法人税率を抑えた金融特区を設置へ

マレーシア

マレーシア政府は、ジョホールバルで開発が進んでいる人工島に法人税率を0~5%に抑えた金融特区を設けると発表しました。

この法案の実施により、シンガポールとの国境に近いという地理的条件を活用し、人工島があるイスカンダル地域の貿易と観光が促進されると期待されています。

この記事では、「フォレストシティ計画」について再び取り上げて解説しようと思います。

法人税率を抑えた金融特区を設置へ  

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年2月13日

「フォレスト シティ」

「フォレストシティ」は、マレーシアとシンガポールの国境付近に造られた4つの人工島で開発が進んでいる大規模プロジェクトです。

経営破綻が懸念されている中国の不動産開発大手「碧桂園」が手がけていて、ゴーストタウン化しているとも言われています。

イスカンダル計画の一部

ジョホール州の大規模な開発プロジェクト「イスカンダル(Iskandar )計画」は、ジョホール州全体の経済発展を目指して2006年に開始された、ジョホールバルの広域にわたる経済開発プロジェクトです。

シンガポールと接するジョホールの経済発展を促進し、国際的な投資と産業を誘致するために策定されたもので、5つの開発ゾーンに分けられていて、「フォレストシティ」は、イスカンダル計画の一部であり、特に「観光」や「国際的な居住地」の開発が主流です。

特別金融区(SFZ)に指定

2023年に「フォレストシティ」は特別金融区にすでに指定されていますが、これによりシンガポールや周辺地域から投資家や外国人労働者を引き寄せるための政策がさらに強化されています。

裕福な市民が集まる環境に優しい都市

「フォレストシティ」は、裕福な人々が集まり、環境に優しい「森のような」都市を開発するという計画です。最終的には70万人の住民が住む予定ですが、その建設には巨額の費用と数十年の歳月がかかり、イスカンダル地域がどれほど国際的な競争力を持ち、保つことができるかが問われるています。

進むインフラプロジェクト

「フォレストシティ」を含む、イスカンダル計画とジョホール州の将来的な発展に寄与する要素として、現在進められている鉄道プロジェクトや交通インフラの整備が挙げられます。中でも重要なのが「ラピド・トランジット・システム(RTS)」で、2026年に開通予定です。

この鉄道の開通により、ジョホールバルとシンガポール間の移動がさらにスムーズになり、両国間のビジネスや観光客の流れが増加することが見込まれています。

さらに、開通を予定している「クアラルンプール・シンガポール高速鉄道(HSR)」が開通すれば、より多くの通勤者や旅行者がジョホールを利用することが予想され、ジョホール州の不動産市場や商業施設の需要が増加し、都市開発も加速するでしょう。

懸念も残る中での特区指定

マレーシア政府が「フォレストシティ」を金融特区として指定し、法人税率をマレーシアの15~24%、シンガポールの法人税17%と比べても優遇されていますが、依然として「碧桂園」の財政問題は大きな懸念材料です。

プロジェクトの進行も計画よりも大幅に遅れているため、インフラの整備が計画通りに進まなければ、期待される効果が発揮されない可能性もあります。

マレーシアの過去の例からも、経済特区が成功するためには相当強力な政治的意志と長期的なサポートが必要となるでしょう。

今後の数年間で鉄道などのインフラ整備が順調に進めば、フォレストシティを含めたジョホール州全体がシンガポールの経済圏に統合され、さらに大きく発展することが期待できるのではないでしょうか。

Malay Dragon

18,495 views

マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

プロフィール

関連記事一覧