にチェックすることで、大きなビジネスチャンスを掴むきっかけになるかもしれない。

関連記事一覧