マレーシアの豊かなコーヒー文化
カナダのコーヒーチェーン「ティム・ホートンズ」が2024年8月にマレーシアに進出、2店舗をオープンしました。
マレーシアは、以前紹介したように独特のコーヒー文化をもっていますが、「ティム・ホートンズ」はその競争の激しい市場に新規参入です。
この記事では、このニュースと併せてマレーシアの豊かなコーヒー文化について説明したいと思います。
マレーシアの豊かなコーヒー文化
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年11月7日
カナダの世界的コーヒーブランド
ティム・ホートンズは、カナダの伝説のプロアイスホッケー選手である「ティム・ホートン」が、1964年に最初の店舗をオープンしました。
現在世界中で5,800以上の店舗を運営しており、アジアでは中国の903店舗を中心に、フィリピン、タイ、シンガポール、韓国に店舗を展開しています。
日本の商社丸紅と提携
ティム・ホートンズは、日本の商社丸紅のシンガポールの子会社と契約を結び、シンガポールに進出し、すでに7店舗を展開しています。
同社は、10年以内にマレーシア国内に100店舗を持つこと、2033年までにインドネシアを含む東南アジアに数百店舗の展開し、売上規模で約410億円を目標にしています。東南アジアの消費者向けビジネスを、同社の新たな収益源に育てることを目指しています。
マレーシアの独特のコーヒー文化
マレーシアのコーヒー文化は非常にユニークで豊かです。
その歴史はイギリスの植民地時代に遡り、その影響を強く受けてコーヒーが一般的に消費されるようになりました。一方、地元の伝統的なコーヒー(マレー語でコピ:Kopi)文化も並行して発展しました。特に華人系の文化が強く影響していて、ホーカーセンターや「コピティアム」(伝統的なカフェのマレー語の呼び方)で提供されるコピが定着しています。
市場規模
マレーシアのコーヒー市場は近年急速に拡大しています。マレーシア統計局データによると、
2022年にマレーシア人が消費したコーヒーの平均量は2.2kgで、2017年より5.2%増加しています。コーヒーを飲む量が増えているだけでなく、より高品質の飲料を求める傾向が強まって市場が進化しています。
マレーシアのブランドコーヒーは、過去1年間で約28%増加し、店舗数は3,330店を超えています。この驚異的な成長は2024年には4~5%拡大すると予想され、2027年までに年間成長率5.6%を記録する見込みです。
競争激化のマレーシアコーヒー市場
マレーシアは、スターバックスのような世界的規模のコーヒーチェーンと、「ZUS Coffee」や「Gigi Coffee」、あるいは「Old Town White Coffee」や「Tealive」などの地元発のコーヒーチェーン、そして地元のコーヒーショップが共存する多様な市場を形成しています。
クアラルンプールなどの都市部ではチェーン店が人気を集め、モダンなカフェ文化が発展している一方で、地元のコピティアムも根強い人気を誇っていて、地方では依然として伝統的なコピが主流です。
多文化共生の中でさらなる発展
今回の「ティム・ホートンズ」の進出は、マレーシアの急成長するコーヒー市場への国際的な関心の高まりを反映しています。
経済発展に伴う消費の拡大に加え、中流階級が急成長しています。特にミレニアル世代やZ世代を中心に、コミュニケーションの場としてのカフェ利用が増加し、オンライン注文やデリバリーでの利用の拡大など、コーヒーショップの概念や利用方法の多様化によって、さらなる成長が見込まれています。
マレーシアは伝統的なコピ文化と新しいカフェスタイルが共存することで独自のコーヒー体験が生まれており、この多様性と独特な文化が他のアジア諸国とは一線を画し、独自性を持っています。