イタリアは色の国であると、グレーの車の生産中止を発表したフィアット
イタリアを代表する自動車メーカーといっても過言ではないフィアット社。
そのグループにはアルファロメオ、ランチャなどのイタリアの名車ブランドがある。
フィアットを傘下とするスティランティスのグローバルマーケティング最高責任者でもあり、フィアットのCEOも勤めるオリビエ・フランソワは「イタリアは色の国」であると、グレーの車の生産を中止する発表をした。
ちなみにフィアットは2022年に120万台以上納入している。
イタリアは色の国であると、グレーの車の生産中止を発表したフィアット
著者:イタリアgram fellow 伊田里アネ
公開日:2023年8月1日
グレー色の車を生産中止にした理由
7月4日にフィアットが新型コンパクト電動SUV「FIAT600e」を発表したと同時に、2024年の同日からグレーの車の生産中止を発表した。
朗報なのか悲報なのかわからないが、とにかくイタリアを代表する自動車メーカーは声高らかに発表したのである。
その理由は、イタリアは色の国なので、もっとイタリアの太陽、空、大地をイメージできるような色にシフトしていきたい。さらには楽観的になれるような色を採用していきたく、これからはイタリアらしさを追求する色を提案したいというものだ。
イタリアらしい色とは何なのかだが、イタリアらしく太陽、空、大地にインスピレーションを得られる色にしていきたいという、なんとも楽しみでしかないような発表である。
イタリアで好まれる車の色はなにか
このフィアットの決断にイタリアではグレーのカラーは人気がないのかと調べてみたところ、なんとイタリアで一番販売されている車の色はグレー(35%)だった。続いて、白(28%)、黒(15%)、青、赤の順番となっている。
イタリアを連想するには程遠く、どちらかというと無難な色のグレー、黒、白の車だけで75%を市場を占めている状態だ。さらに18歳から29歳までの層が白を選ぶ傾向にあり、46歳から55歳までの層がグレーを選ぶという。
しかしながら、イタリア車の色のイメージといえば赤もある。
例えばイタリアを代表するスポーツカーのフェラーリ、そしてアルファロメオのジュリエッタなどは、赤こそそのブランドを引き立てるような印象だ。
これまたイメージとしては赤が強いとしても、実際の購入者は赤を選ばずに白、黒、ブルーなどを選ぶとする。
90年代まで赤いフェラーリが人気が高く販売数の85%を占めていたが、2010年にアルファロメオがロッソアルファという特別な赤い色のジュリエッタをリリースしてから、赤いフェラーリの販売は45%にまで落ちたという。フェラーリとアルファロメオでは購入層が異なるので、赤の人気が落ちたのはアルファロメオのせいではないとも考えられる。
その理由に、たとえアルファロメオのイメージを聞いて10人に1人が赤と答えようとも、実際に売れたアルファロメオの40%のカラーは白だからである。
ブランドポートフォリオを色で強調
赤、白、緑の鮮やかな三色旗を掲げるイタリア。
この3色を見るだけでも陽気な気持ちになる。そしてすぐにイタリアを思い浮かべることができる。
それぞれの色は暖色、寒色など、具体的に何かが描かれていなくても、その色だけで印象や感覚を与える。
色彩心理学が立証するように、色には計り知れない力がある。
そこにデザインも重なってくれば”お気に入り”などもインスピレーションで選択するのが消費者心理ではなかろうか。
車でカラフルといえば、筆者はイタリア車ではなくフォルクスワーゲンのビーグルがまず浮かぶ。そのバリエーションは10種類もあった。しかし2018年に生産中止となっている。
車ではないが、1998年に一世風靡した初代iMacの5色アイスカラーのリリースは、今でも斬新であったともはや思い出を振り返るような気持ちになる。
参考資料
◇ilsole24ore:
https://www.ilsole24ore.com/art/fiat-addio-grigio-solo-auto-colori-AEO0EWrD
◇UNRAE – Unione Nazionale Rappresentanti Autoveicoli Esteri:
https://unrae.it/sala-stampa/altri-comunicati/3880/auto-e-ancora-il-grigio-il-colore-piu-venduto-in-italia-grigio-bianco-e-nero-coprono-il-78-del-mercato#:~:text=Auto%3A%20%C3%A8%20ancora%20il%20grigio,coprono%20il%2078%25%20del%20mercato
◇Motori.it:
Ferrari: solo il 45% dei clienti la sceglie rossa