栄養教育の先進国:オーストラリアの学校食事に迫る

オーストラリア

日本の小中学校の食事といえば、給食が定番です。安価で栄養バランスが高く、食育の観点からも重要な役割を果たしています。一方、オーストラリアに給食制度はありません。食事内容・食事回数など、日本では考えられない内容になっています。それでは、オーストラリアの学校の食事について見ていきましょう。

日本とはまるで違う!オーストラリアの学校の食事

   著者:オーストラリアgramフェロー 平澤 歩
公開日:2023年7月19日

1日に何回も食事タイムがある

日本の小中学校では、お昼の給食時間以外食事の機会はありません。おやつも持参禁止なので「朝ご飯をしっかり食べましょう」と言われますよね。

一方、オーストラリアの小中学校では、1日2回以上食事の時間が設けられています。まず、朝9時半から11時半の間のどこかで「モーニングティー」という軽食の時間があります。この時間にはフルーツや野菜スティック、チーズやクラッカー、マフィンなどの軽食を食べます。

次に、11時半から14時頃に「ランチタイム」があります。この時間にはサンドイッチやパン、パスタ、オーストラリアの定番フード・ミートパイなどを食べます。

オーストラリアには給食制度がないため、食事は家からランチボックスを持参するか、「キャンティーン」と呼ばれる校内の売店で購入します。学校によっては、キャンティーンで朝に食事を注文し、ランチタイムに受け取ることができます。

また、モーニングティーとランチタイム以外にも、スナックタイム(おやつの時間)が設けられている学校や学年もあります。

健康の観点から規制される食べ物も

スナック菓子やファストフードなど、日本では考えられないジャンキーな食べ物を子供に持たせる親も多いオーストラリア。そのような食生活が引き起こす健康問題を危惧し、2023年6月、南オーストラリア州政府はキャンティーンで販売できる食べ物の基準を厳格化し、親もその基準に準じたランチボックスを子どもに持たせることが推奨されるようになりました。

この新基準では、食べ物や飲み物を4つのカテゴリーに分けています。1つ目は「持参に適した食品」。サラダや野菜スティック、フルーツ、サンドイッチ、パスタ、ミートパイ、低脂肪牛乳やヨーグルト、ノンオイルツナ缶、シリアル、水など、栄養価が高いものや、糖分や脂質が比較的低いものが指定されています。

2つ目は「持参可能だが、量は少なめにすべき食品」で、マフィン、ポテトチップスなどのスナック菓子、ソーセージパイ、果汁ジュースや牛乳飲料などです。

3つ目は「1学期に2回までは持参してよい注意すべき食品」で、ピザ、ホットドック、ケーキなど。4つ目は「販売・持参禁止食品」でチョコレートやキャンディなどの糖分の高いお菓子、コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインの多い飲料です。

アレルギーの観点から規制される食べ物も

乳幼児の10人に1人が何かしらの食品アレルギーを持つほど、世界の中でも食品アレルギー発生率の高い国・オーストラリア。重度の食品アレルギーを持つ生徒がいる場合、その食品を持参・販売することが禁止されている学校もあります。

しかし、この規制には他の親から大きな批判が寄せられることもあります。乳製品のアレルギーを持つ生徒がおり、持参が禁止されている学校に子どもを通わせている親から、「乳製品に含まれる栄養素は成長に必要なものなので、持参の禁止はバカげている」「乳製品は飛散するものでもない、気になるのであればアレルギーを持つ生徒が離れて座ればよい」という不満の声があがり、学校側の行き過ぎた対応が物議を醸しています。

まとめ

オーストラリアでは、時間を問わず何度も食事を採る人が多いと感じていましたが、小さい頃の学校での食事がその習慣を形成している可能性がありそうです。日本の「3食しっかり食べる」という習慣が正しいと言い切るのは難しいですが、オーストラリアは肥満と判断される人が全体の2/3を占めることから、小さい頃からの食習慣を見直す必要がありそうだと言えます。

【引用】
◇Government of South Australia:
https://www.education.sa.gov.au/schools-and-educators/health-safety-and-wellbeing/right-bite-food-and-drink-supply-standards-for-south-australian-schools

◇7life:
https://7news.com.au/lifestyle/outrage-as-major-food-group-is-banned-from-lunches-at-one-aussie-school-c-9854450

◇NSW Food Authority:
https://www.foodauthority.nsw.gov.au/consumer/life-events-and-food/allergy-and-intolerance#:~:text=Food allergy now affects 1,they have a food intolerance.

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