マレーシアの新車販売   2024年 初の80万台越え

マレーシア

マレーシア自動車協会(MAA)は、先日、2024年の新車販売台数が初めて80万台を越えたことを発表しました。2023年と比べて2%増えています。

今回の記事では、再びマレーシアの自動車産業についてとり上げてみたいと思います。

マレーシアの新車販売   2024年 初の80万台越え

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年4月24日

過去最高を記録

新車販売台数が過去最高を記録した2024年は、前年比で2.1%増の81万6747台となりました。

マレーシア自動車協会のモハメド・ザイン会長は、この数字は、マレーシアの経済に回復力があるためだと述べています。

今回の記録は主に乗用車(前年比3.9%増の747,180台)によるもので、商用車は13.8%の大幅減の69,567台となりました。

安定したGDPの成長率

この最高記録の要因としては、GDP成長率が5.2%と好調で、2023年の同時期3.8%よりも大幅増したこと、社会や政治環境が安定して、失業率が10年ぶりの低水準の3.2%となったことを挙げています。

また、電気自動車(EV)を含む新車モデルが投入されたことや、サプライチェーンが改善されたことなども好調の要因として挙げられます。

マレーシア自動車産業の歴史と発展

あらためて、マレーシアの自動車産業の歴史について説明します。

マレーシアの自動車産業は、1960年代に組立産業としてスタートしました。

当初は欧米や日本のメーカーの車両を現地で組み立てる形が中心でしたが、1980年代以降、政府の主導によって「国民車プロジェクト」が推進されました。

1985年にプロトンが初の国産車「プロトン・サガ(Proton Saga)」を発売し、1993年には第2の国産車メーカーである「プロドゥア(Perodua)」が設立され、翌1994年に生産開始されました。現在もこの2社がマレーシアの自動車市場の主要プレイヤーで国内シェアの大半を占めています。

国際競争力

マレーシアの自動車部品産業は約800の部品工場を有し、国内およびASEAN地域向けに供給を行っています。特に、車体パネルやエンジン・トランスミッション、電子機器・タイヤなどに強みを持っています。

しかし完成車の輸出は限定的です。国際競争力を高めるためには、国際規格の採用や、EVや自動運転技術の開発などの技術開発の強化への取り組みが必要とされています。

今後の展望と課題

マレーシアの自動車産業は国内市場での成功を基盤に、国際市場での競争力強化を目指しています。今後の成長ポイントとしては以下があげられます。

 ・EV市場の拡大:
  政府が支援を強化することや技術革新を推進させること、さらに新モデルを投入することでEV市場の拡大を狙えます。

 ・輸出の強化:
  ASEAN市場でのシェアを拡大させることで、競争力が強化されます。しかし、以下のような課題を解決する必要があります。

 ・EVの価格の高さ :
  さらなる税制優遇や価格競争の促進を進めていく必要があります。

 ・充電インフラの不足 :
  まだまだ不足している充電ステーションの設置を拡大していく必要があります。

 ・国際市場での競争力向上 :
  研究開発への投資を増加させ、競争力の強化を図る必要があります。

マレーシアの自動車産業はどこへ向かうのか?

マレーシアの自動車産業は、国民車政策の成功によって国内市場では成長を続けています。しかし、国際競争力の向上とEV市場の発展が今後の課題です。

政府の税制優遇などの積極的で継続的な支援策と、企業の技術革新がうまく組み合わされ、国際化戦略に成功すれば、ASEAN地域でのリーダー的存在となる可能性があります。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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