電子決済が主流ブータンのお会計

ブータン

アジアの小さな国ブータン。近代化が徐々に進み、多くの国民がスマートフォンを使いこなす。クレジットカードが使える場所はほとんどないが、スマートフォンを使用した電子決済が主流となっていて、生活のほとんどの支払いを電子決済で行うことができる。その電子決済の現状と今後起こりうる問題点についてお伝えする。

電子決済が主流ブータンのお会計

   著者:ブータンgramフェロー よう 
公開日:2023年4月27日

ブータンの電子決済

ブータンでは多く人がスマートフォンを使用している。機種はさまざまだがやはりiPhone人気は高い。そして日本同様、高齢になるにつれ持っていない人の割合が増える。

日本でもここ数年で劇的にスマートフォン決済のシェア率が増加した。お財布を持たずに買い物も飲食店も利用できる。ブータンでも同様のことが起きており、mBOBやTshiCellという決済方法がある。

日本のSuica等の交通系I Cとは違って自分でチャージするわけではなく、残高の口座と結びついている。この電子決済はかなりシェア率が高く、飲食店、スーパーマーケットは当たり前、スポーツジムやタクシーなどどこでも使用できる。

首都ではまだ使用できない場所を見たことがない。個人への素早い送金も可能で、家賃や公共料金の支払い、アプリ上で通信費の支払いも出来る。職場の飲み会時は幹事に送金し、幹事がまとめて支払うシステムだ。電子決済を使用していないと、友達と食事に行き割り勘する時に、ひとりだけ現金を渡すことになって場の雰囲気を壊しかねない。

携帯のデータチャージもネット上で行うが、電子決済が使えないとわざわざ携帯電話会社に毎月出向いて料金を支払う必要がある。

日本ではクレジットカードが使用できるお店やネットショッピングが多く、電子決済が使えなくても問題ないケースが多いが、ブータンではクレジットカードが使えるのが一部のホテル等に限られる。そのため、特に首都では電子決済が生活していく上で必要不可欠となっている。

使用方法と問題点

使用方法は簡単だ。お店側が用意しているQRコードを読み取り、決済画面になったら自分のアカウントを選択し送金したい額を入力、暗証番号を入力して送金する。

お店のQRコード

送金完了の画面をお店の人に見せ、相手が確認することで取引が終了する。

便利だが、もちろん問題点もある。例えば値段を聞き間違えて送金してしまうケースだ。少なかった場合は追加で送金するが、10NU.以下は送金できないため不足分は現金で払うか何か追加で買い物をするしかない。多く支払ってしまった場合には追加で商品を足すか、または店側が返金してくれるかである。

対応は店それぞれだが、間違えないよう特に入力画面では慎重に行う必要がある。お店での間違いはお店側が対応してくれるが、家賃や公共料金等の送金ミスの場合、相手に電話をし返金を求める必要があり大変である。

受け取るお店側も金額に間違いがないか必ず確認しなくてはならない。お店によっては取引の確認番号のメモを取ったり、完了画面を写真に撮ったりしている。

時折システムエラーでアプリが使用できないことや携帯電話の充電が切れてしまっていることもあり得る。そういった場合に備えて少額でも現金は持ち歩くのがいいかもしれない。

今後の課題

現在は長時間のトラブルが起きていないが、今後突然システムエラーで長時間使用できないことが起きたり、口座と直結しているため個人情報流出が起きたりすることも考えられる。

また、ブータンでは電話番号や名前を教えることに抵抗がないことが多い。そのためFacebookやWhatsAppを使用することで簡単に個人にコンタクトできる。それらのメッセージに電子決裁を使用した募金や通販の案内が送られてくることもあるようだ。

クレジットカードの場合は、詐欺や不正利用の場合クレジットカード会社が対応してくれるが、電子決済にそれが適用されることは難しい。安全に使える状態が続けばいいが、シェア率が高いが故に犯罪増加には注意が必要である。

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