特集:世界では東京五輪についてどのように報道されたのか?(米国・後編)

Tokyo2020

8月8日、東京にて2020年オリンピック大会の閉会式が行われた。新型コロナウイルスによる延期、大会関係者の辞任、無観客開催といくつもの困難を乗り越え開催されたオリンピックとなった。
今大会を終えて各国はどのように考えているのか。
オリンピック閉会後の米国の4つの記事をもとに考察した。

アメリカ・後編

目立つトピックは、やはり自国のメダリストへの注目だった。米国は国別メダル獲得数第一位となった。メダル獲得を機に注目されたアスリートや期待されていた選手の大会辞退などに関する特集なども多くあった。
オリンピック開催国となった日本に対する意見としては、大会前のニュース同様、批判より称賛が多かった。大会中のデルタ株感染者の急増や、緊急事態宣言の発令、そして大会後東京で過去最高の感染者数を記録することとなってしまったことへの懸念の姿勢も示されていた。

  著者:gram フェロー
公開日:2021年8月24日

特集:世界では東京五輪についてどのように報道されているのか?

米国では東京五輪についてどのように報道されているのか?

米国のニュース記事の調査の結果、新型コロナウイルスの新たな感染者数が収まらない状況、そして他国よりも遅れたワクチン接種といった2つの大きな問題がある中、「なぜ東京五輪の開催は実行されたのか」を疑問視または分析する記事と、「IOCのビジネスライクな姿勢が今回の五輪を左右させていた」と主張する記事が多く見られた。東京五輪が開催された理由は、開催までに後戻りできないほどの投資が行われてきたこと、そして次期開催国である中国に新型コロナの世界的大流行後初のオリンピック開催国の座を奪われるのを回避したい日本の意地もある、と指摘していた。そしてIOCは収益獲得が主な原動力であるという現実を浮き彫りにした指摘があった他にも、関係者各位の辞任、無観客開催について注目する記事もいくつかあった。
総合的には、一見批判とも見られる内容がありつつも、批判姿勢の記事は少なく、この状況下でオリンピックを開催する日本を応援するようなメッセージ文やまとめ方をする記事がほとんどだった。今回のオリンピックは前例がない状況下で実施されたため、比較対象がないという点が報道のされ方に影響を与えているのではないかと考えられる。

オリンピック開催中の東京で新型コロナ感染が急拡大、過去最多の新規感染者数を記録:TIME

Tokyo Logs Record Number of COVID-19 Cases As Infections Surge Amid Olympics

8月5日、東京で過去最多となる5,042人の新たな新型コロナ陽性者が確認された。菅総理大臣はこの数字にはオリンピック関係者の感染者も含まれており、オリンピック開催による数字の上昇であると述べた。この状況から一番懸念されることは病床の逼迫だ。これを防ぐため、無症状患者や軽症患者の自宅療養システムを強化する必要がある、と東京都医師会副会長の猪口正孝氏は述べた。
TIME : https://time.com/6087726/tokyo-olympics-covid/

不完全でコントロール不能だったオリンピック、バトンは東京からパリへ:NBC News

Tokyo passes Olympic baton to Paris after imperfect, irrepressible games

「これにて第32回オリンピック大会を閉幕します。次はパリでお会いしましょう。」バッハ会長の言葉と共に2021年8月8日、2020年度のオリンピックに幕が閉じた。 今回のオリンピックは前例がない、そんな大会だった。課題が山積みにあり、国内批判もあった。選手たちのメンタルヘルスについての議論やある選手の母国が絡んだ政治的問題など様々な議題が浮上していた。しかし一番の問題はやはり約2億人が感染し、430万人が亡くなったとされた新型コロナウイルス。さらに大会が始まってから、変異株への感染も相次いだ。 オリンピック歴史家ジェレミー・フックスは「完全にハッピーなオリンピックはなかった。しかし今回のオリンピックほど賛否両論ある大会は初めてだ」と述べた。 菅総理大臣はインタビューで「国民にこの大会の実施を説得するのが一番の課題だが、大会は必ず実行する」と述べていた。そして言葉通り、大会は実施された。
NBC News : https://www.nbcnews.com/news/olympics/tokyo-olympics-closing-ceremony-set-bring-imperfect-irrepressible-games-end-n1276009

オリンピックの魔法、コロナの憂鬱をはねのけた しかし大会が遺したものは複雑:Washington Post

Olympic magic cut through the pandemic gloom, but the Tokyo Games’ legacy is complex

大会同様、閉会式も異例の無観客という形で行われた。しかし今回のオリンピックが世界中の人々のコロナ疲れを癒やしたことは確かである。BMXやスケートボードなど新たな種目も加わり、日本人選手もこれらの新種目で結果を残して人々に強く感動を与えた。 今回のオリンピックで日本は、たとえ批判や議論はあったとしても、世界的パンデミック下でのオリンピック開催は不可能ではないことを世界に示したのだ。オリンピック選手達のマスク着用の徹底、非接触のメダル譲渡など厳しい規則が設けられていたが、このような徹底ぶりが大会の開催を可能にし、なんとかに閉会までへと導いたのだろう。 しかし、多くの公衆衛生の専門家は、この大会が日本の社会にダメージを与えたと主張している。医学者の渋谷健司氏は、今回の大会によってパンデミックが完全に収束されていない状況下での「安全・安心」は不可能であることが分かったと述べた。そして今回の大会開催により、日本社会が健康面と経済面の負債を抱えることとなったことも指摘した。
Washington Post : https://www.washingtonpost.com/sports/olympics/2021/08/08/olympics-tokyo-legacy-pandemic/

バイデン大統領、オリンピックの成功について菅総理大臣を電話で称える:US News Reuters

In Call, Biden Commends Japan’s Suga for Successful Olympics

バイデン大統領は菅総理大臣との8月9日の対談でオリンピックの開催、そして現状での開催に不可欠であったウイルス蔓延防止対策徹底への姿勢を褒め称えた。 菅総理大臣にとってバイデン大統領は積極的な態度を示す中国に立ち向かうためにも大切な同盟国である。統計によると9日、菅総理大臣の国内の支持率が去年の9月に総理大臣に任命されてから一番低くなり、30%を下回る数字となった。しかし、読売新聞の統計によると64%の人々が大会が実施されてよかったと答えていることも分かった。緊急事態宣言が発令される中、無観客でのオリンピック開催となった。米国国務長官のアントニー・ブリンケン氏は国家安全保障局長の秋葉剛男氏と対談を行い、インド太平洋の包括的な利用について賛成した。さらに二人は台湾の安全と安定も大切だと述べ、日米韓の間での情報共有や助け合いも強化していくという形で合意した。米国の国家安全保障局長のジェイク・サリバン氏も秋葉氏と対談を行い、今後中国との経済やインターネットセキュリティ面について調整していく必要があると述べた。
US News Reuters : https://www.usnews.com/news/world/articles/2021-08-09/in-call-biden-commends-japans-suga-for-successful-olympics

特集:世界では東京五輪についてどのように報道されたのか?(米国・前編)

 

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