ゆるやかな経済成長が続くマレーシア
2022年のアジアの経済成長率ランキング(原典:IMF – World Economic Outlook Databases -2023年10月版)で、マレーシアは成長率8.7%、アジア2位にランクインしています。
上位にいるのはまだ経済発展の途上にある国々で、マレーシアは中所得国としては異例のランクインで、継続して高い成長率を記録しています。
今回の記事では、マレーシアの経済の強みについて深掘りします。
ゆるやかな経済成長が続くマレーシア
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2024年3月21日
2024年の成長率予測 4.3~4.6%
マレーシア経済研究所(MIER)は、2024年の国内総生産(GDP)の成長率が4.3~4.6%になるとの予測を示しています。
パンデミックの影響を受けた観光業の復活が見込まれ、労働市場も電気・電子業界を中心に回復し、経済全体の回復のけん引となると予測されています。
特にジョホールバルとシンガポールとを結ぶ高速輸送システム(RTS)の建設や、計画復活が見込まれるクアラルンプール・シンガポール間の高速鉄道計画など、大型公共事業が見込まれていることから、インフラの整備によって経済がさらに活性化されると予測されています。
アジア地域の成長が鈍化
世界の経済成長をけん引し続けてきたアジア地域の勢いが鈍化しています。
世界全体の経済の成長の約3分の2をアジア地域が占めていますが、パンデミック以前の予測に比べると大幅に低くなっています。
パンデミックの世界的影響によって生産高が後退しているのが原因と見られています。
2024年の経済成長率の予測は、当初の4.4%から4.2%へ下方修正されています。
これは、東南アジアや日本を中心に、世界経済の減速に伴い外需の弱さが見られることや、中国での不動産投資の低迷が影響して投資が鈍化しているためとされます。
1人当たりのGDPも1万ドル超え
2022年のマレーシアの1人当たりGDPは、過去最高の12,364ドルでした。2015年から順調に上昇しています。
2020年には、コロナによる「MCO(活動制限令)」が響いて少し失速したものの、2021年からはまた上昇に転じています。
経済成長率は8.7%と、東南アジアの主要国のなかで最高を記録しており、アジアで最も経済の勢いがある国と言っても決して過言ではありません。
世界銀行が定義している、中所得国の目安上限となる1万ドルはすでに超えており、2026年にも高所得入りが予想されています。
富裕層が増えるマレーシア
マレーシアでは年収と月収は上昇傾向が続いています。
会社員の給与や収入はこの直近10年間上昇し続けており、特にこの5年ほどの上昇率は著しいものがあります。経済格差も少しずつ狭まりつつあり、「総中流化」と言える状態です。
マレーシアの強み
マレーシアの経済成長が継続し、人々の暮らしが豊かになっている要因はどこにあるのでしょうか。
・国民の平均年齢が若い
・税金が低い
マレーシアの平均年齢は約28.5歳と非常に若く、生産人口年齢は約2,200万人、全人口の69.2%と非常に高くなっています。
平均年齢が若く生産人口が多いため、市場に成長の可能性があることがマレーシアの最大の強みであることは間違いありません。
また、マレーシアでは個人にかかる税金が日本などと比較するとかなり低く抑えられています。日本では課税される住民税、相続税、贈与税などがなく、キャピタルゲイン税も原則として課税されません。これも経済成長が持続している大きな要因でしょう。
明るい兆し
他国と比べてもマレーシアはコロナの対応が効果的で、それに対して国民は自信を感じていることを感じます。
また、さまざまなビジネスベンチャーに積極的に関与している新国王が1月に即位したことで、国民が政治や経済について期待や前向きな気持ちを抱くことが予想され、活発な消費行動などに結びつくことが期待されています。