オーストラリア:自転車走行の厳しいルール

オーストラリア

昨今、日本では自転車の取り締まりルールが厳格化し、赤切符の交付やヘルメットの着用努力義務化などが進んでいます。これまでは自転車は自動車に比べて厳格な罰則がなかったため、賛否両論を巻き起こしていますが、オーストラリアでは自転車に対しても以前から厳しい罰則が課されています。オーストラリアの厳しい自転車走行ルールをシェアいたします。

オーストラリア:自転車走行の厳しいルール

   著者:オーストラリアgramフェロー 平澤 歩
公開日:2023年2月22日

国全体のルール

オーストラリアの自転車走行ルールには、国全体で適用されるものと、州独自で適用されるものがあります。違反した場合、警察から違反金を徴収されます。まずは国全体で適用されるルールを見てみましょう。

ヘルメット着用
自転車に乗る際は、必ずオーストラリアの規格で定められたヘルメットを着用する必要があります。日本人はヘルメットを着けて自転車に乗る習慣がないので、ヘルメットをつけずに走行してしまって警察から罰金を徴収された経験のある人が数多くいます。

フロントライト・リアライト・ベルを装着
フロント(前部)ライトのみでなく、リア(後部)ライトの装着が必須です。格安自転車や中古自転車だとライトがついていないことがあるため、別途購入して装着する必要があります。

夜間のフロントライト・リアライト点灯
オーストラリアでは、自転車は車道もしくは車道に面した自転車専用レーンを走行するため、自動車のドライバーに「ここに自転車がいます!」とはっきりアピールしないと大変危険です。そのため、フロントライトのみでなく、リアライトの点灯も必須です。

動物の同乗禁止
日本ではペットを抱えたりカゴに乗せたりして自転車に乗る人がいますが、オーストラリアでは禁止されています。

その他、踏切の不停止・車間距離を空けない追い越し・信号無視など、自動車と同様の基本的な交通ルールに違反した場合も、警察から違反金を徴収されます。

州独自のルール

オーストラリアでは前述した国全体のルールに加え、州独自のルールが定められており、違反した場合は警察から違反金を徴収されます。州独自のルールの一部を見てみましょう。

通話しながらの走行禁止
スマホで通話しながらの走行は禁止です。現地の人に聞くと、通話だけでなく、イヤホンを装着して音楽を聴きながら走行するのも、警察から注意を受ける可能性があるそうです。

右左折する際は手信号
自動車レーンもしくは自転車専用レーンを走行し、右折もしくは左折する際は、手信号を行なう必要があります。この習慣は日本人には全くありませんが、後ろを走る自動車からの衝突を防ぐため必須です。

歩道走行不可
自動車走行量の多い都市を含む州では、自転車は必ず自動車レーンもしくは自転車専用レーンを走行する必要があります。

飲酒運転不可
定められた量までの飲酒であれば自動車の運転が許可されているオーストラリアですが、自転車の飲酒運転を不可とする州もあります。

上記ルールは州によって可・不可が異なりますが、これらのルールが罰則化されていない州でも、一般的に守る人が多いルールとなっています。

安全に自転車に乗ろう

オーストラリアで自転車に乗る際、はじめは厳しい走行ルールに戸惑いましたが、今では習慣化しました。日本で波紋を呼んでいる「ヘルメット着用」は転倒時のケガ防止になりますし、慣れれば特に気になりません。

日本での自転車事故は2020年のデータで6万7,673件と、交通事故全体の約2割を占めるほど高い水準となっています。日本でもオーストラリアのように自転車走行者一人ひとりがルールを守ることで、事故を減らすことができるかもしれません。

【引用】

◇Government of South Australia:
https://www.sa.gov.au/topics/driving-and-transport/cycling/cyclist-road-rules-and-safety

◇一般社団法人日本損害保険協会:
https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/stats.html#:~:text=2020年の自転車乗用,ています(グラフ2)。

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