クアラルンプールは世界で175番目に物価の高い都市 

マレーシア

コロナ禍とウクライナ紛争によるインフレによって、クアラルンプールも一気に物価が上がってきています。

ECAインターナショナル(英国拠点の海外派遣管理の分野における世界的権威)が実施した、最新の生活費ランキングが先日発表されましたが、海外駐在員にとって、クアラルンプールは現在アジアで35番目、世界では175番目(世界207都市中)に物価の高い都市となっています。

今回この記事では、マレーシアで暮らす場合の物価について紹介します。

クアラルンプールは世界で175番目に物価の高い都市  

   著者:マレーシアgramフェロー 佐藤
公開日:2023年7月27日

昨年は163位

昨年の同調査では、クアラルンプールは163位にランクインされていました。

クアラルンプール以外のマレーシアの都市では、ペナン州のジョージタウンが189位、サバ州のコナキタバルが195位、ジョホール州のジョホールバルが198位となっています。

アジアの都市で最も順位が高いのはシンガポールの5位で、60位にタイのバンコク、75位のマニラ(フィリピン)、ジャカルタ(インドネシア)は114位で、東京は前年より5ランク下げて10位という結果でした。

アジアは低コスト

世界の主要都市と比べて、外国駐在員の生活コストはマレーシアでは低いということが表れた結果となっています。

マレーシアを含めアジアの多くの都市がランキングを下げているのは、他の地域と比べて比較的インフレ率が低いことが一因であると、ECA社のアジア地域ディレクターは述べています。

シンガポールのランクが上がったのは、コロナの規制が緩和されたことなどが要因となり、賃貸住宅の需要が増加しているが、供給が追いついていないことが影響していると分析しています。

物価は急上昇

比較的生活費のコストが低いクアラルンプールですが、物価は急上昇中です。食料のインフレ率を見ると、マレーシアでは2022年7月以来、ずっと7%前後で推移していて、スーパーやレストランで支払う金額もぐんぐん増えています。

マレーシア統計局によると、2023年5月の消費者物価指数(CPI)では、2010年を100とした場合130.2となり、前年同月比で2.8%の上昇で、28ヶ月連続での上昇であると発表しました。ただ、上昇率は前月の3.3%と比べて鈍化しており、2022年5月以来、1年ぶりの低水準となっています。最も伸び率が高かったのはレストラン・ホテルの6.7%で、次いで食品・非アルコール飲料が5.9%で、食品の中では肉類が7.8%と高くなっています。また電気代も急激に上がっています。

住みやすい街ランキングでは118位

クアラルンプールは、同じくECAの調査「駐在員にとっての住みやすさランキング」では、2023年は118位となっており、1位はシンガポールでした。

住みやすさの評価項目には、気候や自然現象、インフラや住宅、公共施設の充実度、医療サービス、社会的ネットワークやレジャー施設へのアクセス、個人の安全、政治的緊張などが含まれています。

もはやは安い国ではない

マレーシアは「日本人が住みたい国ランキング」で14年連続で1位を獲得していますが、人気の理由の1ひとつに「物価の安さ」があります。以前は、日本の物価の1/3、あるいは半分といわれていましたが、コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱が原因で物価を押し上げ、さらにウクライナ紛争によるエネルギー価格を中心に世界的物価が上昇しており、マレーシアでも物価が上がってきており、もはや「物価が安い国」とは言えなくなってきています。

リンギット安の影響は?

マレーシア中央銀行は「現在の環境では、外部の動向がリンギに影響を与えているので、リンギ安は経済の状態を反映するものではない」と発表しています。

また、個人消費の好調がけん引して、2月下旬に発表した2022年のマレーシアの実質の国内総生産(GDP)は前年比で8.7%の増加で2000年以来、約20年ぶりの高い成長率であり東南アジア主要国の中では最も高い成長率でした。

2023年の経済成長見通しについても、底堅い民間消費や、雇用者数の増加などが景気を下支えしているため、景気に対しては楽観的な見方を示しています。

日本人の駐在者にとっては、極端な「円安・リンギット安・物価上昇」は避けたいものです。

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