今年は「ヘイズ」汚染が深刻化 マレーシア

2025年7月、マレーシアは再び、スマトラ島とカリマンタン島の森林と泥炭地の火災を主因とする、国境を越えた煙霧「HAZE(ヘイズ)」の到来を迎えました。
ASEAN専門気象センターによると、7月19日から煙の柱がマレー半島の一部に漂い始め、クアラルンプールやジョホールバルなどの都市で視界と空気の質が悪化しました。 そこで今回は、先日クアラルンプールで開かれたASEANでも議題となった、東南アジアで深刻化している煙霧「ヘイズ」について解説します。
(引用元:2025年の煙害(ヘイズ)の深刻化リスク、2024年から引き上げ | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/07/052f9c6f28437632.html)

今年は「ヘイズ」汚染が深刻化 マレーシア
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年 9月23日
なぜヘイズが発生するのか?

ヘイズの主な原因は、インドネシアのスマトラ島およびカリマンタン島の森林や泥炭地における焼き払いです。特に泥炭地は炭素を豊富に含み、乾燥すると極めて燃えやすく、通常の火災より大量の粒子状物質(PM)や黒炭(black carbon)を放出し、毎年問題になっています。
なぜマレーシアで深刻化するのか?
なぜ「ヘイズ」はマレーシアで深刻化するのでしょうか。
マレーシアでは毎年乾季(主に7〜10月)になると南西モンスーンにより、インドネシアの煙がマレー半島へ流入しやすい構造になっています。
今年は7月中旬以降、インドネシアのスマトラで多数の火災が確認されており、煙が西マレー半島へ漂着し大気が急激に悪化しました。
なぜ今年は特に深刻なのか?
2025年は乾季が比較的短く、穏やかであると予想されていました。
7月中旬にはスマトラで相次いで火災が発生し、モンスーンの影響により「中程度のリスク」のヘイズが発生がしました。
その背景には農産物価格の上昇や森林破壊の進行があり、これにより焼き払いによる土地の転用が増えたものと推測されています。
2025年後半も「中程度のリスク」継続と見られ、7〜10月の乾季が進むにつれ、さらなる悪化が懸念されています。
マレーシアの生活への影響
マレーシア国内の生活への影響も出ており、深刻化が懸念されています。
特に健康面では、API(空気汚染指数)が100を超え、「不健康」水準に到達する日が多くなっています。呼吸器症状や目・喉の刺激、慢性疾患の悪化リスクの増大があります。
日常生活でも、視界不良による交通(陸・海・空)の混乱、屋外作業や運動イベントの中止や制限、観光の落ち込みなどが予想されています。過去には学校閉鎖も発生しており、政府は大気汚染指数が200を越えた時点で、全国の学校はオンライン授業に切り替える方針を発表しています。
経済的損失もあり、1997年のヘイズではASEAN域内で約90億ドル(約1兆5,000億円 )の損失、2015年にも数十億ドル規模の損失が報告されています。
ヘイズ中の注意事項
マレーシアを訪れる予定の方は、以下の点に注意した方がいいでしょう。
・屋外では認定されたマスク(N95またはKF94)を使用してください
・公式アプリ(MyIPU、IQAir)を使用してAPI / AQIを毎日確認してください
・汚染指数が100を越えた場合、屋内に留まり、窓やドアを閉めてください
・空気清浄機を使用してください
・水分補給のために水をたくさん飲んでください
求められる対策
煙害はもはや単なる季節的な不便ではなく、公衆衛生上の脅威です。
私たち自身では火災を止めることはできませんし、エルニーニョなど気象変動が乾季を長期化・激化させる傾向にあり、将来ますます深刻化のサイクルに入る可能性があると考えられます。
しかし、最新情報を入手して私たちの家と健康を守ることは可能です。
各々でのできる限りの対策を求められています。