インドネシア、ソーシャルメディアを使ったeコマースを禁止

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近年、デジタルトランスフォーメーションの波が全世界に広がりを見せる中、ソーシャルメディアを活用したeコマースが注目を集めています。特に動画共有アプリ「TikTok」は、その独自のフォーマットと若いユーザー層を活かし、eコマース市場への参入を果敢に進めてきました。しかしインドネシア政府は、2023年にこのTikTokを中心としたソーシャルメディア上のeコマース取引を禁止するという衝撃的な決定を下しました。

この記事では、その背景や意義、そしてTikTokのeコマース戦略とインドネシア市場との関係について詳しく解説していきます。

インドネシア、ソーシャルメディアを使ったeコマースを禁止

   著者:インドネシアgramフェロー 尼野さらさ

公開日:2023年 11月15日

インドネシアのeコマース市場の現状と背景

インドネシアは、東南アジアで急成長するeコマース市場を持つ国のひとつです。2018年からわずか数年間で売上が6倍以上に増加し、689兆ルピア(約44億米ドル)にも達する見込みとなっています。この市場の拡大を背景に、国の人口のほぼ半数にあたる1億2,500万人がTikTokを利用しており、その中には商品の宣伝や販売を行う販売者600万アカウント、クリエイター数百万アカウントも含まれています。

(参考:TikTok: Social media app shuts shop after Indonesia ban
https://www.bbc.com/news/business-67002545

TikTokなどのソーシャルメディアの台頭によりオンラインでの取引が増える一方で、実店舗を持つ小売業者やマーケットプレイスは厳しい状況に直面しています。そんな中、2023年10月、インドネシア政府はソーシャルメディアを通じたeコマースの取引の禁止という大きな決断を下しました。この政策は、国内の小売業者やマーケットの保護、そして外資系大手ソーシャルメディア企業の進出を防ぐことを狙っています。

TikTokのeコマース戦略とインドネシア市場の関係

TikTokはその特色あるフォーマットと多様なユーザー層を武器に、eコマース市場への参入を果敢に進めてきました。動画を楽しみながら商品購入のきっかけを作るスタイルは、多くのブランドや企業から注目を集めています。

特にインドネシアはTikTokのユーザーが1億1,300万人以上と非常に多く、18歳から24歳のユーザーが全体の約38.5%を占めており、TikTokにとっても重要な市場となっています。しかし、インドネシア政府の新たな方針の影響で、TikTokのインドネシア市場でのeコマース戦略は大きな打撃を受けることとなりました。

インドネシアの禁止措置がTikTokに与える影響

インドネシア政府によるソーシャルメディアを介したeコマース取引の禁止は、TikTokのビジネス戦略にとって予期せぬ障害となりました。この政策変更に対応するため、地元の規制に準拠するための「建設的な前進の道」を模索しています。TikTokインドネシアは禁止措置への対応として、地域社会との協力を重視し、規制当局との対話を通じて適応策を探る姿勢を明らかにしています。これは同社が禁止の影響に対して懸念を持ちつつも、地元の法律と規制を遵守する意向を示しており、インドネシア市場での運営を継続するための新たな戦略を検討していることを示唆しています。

アジア全体への影響と今後の展望

この決定はTikTokのインドネシアにおけるビジネスモデルに影響を与えるものと見られます。インドネシアはTikTokのアジアにおけるeコマース収益の約60%を占める重要な市場であり、TikTok Shopは昨年、インドネシアで25億ドル以上の収益を上げていました。これはTikTokの東南アジア全体でのeコマース収益の44億ドルの中で、かなりの部分を占めています。

(引用元:TikTok Shop Ban in Indonesia Sends Ripples Through a Fresh E-commerce Landscape
https://www.gizmochina.com/2023/10/13/tiktok-indonesia-e-commerce-ban/

インドネシアの政策変更は、他の国々にも影響を与える可能性があります。東南アジア諸国では、ソーシャルメディアを通じたeコマースの市場が拡大しており、他の国々もインドネシアの決定を参考にした政策変更を検討する可能性が考えられます。この動きがアジア全体のソーシャルメディアを通じたeコマースの風景にどのような変化をもたらすのか、今後の展開が気になるところです。

まとめ

インドネシアの新しい政策は、ソーシャルメディアを通じたeコマースの風景に変化をもたらしています。市場の急激な変動に迅速かつ適切に対応することは、今後のビジネス展開において極めて重要です。TikTokのような大手企業は各国の政策や市場の動きを綿密に分析し、それに基づいた戦略を策定することが求められます。

尼野さらさ

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インドネシア在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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