ショッピングモール内の巨大農園が熱視線|マレーシアの屋内農業ビジネスに注目

マレーシア

マレーシアのスタートアップ「Agroz Group」が、イオンマレーシアとタッグを組み、国内最大の屋内植物工場をイオンモール内に開設。食品の安全と持続可能性を確保し、食料安全保障の実現を目指す。クアラルンプールを中心に垂直農場を計画しており、消費者への新鮮な農産物提供と雇用創出、技術の体験学習も視野に入れている。屋内農場市場の拡大が見込まれるマレーシアでの新たな取り組みに注目が集まる。

今回はこのニュースを取り上げ、成長が期待されるマレーシアの屋内農場の市場について解説します。

イオンに国内最大の植物工場  |マレーシア  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年3月28日

食品の安全性の確保

「Agroz Group」を設立した起業家のリム氏は、食品の安全性・持続可能性を確保し、さらに食料安全保障を確立するために、アグリテック企業を設立しました。

テクノロジーの活用に焦点を当て、価値の高い雇用を創出することも目的にしています。

クアラルンプールエリアに屋内農場を

「Agroz Group」の目標はマレーシア最大の屋内垂直農場を運営する会社に育てることです。

当面は、クアラルンプールも含めたマレーシアの首都エリアであるクランバレーに、合計約1万平方メートルの垂直農場を建設することを目指しています。

そのためには、新鮮な農産物が中高所得層の目の肥えた消費者に届くこと、彼らのプレミアムな価値を享受できる関連企業と連携することを目指す、と創業時のインタビューで述べていました。

ショッピングモール内に屋内農場

「Agroz Group」は、2023年8月にイオンマレーシアと提携して、クアラルンプール北部のワンサマジュ地区のショッピングモール「イオンモール・アルファアングル」に、同社の主力生産拠点となる屋内農場「Agroz EduFarm-in-City」を開設しました。

広さは約743平方メートルあり、ショッピングモール内に作られた屋内農場としては国内最大規模です。

現在はコーラルレタスやバターヘッドなどサラダに使用される葉物野菜、ルッコラやケールなどのハーブを月に5~6トン生産しており、イオンの9店舗とオンラインモールを通じて販売しています。

体験学習

「Agroz Group」の「EduFarm」は、 2023年9月から週末にツアーを実施し、彼らの先進的な技術によって、高品質で清潔な無農薬野菜がどのように生産されているのかを紹介しています。

「EduFarm」には独自の体験センターがあり、市の中心部のビル内でどのようにして野菜栽培が可能になるのかを紹介しています。

リム氏も「イオンと協力することで、買い物客にショッピングとともに体験学習を提供できて大変うれしく思う」と語っています。

近年急速に成長している屋内農場市場

マレーシアでは都市化や気候変動などの影響が拡大していて、屋内農場への需要が高まり、市場規模も着実に拡大しています。

また、政府も食料安全保障の向上と農業分野の発展を促進するため、屋内農場に対して支援策を導入して市場の成長を後押ししています。

中高所得層が増加することで、 より安全で新鮮な農産物への需要が高まっていて、その点では屋内農場は環境への配慮を施し、さらに農薬の使用量なども削減可能なため、消費者からも熱い視線が注がれています。

さらに発展する可能性も

マレーシアの気候は1年を通じて暑く湿度が高いため、野菜や果物の栽培に理想的ですが、雨期や乾期などの気象条件によって栽培が影響を受けたり、土壌の質などもあり、安定して品質を維持する環境には恵まれていません。

また、都市化により農地が減少し、水資源が限られている地域も多くあるため不安要素も多いのが現状です。

屋内農場では一貫して安定した環境を整備でき、水の循環利用など優れた技術を活用することで、水の使用効率を従来の農業よりも向上させることが可能です。

さらに、 センサー技術などの農業技術の進歩により、光合成や水分管理などの要素を最適化して生産性を向上できます。

新たな雇用機会の創出の可能性があるため、屋内農場はさらに発展していくと推測されます。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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