日本人とドイツ人の贈り物の違い
2月3日の節分が終わると、日本各地の街は一気にピンク色に染まります。バレンタインデーと春の到来を祝うように、店頭商品や店内装飾が淡い色合いから彩度の高い鮮やかなピンクに変わります。この季節には、チョコレートを親しい人に贈るイベントを多くの人が経験していると思います。しかし、国によっては、このような甘い季節の文化には独自の違いがあります。
今回は、そんな違いについて書いていこうと思います。
愛を祝う日、ドイツ人の贈り物
著者:ドイツgram fellow 千葉 よう
公開日:2023年2月15日
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私達のバレンタインデー
日本でのバレンタインデーは皆様もご存知の通り、主に女性から男性へチョコレートを贈る習慣として根付いている。この様な日本のバレンタインデーの形は昭和30年代頃に定着したそうだが、始めの方こそチョコレートの売れ行きは乏しかった。
昭和33年2月に、メリーチョコレート会社は新宿伊勢丹で「バレンタインセール」と看板を掲げて売り出したが、3日間で売り上げはたった『30円の板チョコが5枚のみ。』というなんとも切ない記事が残っている。だが、昭和30年代後半ともなるとメリーチョコレート会社をはじめ、多くのチョコレート会社が「バレンタインデーにはチョコレートを」と販売戦略を行い、この頃からバレンタインデーにチョコレートを贈るというイベントが本格的に定着したのである。
(引用元:日本チョコレート・ココア協会
http://www.chocolate-cocoa.com/dictionary/history/valentine/v02.html)
日本でチョコレートを贈るバレンタインデーが定着したのは日本企業の努力の賜物であることがわかった。では「バレンタインデー」というものは、そもそもどこから来たのだろうか?
バレンタインデーとローマ帝国
元来、バレンタインデー(英:Valentine‘s Day)というものは、キリスト教圏で行われるお祝いで、主に欧米等で愛を祝う日とされている。
ローマ帝国時代、2月14日は元々*女神ユーノーの祝日だったそうだ。
(*ローマ神話にて、女性の結婚、出産を司り女性の結婚生活を守護する女神)
当時、男女は基本別々に暮らしていたのだが、翌日15日から始まる豊穣・繁栄祈願であるルペルカーリア祭の前夜祭として、女性が自身の名を紙札に書き入れたものを男性が引き、パートナーとなった男女は祭りの期間中一緒に過ごすと定められていた。
また多くのパートナー達はそのまま恋に落ち、そのパートナーと結婚したそうだ。ローマ版マッチングアプリとでもいうのだろうか、時代が変わっても現代に通ずるものがあると我々としても少し親近感が湧く。
しかしローマ帝国皇帝クラウディウス2世は、愛するものを置いてゆき、兵士の士気が低下するということから兵士達の婚姻を禁止したのである。
その際キリスト教司祭ウァレンティヌス(バレンタイン)は兵士達を憐れみ、内密に兵士達の婚姻を取り持つが、皇帝はこれを良しとみなさず、最終的には2月14日女神ユーノーの日に処刑されてしまうのである。
こうして、2月14日は恋人達の日となり、現在のバレンタインデーとなったと言われている。
(出典:Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%BC
)より要約
ドイツの Valentinstag
ドイツでも同じく2月14日にValentinstag(バレンティンスターク)があり、親しい方へ贈り物をするというのは日本と同じだ。
異なる点といえば、「ドイツでは男性から女性へ」「チョコレートではなく花束を」「愛の告白ではなく、日頃の感謝や愛」
そして日本ほど大々的に行われてはいないということだろう。
ドイツ人男性は『バレンタインデーの贈り物ににどのくらいお金を使うか?』という調査でも
「€50以下」が34,6% 「€51~100」が10% 「€101~200」が9,8% 「€201~300」が2,9% 「€300~」が0,9%
そして「何も買わない」が41.8%という結果だ。
さすが、お財布の紐が硬く縛ってあると有名なドイツ人、バレンタインデーにおいてもやはり堅実的なのである。
(出典:Welt https://www.welt.de/finanzen/article173489011/Valentinstag-Ein-Akkuschrauber-als-Geschenk-Ist-gar-nicht-mal-so-selten.html
)
贈るものとして多いものは
・花束
・恋人同士が少し良いレストランへ行く
・香水や、アクセサリー、化粧品等
・甘い物(チョコレート、キャンディ、グミ) などである。
バレンタインデー当日は,
花束を小脇に抱えた紳士が多く、これから贈り物をするのだろうなと微笑ましく温かい気持ちになれる。街の花屋はもちろん、スーパーマーケットなどにも控えめではあるがバレンタインの花束コーナーができる。
ドイツではよく揚げたカマンベールチーズにコケモモのジャムをつけて食べるのだが、変わり種だとこのチーズが期間限定でハート型になっていたり、いつものお茶が少し可愛らしい雰囲気に変わっていたり。ささやかにバレンタインデーを盛り上げようとしている企業もみることができる。
また、バレンタインレシピもインターネット等を通じて目にする機会が増えてきている。
(REWE 公式レシピサイトURL: https://www.rewe.de/rezeptsammlung/valentinstag?ecid=som_pinterest_nn_nn_nn_nn_nn_nn_nn )
ジャガイモやズッキーニなど色々な野菜をバラの様にくるくると巻きオーブンで焼いた、見た目にも綺麗なバレンタインレシピである。
上記アンケートで「バレンタインデーに何も買わない」と答えた層は、何もしていないわけではなく、こういった家でできるゆっくりとした楽しみ方をしているのかもしれない。
60年後のバレンタイン
ドイツ人は実用的である一方で、イベントや新しいものに強い興味を持っているという印象があります。もちろん、年齢層によって過ごし方は異なりますが、近年のドイツは新しいものに積極的な傾向があります。日本のような急激なブームではなく、ゆっくりと広がり、定着していく国民性を感じます。
たとえば、今ではドイツ国民に広く受け入れられている寿司などの日本料理も、健康的であるという点から注目を集め、進化を続けながらゆっくりと定着していきました。
もちろん、ビジネスとして継続することは非常に難しい課題ですが、そのきっかけは実は非常に単純で、何年も継続すれば定着するということです。