欧州移住のコスパ最強国？ラトビアの物価と給与の真実
ラトビアの経済事情をご存知ですか？EU加盟国でありながら、意外にも知られていないこの国の給与事情と生活コストを徹底解説します。平均月給1525€（約244,000円）で、IT業界は特に高給。しかし、若者の国外流出が課題に。物価は比較的低いものの、貯蓄は難しい現状があります。ラトビアのビジネス環境と経済動向を知ることで、東欧市場進出のヒントが得られるかもしれません。グローバルビジネスの新たな可能性を探る一助となる情報満載です。
ラトビアの給与事情と生活コスト
著者：ラトビアgram fellow さえきあき
公開日：2024年7月24日
ラトビアの平均給与
現在のラトビアの平均給与は月々1525€。EU内では低い方に分類される。ここから税金等が引かれ最終的な手取りは1114€となる。ここ10年程でどんどん給料は上昇傾向にあり、2022年から2023年にかけては月給が約12%アップしたそうだ。しかしその背景にはＥＵ全体の激しいインフレがあるため、妥当な引き上げと考えられる。
給与の1か月あたりの最低ラインは700€。これは政府によって定められている。日本円にすると円安の影響で現在は11万円を超えるが、現地の人の1€の感覚は日本人にとっての100円の感覚と変わらないため、感覚としては7万円が相当するだろう。ちなみに最低時給は4.12€。
業界ごとの給与の違い
給与が高いといえば、どこの国でもIT系。ラトビアも例に漏れず、IT系エンジニアの給料は平均より2倍ほど高い。手取りで1806€。ラトビアで暮らす分には十分な給与をもらうことができる。ラトビア政府はテック企業の誘致やサポートを積極的に行っているので、今後この分野が伸びて経済を伸ばしていくことも期待されている。
また、金融・保険業も給与が高い。意外なのは第一次産業と呼ばれる農業分野の職種が平均を上回ることではないだろうか。特に小麦を多く生産しているためその影響だろう。この農業分野の平均給与を除けば、だいたい日本における傾向と一緒だろう。
職種による給与差はどこの国にも存在し、それほど国ごとの特性は出ないようである。
給与と物価
この給与でどのような生活ができるのか。首都リガにおける物価を参考にしながら少しシミュレーションしていこう。スタジオタイプの家賃は約500€程。建物や設備の新しさに重点を置くと600€程になり、古い建物で外観はボロボロだが中は普通のアパートなどを選ぶと400€よりも安くなる。フラットシェアをしてより家賃を抑えることも可能だ。そこに光熱費が夏は80€程、冬は150€程かかる。食費・生活費は自炊を基本にたまに外食をすると考えると200-300€の範囲で収まるだろう。
その他いろいろな出費があることを考え、手取りから差し引くと貯金できる額はわずかになる。生活するのには困らないが自分で自由に使えるお金はあまりない。それがラトビアで一般的な職業に就き働くということである。
こうした現実があるからこそ、SNSネイティブの若い世代の中には画面を通じて見た都会に憧れ、ラトビアを離れる人もいる。筆者のラトビア人の友人は、本人はラトビアに住んでいるが姉はアメリカへ、妹はニュージーランドへと、思い思いの理想と職業を追い求めて母国を離れる選択をしている。
若者の流出
こういった背景があるため、若年層はより稼げる国に少しずつ流出していっている。若年層においては英語が話せることはほとんど当たり前になってきており、英語に加え第3言語（ドイツ語やフランス語）を義務教育期間内に学んでいる。そして、進学を機に他の国へ移り卒業後にそこで基盤を築くケースが増えている。
EU圏内で皆が流暢に英語が話せるとはいえ、働くとなれば英語だけでは足りず現地の言葉が話せることが重要であるため、国外での労働を考える若者は真剣に第3言語を学んでいる。物価や家賃は安いが比較的給料は低いラトビアか、物価も家賃も高いが給料は高い大国へ移住するかは居住者にとっては大きな悩みである。
まとめ
ラトビアの給与はEUの中では低い方ではあるが、近年のインフレ気味の状況が手伝って少しずつ上昇していっている。しかしながら、より多く自由にお金を使える状況を求めて国外へ出る若者も多く、優秀な人材が流出していく危惧もある。経済的に豊かになるには、過去に他のEUの国々が行ったような外資が進出しやすい環境を作るのがひとつの策なのかもしれない。
【参考】
◇Ministry of Welfare：
https://www.lm.gov.lv/en/minimum-monthly-wage?utm_source=https%3A%2F%2Fwww.google.com%2F
