韓国発「パリバゲット」オープン!マレーシアのベーカリー市場予測と競合状況

マレーシア

「製パン王キム・タック」の主人公がモデルとなった「パリバゲット」は、韓国国民のパン屋として知られ、東南アジアでは440店舗を展開している。今後は、スケールメリットを重視し、ハラル認証を取得した工場から、東南アジアや中東諸国にも出荷する計画である。
一方で、マレーシアのベーカリー市場は急成長しており、2023年には約8,600億円に達すると予想されている。競合も多く、ドンクなどの日系ベーカリーも進出しているが、韓国企業は、マレーシアなどの新興国で、現地化を徹底し、中間所得階層に照準を合わせた戦略で、積極的に参入している。

韓国系のベーカリー「パリバゲット」マレーシア1号店が開店   

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年2月25日

韓国の「製パン王」

韓国で2010年に放映され、その後日本でも人気になったTVドラマ「製パン王キム・タック」の主人公がSPCグループの会長の一代記をモチーフに創作されたという噂から、「パリバゲット」は一気に人気に火が付きました。「パリバゲット=韓国国民のパン屋」というイメージが定着し、韓国では店舗数3,000以上を誇る最もメジャーなベーカリーになっています。

東南アジアにはシンガポールを中心に 440 店舗展開しています。

東南アジアのハブに

「パリバゲット」ではスケールメリットを重視し、ジョホール州の今年6月稼働予定の工場を東南アジアのハブとして、シンガポールやベトナム、カンボジア、インドネシアなどの店舗に供給し、将来的には中東諸国にも出荷する計画です。ハラル認証を取得した工場で、生産ラインは7本、1日当たり最大11㌧の冷凍生地を生産できる規模です。

マレーシアのベーカリー市場競争激化

マレーシアのベーカリー(シリアルを含む)の市場規模は、2021 年に 約1,500億円とされ、ベーカリー製品の市場規模は、2023 年に 約8,600億円になると予想され、市場は毎年 7.06%で成長すると予想されています。

可処分所得の増加によるライフスタイルが変化し、それに伴いパン食の家庭が増えています。パンの需要は確実に大きくなり、市場規模も右肩上がりに成長しています。

マレーシアのベーカリー

最近では、「ドンク」も店舗展開を始めており、日系ベーカリーも複数進出して健闘しています。マレーシア全土に展開している「イオン」にもベーカリーがあり、街角にはローカルのベーカリーがそこここに小さな店舗を構えていて、朝から美味しい香りを出しています。

フードチェーンやコンビニが増えて、パンを食する機会が増えたことや、製パン技術の進歩によって、ベーカリーのマレーシア参入はまだまだ増えると予想されます。原材料コストの急激な高騰や、代替商品の増加などが成長の妨げにはなるでしょうが、食に対する好奇心が日本人同様に強いマレーシアですので、さらに専門化したベーカリーも増えていくことでしょう。

韓国企業の戦略

以前この記事での紹介した、韓国企業のマレーシアのコンビニ業界での躍進ぶりには驚かされます。韓国企業は、マレーシアなどの新興国で、より豊かなライフスタイルに強い好奇心を持つボリュームゾーンである中間所得階層に完全に照準をあてて鋭く食い込む戦略をとっています。徹底して現地化を図り、消費者のニーズをしっかりと見極めてそこに突き進んでいく突破力は凄まじいです。

ブランド力はあるが・・・

ベーカリーなどのF&Bやコンビニなどの業界で、日本は圧倒的なブランド力を保持しています。人々も余裕があれば日本ブランドのものを選びます。

しかし、一点突破力で消費者のニーズを突き、圧倒的なスピードと供給量の韓国勢に、戦略的にも戦術的にも分がよくなっていると強く感じます。国内市場の小ささに危機感をもち、海外進出を進める必死さがあります。

日本企業も積極的にFCなど活用して、現地化の方法と展開のスピード化を見直す時ではないでしょうか。

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