トランプ元大統領を家宅捜査:割れるアメリカの現状〜トランプ支持派編〜

アメリカ

8月上旬とある大ニュースが、全米の注目の的となりました。トランプ元大統領の家にFBIが家宅捜索に入ったというものです。このニュースそのものでも大事件ですが、トランプ氏の関わる事件には必ずアメリカの分断の影が見え隠れします。
今回は、今アメリカで起こっていることをシェアします。

核の機密文書を持ち出し!?トランプ元大統領の家にFBIが!? 割れるアメリカの現状〜トランプ支持派編〜

    著者:シアトルgram fellow 土師 恵
公開日:2022年8月22日

今回の事件の概要

FBIは2022年8月8日、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」を捜索しました。
なぜ家宅捜索をしたかというと、スパイ法違反、司法妨害、政府記録の不適切な取り扱いの3つの連邦犯罪の容疑があったためです。
「最高機密/SIC」と記載された文書1組、そのほか「最高機密(トップシークレット)」の文書4組、「機密(シークレット)」の文書3組、「秘密(コンフィデンシャル)」の文書3組などを押収したそうです。
機密文書の内容については詳しく述べられていませんが、核兵器に関する文書なども含まれていたとアメリカでは報道されています。

トランプ支持者の反応

現ジョー・バイデン政権になっても、トランプ元大統領は一部の人からは絶大な人気があります。
彼らは「ジョー・バイデンは前回の選挙で不正をした」「前回の選挙は本当はトランプ元大統領が勝っていた。今頃はトランプ大統領の2期目の2年目だったはずだ」と本気で思っています。

トランプ元大統領のサポーターはかなり過激でメディアに出たがりな印象です。
トランプ元大統領本人もメディア露出を好むタイプの人で、TwitterのアカウントはBANされましたが、独自のSNS「Truth social(トゥルース ソーシャル)」というものを作り、活発に発言しています。

トランプサポーターは2024年のアメリカ大統領選にトランプ元大統領が返り咲くことを切に望んでいます。

アメリカ大統領の任期は4年間で、今年はジョー・バイデン政権2年目です。
大統領の働きぶりを評価するかの如く、大統領着任から2年で中間選挙があります。
その中間選挙が今年の11月にあるのですが、ジョー・バイデン大統領所属の民主党は支持率が41%で、トランプ元大統領所属の共和党は41%と同率です(18%はその他の意見)。

そのため、今回の家宅捜索がアメリカで報道されると、「ジョー・バイデンが行政の力を借りてトランプ元大統領を潰しに来ている」「この家宅捜索は越権行為だ!」「FBIはナチスドイツ時代の秘密国家警察だ」などと、一部の過激なトランプサポーターが声を上げました。

トゥルースやその他SNSでは、FBI本部前にダーティーボムを仕掛けると投稿したり、内戦や武装反乱を呼び掛ける脅迫行為が活発になりました。

現実世界でも実際にFBIの捜査員に危害を加えようとしたり、11日には、オハイオ州シンシナティのFBI本部に武装して侵入しようとした男が警察に射殺された事件がありました。
また、14日にはワシントンDCで男が車で連邦議会議事堂の警備用バリケードに突っ込み、その後発砲し、自殺しました。
これらの事件はトランプ元大統領の家宅捜索に反対の姿勢や不快感を表したものと考えられています。

なぜそこまでトランプ元大統領を支持するのか?

トランプ元大統領の支持者はいくつかの種類に分けられます。
まず、共和党支持者の方です。トランプ元大統領は共和党で、共和党の政策がいいのでトランプ元大統領を支持している人は一定数います。
MAKE AMERICA GREAT AGAIN(偉大なアメリカをもう一度)をスローガンに、「白人が豊かだったアメリカ、産業が活発だったアメリカ、物価が安かったアメリカに戻そう!」というような考え方で、地方の年配の白人の方に特に支持されています。また、そのような共和党支持の白人優位主義の方は、クリスチャンの特に福音派に多いです。政策や宗教を理由にトランプ元大統領を支持しています。

次に陰謀論信者です。
過激派陰謀論のQアノン信者は、アメリカの分断の一端を担っているインターネットカルトです。
大変独特な考え方を持っていて、例えば「地球は球体ではなく平らである」、「ジョン・F・ケネディは実は生きている」とか、Gematriaという数秘術に当てはめてトランプ元大統領を神格化したりと、一般的な教育を受けた人からすると、ちょっと笑ってしまうようなことを真顔で大きな声で訴える団体です。

日本でも似たような団体が公安から注意を受けたり逮捕されているニュースを見ましたが、アメリカだともっと規模が大きく、過激になりやすいです。
家族の中にQアノン信者がいて大変な思いをしているアメリカ人も多く、社会問題になっています。

こういった特殊な考えを熱心に信じる人達がトランプサポーターになるので、かなり心酔した、アメリカ国会議事堂襲撃事件に関わったような過激な支持者が生まれます。
今回の家宅捜索の後「2024年にまた大統領になるんだから、機密文書を持ち出して何が悪いの?」とコメントしたトランプサポーターもいました。

まとめ

今回のトランプ元大統領宅の家宅捜索はトランプサポーターからは強い批判の声が上がっています。ただ、その他の人達からは「核の機密文書を持ち出したんだから当たり前」など、冷ややかな反応です。
トランプ元大統領が逮捕されるか否かは筆者には分かりませんが、彼がそれくらい国防の面をはじめとして国を危険に晒していると考える人もいます。
今回取り上げたトランプサポーターのように「トランプ元大統領は本当は今でも大統領だ。だから文書を持っていて良いのだ」「次の選挙で必ず勝つのだから、大統領が持っているべき文書を持つのは当たり前のこと」と驚くような考えを持っている人もいます。アメリカの現状を知る事で御社のビジネスのヒントになれば幸いです。

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