海外注目企業の魅力を徹底調査2022:SHEIN

海外の注目企業

ひっそりと現れたアパレル界のスーパーユニコーン「SHEIN」。世界150ヶ所の地域と国の若者に人気を博し、ファストファッションで新たな頭角を現す。AIとSNSを活用し約9年で国際的な地位を手に入れた、中国南京生まれの国際ECサイト。その急成長の秘密に迫ります。

海外注目企業の魅力を徹底調査2022:スーパーユニコーン中国アパレル EC「SHEIN」

   著者:gramフェロー
公開日:2022年4月18日

スーパーユニコーン SHEIN

中国の注目企業第5社目となるのは「SHEIN」です。
主に10代〜20代の女性から人気を集めているので、ご存知でない方も多いかもしれません。

SHEINの公式HP
https://jp.shein.com/


「SHEIN」は2012年に中国の南京から始まったアパレルを中心とした国際ECサイトです。

現在150以上の国と地域で展開しており、
創業から9年しか経っていないにも関わらず、2021年の売上はなんと157ドル(約1兆8億円)。
(1974年創業のユニクロ含むファーストリテイリング社の2020年の売上高は約2兆円)

さらに、6年間連続で売上高比100%増を維持。
市場での予想評価額は300億ドルに達し、500億ドルだという人もいます。
2021年5月にはなんとamazonを超えてGoogle Appでのダウンロード数1位にもなりました。

そんな「SHEIN」ですが、創始当時より欧米地域中心の事業展開をしていたため、
実は中国ではあまり知られておらず、
またターゲット層が比較的限定されているので、日本でも若者以外で知っている方はそれほど多くないと思います。

輝かしい業績を持つも今まだ未上場の「SHEIN」。近頃はIPOの準備をしているとの噂もあります。
今回はそんな謎に包まれたアパレルEC「SHEIN」を一足先に詳しくみていきましょう。

完全オンラインのSHEIN

「SHEIN」がこれほどの業績を出しているのにも関わらず、
それほど名が広まってない理由のひとつに完全オンラインという点が挙げられます。

「SHEIN」は実店舗を持っておらず、通販のみで展開しています。
オフライン上での顧客接点を持っていない世界規模のアパレル、これが「SHEIN」の大きな特徴といえるでしょう。

Youtubeで近頃増え出したSHEINの購入レポ

何故SHEINは成功したのか

「SHEIN」をここまで大きくした要因を、今回は4つのポイントを挙げて紹介していきます。
それはズバリ、

・業界最速の商品サイクル
・流行を当ててしまうAIデザイナー
・SNSをフル活用した広報戦略
 
・全方位の品揃え         です。

以下の記事で、それぞれを詳しくみていきましょう。

1日で新作600着

「SHEIN」は毎日新作を発表していますが、その数なんと600着。

ファストファッションとして一世を風靡したZARAは年間で約2万点といわれており、
少し前から耳にすることが増えたイギリスのウルトラファストファッションのBoohooでさえ1日に100着です。

凄まじいスピード感ですよね・・・
また、SPAを採用しているZARAが生産から販売にかかる日数が3〜4週間であるのに対し、
「SHEIN」は同じ過程を1週間で成し遂げています。

どういった仕組みなのか気になりますね。
実はひとつ前のPinduoduoの回で触れさせてもらった中国メーカーの新形態、AIC2Mによって可能になっています。

SHEIN製品サイクルの仕組み

一般のアパレルブランドは、デザイナー達がハイブランドで行われるシーズンショーに参加して、そこから次に来る流行りを予測します。

「SHEIN」はAI技術を使って、流行を分析します。ここで重要なのは、予測ではなく”分析”です。
分析によってその時々のリアルタイムの流行を把握し、そして業界最速のサプライチェーンを使って、7日間で消費者の前に反映させることができるのです。

不安定要素の多い予測によるヒット的中率が低かったところを、AIによる分析は高確率でヒットを的中させています。
100%中10%あれば良いといわれている的中率、「SHEIN」のそれは50%ともいわれています。

公開情報が少ない会社なので上記の数値は確実とはいえませんが、火の無い所に煙は立たぬ、
「SHEIN」が成功した背景にAIによる功績は大きいでしょう。

AIとC2M

「SHEIN」のメーカー募集欄にはこのように書いてあります。

”100-500ロットでの製造が可能で、7-11日間で仕上げられること”
小単位での高速製造を可能にしている背景こそが、AIによる工場管理とC2Mです。

「SHEIN」は、それぞれの商品のオンラインでの売れ筋をみて、追加生産または製造終了の判断をします。
AIを使ってそれらの莫大なデーターを工場と連携させます。

これが現在中国の大企業たちがこぞって実践しているC2M、Consumer to Manufacure(再掲)なのです。

さらに、上の段落で述べたように、
「SHEIN」ではAIによってリアルタイムでの流行の分析をしているので、
工場はリアルタイムでの消費者の嗜好を反映させた製造が可能になります。

・製造単位を小さくすること
・流行を的確に分析し、ヒット率をあげること


以上の2つによって、「SHEIN」は無駄な時間とコストを大幅に省くことに成功しています。

メーカー

https://www.travel-zentech.jp/world/map/q069_map_guangzhou.htm

中国の広州にSHEINと提携関係を有している中小メーカーが集まっており、
その数約300軒あるとされる。
コロナや新疆ウイグルの問題により中国から撤退するアパレルが多い中
大規模でかつ安定して注文を貰えるSHEINはメーカにとって有難い

SNSと中国企業の強み

ここからは、「SHEIN」が150カ所以上の国と地域にたった9年間で開拓できてしまった理由、
その広報戦略を紹介していきます。

Tiktokとinstgram以外のSNSアプリも
合わせるとフォロワーは莫大な数に

一言で表すならば、SNSのフル活用です。

なんだ、そんなのどこの企業もやってるよ・・・
そう思う方も多いのではないでしょうか。

中国企業の特徴として、
SNSを巧みに用いた企業が多いイメージを受けます。

実際中国では品質の不確かな商品が多いので、
知名人やCM、ポスター広告よりも
知人や周囲の信頼できる人の口コミを信頼する文化があります。

その文化がSNS戦略に全面に出ているといっていいでしょう。

例えば、ZARAやH&MもSNSを全面的に展開していますが、主に企業イメージの伝達にのみフォーカスしています。

難しい企業理念や説明的なキャンペーンはロング動画を主流とするYoutubeで、
着用イメージは画像に強いInstagramで、
顧客との距離を近づけたいのであればコミュニケーションに強いTiktokで、

などなど、本格的に取り組み始めようとすれば工夫するポイントは数えきれないほど沢山あります。
実際に、「SHEIN」のTiktokやInstagramを覗いてみると、
企業の公式画像や映像ばかりが載っているブランドとは全く異なる意気込みを感じることができます。

例えば現在、コロナで外出が制限され、以前よりもネットショッピングが広まった今、
新しい顧客を取り入れ、かつ既存の顧客を飽きさせない手段は何かを考えてみると、
「SHEIN」の手段は実に有効だと思えてきます。
見た目だけじゃない、もっと浸透性のある実践的な広報が求められているのです。

KOC

以下では、少しだけSNS活用手法について紹介します。
企業を疑ってかかる消費者にどうすれば信頼してもらえるのか、
その答えを探し続けた中国企業のSNS利用方法には説得力があります。

そのひとつがSHEINがSNSの主軸としているKOC(Key Opinion Consumer)戦略です。
中国でよく使われる略語にKOL(Key Opinion Leader)があります。
KOLもKOCもインフルエンサーを指しますが、
KOCはKOLよりもひと回りファンの数が少なく、一般の消費者との共感力が強いインフルエンサーを指します。
Instagramを例にとると、KOCは数万人〜20万人前後の影響力があっても公的メディアへの露出の少ない人達を指します。

有名なタレントを採用するのではく、一般の消費者にとって親近感があり参考にしやすいKOCを採用することで、
よりブランドの浸透力が強くなります。
同時に、KOCはKOLよりも契約料が安くなり費用の削減に繋がります。

説明だけだとイマイチ掴めない・・・そう思った方は、「SHEIN」のInstagramを是非ご覧ください。
独特のスタイルで、面白いですよ。

ジャンルの守備範囲は全方位?

最後に、「SHEIN」の強みとして特定のジャンルにフォーカスしていないというポイントに注目したいと思います。

SHEINが展開しているブランドの例

右の写真は、「SHEIN」公式サイトから引用したものです。
モデルの写真からでも分かる通り、
本当に全方向に展開しています。

韓国系からオフィスカジュアル、フェアリー、ガーリィースタイルなど幅広く揃っています。

ZARAはモード、GAPはカジュアルで
統一されていますが、
低価格かつオンライン一本で勝負する
アパレル「SHEIN」の与える”気軽に買って色々試せる喜び”は、若者というターゲット層にダイレクトにヒットしていると思いませんか。

アパレルに止まらないECへ

冒頭で「SHEIN」はアパレルを中心とした国際ECだと説明しました。
アパレルからスタートした「SHEIN」ですが、実はホームデコから寝具、ペット用品まで販売しています。

こちらは「SHEIN」サイト上のHOME +PETのカテゴリーの写真です。
どこかニトリに近いものを連想させられませんか。

アパレルから始まった「SHEIN」ですが、一定量のトラフィックに達した際は、amazonのような数億品目をも取り扱う巨大ECへの発展を狙っていたりするのでしょうか。

キッチン用品や棚などの収納も


最終的には特定のジャンルに縛られない、統合型の総合サービスを目指しているのかもしれませんね。
そう考えると、ますます目が離せなくなります。

まとめ


今回は、謎に包まれたアパレル界のスーパーユニコーン、「SHEIN」をみてきました。
いかがでしたでしょうか。

「SHEIN」は未上場であり、創始者である許仰天(クリス・シュー)の方針もあって情報開示が少ない会社です。
上場の際には、また多くの斬新な情報が入ってくるでしょう。

今後も是非とも注目していきたい企業です。

また、「SHEIN」のホームページや公式SNSも覗いてみてください。
日本のアパレルでは見ないような仕組みが多く存在していて、楽しいですよ。

引用元・参考リンク

http://finance.sina.com.cn/tech/2022-02-24/doc-imcwiwss2725244.shtml
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1725883135689839633&wfr=spider&for=pc
http://www.eefans.com/archives/134392
file:///Users/yingying/Downloads/rolandberger_tokyo_apparelstudy_20171130.pdf
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1700894240095350915&wfr=spider&for=pc
https://www.sohu.com/a/526121081_120213069
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1717209342415166557&wfr=spider&for=pc
齋藤孝浩「ユニクロ対ZARA」,日本経済新聞出版社(2014)
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1724831810634605414&wfr=spider&for=pc

 

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