海外注目企業の魅力を徹底調査2022:阿里健康(Ali Heath)

海外の注目企業

中国政府も支援する、今ホットなオンライン医療。アリババ、JDグループ、テンセントやPinduoduoなど大手企業が中国最新のヘルスケア業界にこぞって参入し、COVID-19、少子高齢化が進む世の中で医療系サービスの需要はますます増えている。今回はAIのアルゴリズム、24時間配達、バーコード追跡などあらゆる手を使って発展する業界の先駆者、「阿里健康(Ali Health)」について解説する。

海外注目企業の魅力を徹底調査2022:中国のオンライン医療 阿里健康(Ali Heath)

   著者:gramフェロー
公開日:2022年4月25日

中国でホットな”大健康行业”


中国の注目企業第6社目となるのは「阿里健康(Ali Heath)」です。
名前の通り、健康に関するサービスを提供する企業です。

少し前から中国でオンライン医療界が少しづつ熱を帯びてきているのをご存知でしょうか。
2016年にアリババグループの創始者、馬雲(ジャック・マー)は以下の概念を提起しました。
“Double H ( Heath & Happy )”
彼は、「10年後以降の未来、健康(Heath)と娯楽(Happy)業界に携わる人が世の中を制す」と予測しました。

それ以来アリババは、薬や診療などのヘルスケアサービスに注力してきました。
中国ではヘルスケア業界を”大健康行业”と呼んでおり、多くの大手企業がこぞって参入しています。

数年前より着実に成長し続けているこのヘルスケア業界ですが、
現在中国国内ではJDグループによる「京東健康」と、アリババグループによる「阿里健康」が優勢です。

今回は、中国でも最初期頃からこの業界に投資し続けているアリババグループの「阿里健康」について、
ご紹介していきたいと思います。

これからのヘルスケア業界とは

日本ではCOVID-19感染拡大に伴い、オンラインでの医療サービスが大幅に推進されました。
中国はそれよりも少し前、2015年前後から政府込みで少しずつオンライン医療体制を整えてきました。

冒頭では、これからのヘルスケア業界を”大健康行业”と形容しましたが、
具体的にはどのようなサービスを展開しているのでしょうか。

「阿里健康」を元に具体的に見ていきましょう。

オンライン診療

「阿里健康」ではアリババと提携している病院または医者による、オンラインでの診療サービスを提供しています。

「阿里健康」が現在提携している病院は全国に3200軒あり、オンラインで気になる医師を選んで、診療を受けることができます。
医師によって診察料は変わり、文面での診療か、電話による診療かによっても料金が異なります。

阿里健康が展開しているオンライン医療APP「医鹿」

患者は自分が一体どのような病気にかかっているか、どの医者に見てもらえばよいのかわからないことがあります。
そんな時、APPが提供する緻密な分類、またはAIによる問答によって適切な医者を探すことが可能です。

5Gとヘルスケア

中国では世界に先駆けて、5Gを推進してきました。
5Gの更なる浸透を機に、手術のライブや、CTのオンライン診断、オンラインによる応急措置といったオンライン医療サービスの充実が期待されています。

現在ヘルスケアのプラットフォームを設けている企業は、この5Gを活用したビジネス展開を考えています。

中国医療サービスの不均等問題

中国の都市区分。一線から五線まで
https://zhuanlan.zhihu.com/p/90920884

中国では経済力を基準に都市を大まかに区分する概念があります。
(この概念は中国注目企業シリーズ第4社「拼多多」でも紹介しているのでご参考ください。)

一線から五線の順番になりますが、北京や上海、深センのある一線都市、または二線都市を中心に大きな病院が集まっています。
三線、四線の都市には医療機関や医師が不足している地域が多くあります。

中国では現在60歳以上の高齢者人口が2億人以上、2050年頃には3.8億人にのぼると予測されています。
交通機関が発達しておらず、医療機関も不足がちな三線から五線都市にとって、「阿里健康」が提供するこのようなオンライン医療サービスは今後さらなる力となるでしょう。

O2O(Online to Offline)薬品販売サービス

「阿里健康」では、オンラインで薬品の販売もしています。

主に「阿里健康」が直接運営しているサイト『阿里大薬房』と、アリババグループが展開しているECプラットフォームTmallでの『天猫薬房』があります。(天猫薬房の年間アクティブユーザー数は2021年時点でなんと2.8億人!)

非処方薬の他に、サプリや健康機材まで幅広い取り扱い 阿里健康運営の「阿里大薬房」公式HP

ここで注目すべきなのは、「阿里健康」は薬品販売において*OMOサービスを展開しているところです。
「阿里健康」は、大手デリバリーサービス会社の美団と連携し”7×24“を行っています。

7×24“とは、「阿里健康」が提携している薬局から24時間以内に薬を配達してくれるサービス。

タオバオのアプリや美団の配達アプリ「餓了麼」で薬を注文すると、「阿里健康」と提携している薬局から家に薬が送られてくるシステムであり、現在3万軒以上もの薬局から発送され、配送可能地域は676都市。

配達規模はこれからもますます大きくなっていくと予想されます。

OMO=Online Merges with Offline、中国企業で幅広く浸透しているビジネスの展開スタイルであり、
一言で表すならば、オンラインとオフラインの境目を無くす、という概念です。

薬局から薬を受け取る配達員の様子。制服には「餓了麼」のロゴ https://ishare.ifeng.com/c/s/7lKEvHtp6ms

(処方薬には医師の処方箋が必要になります。その場合オンライン処方が可能です。)

OMOサービスの”7×24″


中国の大手ECや小売店はオンラインを中心に発達してきました。
ネットユーザーの飽和やオンライン特有の問題点を受け、OMOの概念が重要視され始めました。
オンラインとオフラインの利点を融合させて、顧客接点と顧客体験を最大限に引き出すことがOMOの目的です。

中国では、薬局の24時間営業が推奨されているにもかかわらず、コストの問題で実践している薬局がなかなか増えないのが現状です。
しかし”7×24″によって、消費者はアプリを通して24時間いつでも薬局に注文することが可能です。
この場合、OMOによって薬がいつでも手に入るという安心感で顧客体験を高めると同時に、薬局の夜間営業のコストを削減することができます。

(OMOの概念は、国注目企業シリーズ第2社、「盒马鲜生」でも紹介してるのでご覧ください。)

バーコード追跡

中国の消費者が買いものをする時、最も問題なのは商品の品質に対する信頼です。
薬の購入ともなると、この問題はなおさら顕著になります。
この流れに対し、中国政府は現在、分野における情報の可視化を推進しています。

「阿里健康」で提供するサービス「码上安心」は、薬品にバーコードを付与し、
追跡を可能にすることで信頼問題を解決しています。

阿里健康「码上安心」の仕組み gram作成

消費者は中国でメジャーな支払いアプリ「淘宝支」または「支付宝」を使って、
バーコードを読み取り、製造メーカーや流通ルートを知ることができます。
また逆にメーカーの商品に問題が生じた場合、製造元はバーコードを使って購入者を逆追跡し、商品を回収することが可能です。
現在、「阿里健康」は3万軒と提携し、50億以上の商品にバーコードを付与しています。

「码上安心」には購買記録も残るため、消費者は以前と同じ商品を購入したい場合、履歴をたどって簡単に確認できます。

中国で重要とされる”閉環”の概念

中国企業の商品発表会を見る際、「閉環」という言葉をよく耳にすることになります。
閉環を直訳すると、=「閉ざされたループ」というもので、意味としては
動機付けから購買、そしてまた次の購買までの一環のプロセスをいかに他社に介入されることなく一つの企業で完結できるかを指します。

今回の「阿里健康」を例にとると、
「阿里健康」のオンライン医療アプリ「医鹿」  予約・診察・処方 

「阿里健康」の薬品販売サイト「阿里大薬房」「天猫薬房」  薬の購入

OMOサービス”7×24″の配達サービス   アフターケア
バーコード追跡「码上安心」の安心サービス

このように、これまでの病院から薬局までのオフラインでの一手間を、「阿里健康」の提供するオンラインサービスはすべてアプリ上で完結することできるのです。

高齢者人口の増加と、都市間の発展落差問題がある中国では、
このようなオンライン医療サービスが今後さらなる発展を遂げるのは間違いないでしょう。

「10年後世の中を制するのは医療と娯楽だ。」という馬雲の言葉にもうなずけますね。

医療DX化のノウハウ

他にも「阿里健康」は、医療機関向けクラウドの、「Doctor You」に力を注いでいます。
ビックデータとAIによるアルゴリズムによって、

莫大なデータから基づく病例判断
CTの読み取り
症例に基づいたバーチャル診療対象の作成
が可能になり、現場の医師の作業効率を高めることが見込まれています。

他にも、「阿里健康」は、様々な角度から医療サービスを展開するノウハウを使った、オフライン病院のDX化教育にも注力しており、多くのオフライン病院のオンライン窓口を作る手助けをしてきてました。
今後もこのようなAIを使った医療系クラウドは、医療現場にさらに浸透していくことが見込まれます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は中国で急速に発展するオンラインヘルスケア業界(大健康行业)の先駆者、

「阿里健康」Ali Heathについてみてきました。

中国では他にも大手JDグループの率いる「京東健康」、金融に強い平安グループの率いる「平安好医生」など、
数多くの大企業がこの業界に参入しています。

企業によって提供されるサービスの展開の仕方も変わってくるので、その他の企業のサービスに注目してみるのもいいですね。

高齢化が進む日本も、医療、ヘルスケアは今後もますます重要な分野になってくると思うので、
この機にチェックしてみてはいかがでしょう。

引用元・参考リンク

https://ishare.ifeng.com/c/s/7lKEvHtp6ms
https://www.cn-healthcare.com/article/20210201/content-550441.html
https://www.sohu.com/a/508841431_617205
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1654582199696325282&wfr=spider&for=pc
https://www.sohu.com/a/157135111_464411
https://www.alihealth.cn/
https://ishare.ifeng.com/c/s/7lKEvHtp6ms
https://www.sohu.com/a/406682172_251119
https://www.bilibili.com/video/BV1BE411b7gV/?spm_id_from=autoNext



 

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