プロが教えるソーシャルリスニングの基本:ブランディングに役立てる

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングという手法を使って、どのようなことができるのか。

前回は、ソーシャルリスニングを使った「同じカテゴリー内の商品との比較」、つまり「自社ブランドと競合ブランド」の調査についてご紹介した。
今回は、ソーシャルリスニングを自社のブランディングに役立てるならば、どのような調査ができるのかについて考察したい。

ソーシャルリスニングの使い方編その②:ブランディングに役立てる

著者:gram 福田 さやか 
公開日:2021年4月15日

SNS時代のマーケティング施策「越境ソーシャルリスニング」解説まとめ

「ブランディング」とは

まず、「ブランディング」とは何か。

初めに「ブランド」の定義から振り返りたい。
アメリカマーケティング協会によれば、「ブランド」の定義は以下のようになっている。
“A brand is a name, term, design, symbol, or any other feature that identifies one seller’s good or service as distinct from those of other sellers” (American Marketing Association).
「ブランドとは、ある販売者の商品やサービスを他の販売者のものと区別するための名称、用語、デザイン、シンボル、またはその他の特徴である。」

では、「ブランディング」とは何か。
コトラーとケラーの共著、「マーケティングマネジメント」には以下のようにある。
“Branding is endowing products and services with the power of a brand” (Kotler & Keller: Marketing Management (2015), American Marketing Association)

つまり、「ブランディング」とは、製品やサービスにブランドの力を持たせること、である。

ブランディングにソーシャルリスニングを役立てる

それでは、自社のブランディングにソーシャルリスニングを役立てるとしたら、何ができるだろうか。
まずは、自社や自社の特定の商品がどのように認識されているのかを、リスニング(傾聴)することができる。

ここで留意が必要なのは、ソーシャルリスニングをブランディングに役立てようと思うと、それなりに認知度のある大手企業・有名商品である必要があるという点である。そうでないと、分析に足りうる書き込みの件数が出てこない。
また、ソーシャルメディアで語られにくい商品については、有名であってもなかなか書き込みが出てこない。例えば、生理用品などはその顕著な例である(特定の生理用品がお気に入りでも、Twitterに感想を書き込んだり、Instagramで商品を紹介したりはしないだろう)。
また、購入するタイミングで書き込みが起きることを考えると、耐久消費財はソーシャルリスニングでは表れにくい。このため、FMCGと呼ばれるようなFast Moving Consumer Goods、消費者向けの低価格の製品(日用消費財)の方がソーシャルリスニングには向くといえる。そして、「映え」て、「人にお勧めしたくなるような」スイーツ・お菓子、加工食品、化粧品などについては書き込みが多い傾向もある。

ブランディング目的のソーシャルリスニング

では、ソーシャルリスニングに耐えうる件数が出てくる、ある会社、ないしはその会社の商品について、ブランディング目的のソーシャルリスニングはどうやって行うのか。

まずは、その会社名や商品名で共起語を分析することができる。
AIを使ったツールを使えば、ワードクラウドという機能があり、共起語を頻出度が高いほど文字を大きく表示する形で示してくれるが、こうしたツールはそれなりに費用が掛かるため、簡単に行うには、TwitterやInstagramの検索窓にそのブランドの名前を入れてみて、目で投稿の傾向をざっと見ていくということができる。
たいていの場合、そのブランドや会社の自社書き込みや実施しているキャンペーンに関する書き込みが多くなる(プレゼントキャンペーンなど)。こうした書き込みをTwitterが無料で用意している機能である「高度な検索」で除外して、そうではなく、個人がそのブランドに対して愛着(ないしはクレーム)を語っている書き込みを見つけることで、自社商品や自社がどのように評価されているのか、実際の消費者の声から把握することができる。

もし、そういう消費者を見つけられたら、その人がなぜそのブランドを好きになった(あるいは嫌いになった)のかを過去の書き込みやプロフィールなどを見ながら見つけ出し、ペルソナ(消費者像)を描くことができれば、自社やその商品がどのような人に届いているのか(あるいは届いていないのか)を分析できるだろう。

むすびに

守秘義務等などにより、実際の例を使ってご紹介できず、イメージがわきにくいかもしれない。
しかしながら、このようにして、ブランディングについてソーシャルリスニングを使うことができる、ということがお示しできていれば幸いである。

SNS時代のマーケティング施策「越境ソーシャルリスニング」解説まとめ ソーシャルリスニングに関するお問い合わせはこちら

福田 さやか

11,530 views

gram パートナー&リサーチコンサルタント 【 経 歴 】 東南アジアに特化した高等教育支援NPO法人、慶應義塾大学大学院助教、国際会議支援会社、アジア専...

プロフィール

関連記事一覧