移民大国カナダが求める人材とは?移民受け入れ計画を紐解く
カナダは、世界でも有数の移民国家だ。
1869年に最初の移民法が制定されて以来、毎年移民を受け入れ続けている。
2021年には過去最多の40万5,000人の移民を受け入れ、移民の割合は総人口の23.0%にまで及んだ。
さらに、2023年〜2025年にかけても毎年46~50万人もの移民を受け入れる計画がされており、移民人口は輪をかけて増える見込みだ。
この記事では、移民大国・カナダがこれほどまでに移民を受け入れる背景や、移民政策の現状と今後の展望を解説する。
4人に1人が移民!移民大国カナダが移民を欲しがるワケ
著者:カナダgram fellow Murayama
公開日:2023年7月4日
カナダが移民の受け入れに積極的な理由
カナダが積極的に移民を受け入れるのには、経済成長のための十分な労働力を確保しておきたいという理由がある。
カナダでも少子高齢化は深刻な問題となっており、1950〜1960年代初頭に生まれたベビーブーム世代約900万人が、2030年までに定年を迎え、労働市場から離脱する。
社会保障制度を支える労働力の減少はどの国でも経済発展において痛手であるが、そもそもカナダの場合、世界第2位の広大な国土を、日本の首都圏とほぼ同じ人口で支えなければならないという先天的なハンデがある。
そのため、海外へと門戸を広げ、カナダ経済に貢献してくれるであろう優秀な人材を大量に引き入れているのだ。
同じく移民大国のアメリカやイギリスと比較しても、カナダは永住権が取得しやすいといわれているのはこのためである。
移民の割合・内訳
カナダ統計局は、2021年に行われた国勢調査の結果、移民の割合は人口の23%にまで達し、この割合はG7内でも最高となったと発表した。
(引用元:Statistics Canada / Immigrants make up the largest share of the population in over 150 years and continue to shape who we are as Canadians
https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/221026/dq221026a-eng.htm)
2016~2021年の間にカナダに永住した新規移民数は130万人強にも上り、過去最多を記録している。
また、同期間の移民数を出生地別でランク付けすると、インド(18.6%)、フィリピン(11.4%)、中国(8.9%)の順となっており、移民のおよそ4割がこれらの上位3カ国出身者で構成されていることが分かる(ちなみに、日本は0.3%で49番目である)。
(引用元:Statistics Canada / Nearly one in five recent immigrants were born in India, the highest proportion from a single place of birth since 1971
https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/221026/g-a005-eng.htm)
筆者はブリティッシュ・コロンビア州の中規模都市(人口約13万人)で暮らしているが、移民の多さを実感しない日はない。
至るところで英語以外の言語を耳にし、カフェやスーパーに入れば、インド系やフィリピン系の店員に接客されることもごく普通である。
時には自分がどこの国にいるのかが分からなくなるほどだ。
今後も移民は増えるのか
2022年11月1日、カナダ政府は、2023年を初年度とする3年間の移民計画「Immigration Levels Plan 2023-2025」を公表し、今後の更なる移民の受け入れを宣言している。
この計画によると、2023年は46万5,000人、2024年は48万5,000人、そして2025年には50万人もの新規移民を受け入れることになっており、その数の膨大さにニュースリリース時は話題となった。
特に、現在深刻な労働力不足に見舞われている医療・製造・建設業・STEM(科学・技術・工学・数学)などの分野のスキルや資格を持つ移民は今後ますます必要とされ、これら専門分野に特化した移民プログラムの制定が強化されると思われる。
(引用元:Government of Canada / An Immigration Plan to Grow the Economy
https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/news/2022/11/an-immigration-plan-to-grow-the-economy.html)
まとめ
カナダの労働力は、もはや移民によって支えられていると言っても過言ではない。
まだまだ労働力不足のカナダでは今後も更なる移民の受け入れが行われる。
特に医療や数学、IT職のニーズが高いので、該当する人は永住権に挑戦してみてはいかがだろうか?