2024年投資額 3,785億リンギットで過去最高を記録

マレーシア投資開発庁(MIDA)が発表した最新データによると、マレーシアは2024年に承認した投資額3,785億リンギット(約12兆7,600億円)で過去最高額となり、前年比で14.9%増加したと発表しました。
データセンターなどの大型投資が続いているマレーシアですが、投資での好調ぶりがうかがえます。
そこでこの記事では、マレーシアへの投資が順調である要因などについて解説します。

2024年投資額 3,785億リンギットで過去最高を記録
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年7月28日
IT企業の投資がけん引

マレーシアは昨年、Googleを含む大手テクノロジー企業から多数のデジタル投資を受けました。これらのIT企業からの投資の増加が市場予想を上回る成長を支え、経済の推進に貢献し、通貨リンギットは2024年にアジアで最も好調な通貨のひとつとなりました。
アジズ投資貿易産業大臣は、承認された投資総額のうち2,081億リンギが国内投資家、1,704億リンギが外国投資によるものだと述べ、マレーシアは産業成長目標の達成に向けて順調に進んでいると説明しました。
外国投資は45%でアメリカがトップ
国内投資が2,081億リンギットで55%を占め、外国投資は1,704億リンギットで45%を占めました。上位5カ国の投資国は、米国、ドイツ、中国、シンガポール、香港で、合計で1,289億リンギットを投資しました。
投資先としてはセランゴール州が1,011億リンギットで最も多く、次いでクアラルンプール(915億リンギット)、ジョホール(485億リンギット)となっています。これら3つの州とケダ州・ペナン州だけで総投資額の84.3%を占めています。
雇用を創出
大臣は、これらの数字よりも、承認された投資がマレーシア国民に 207,000 以上の高賃金の雇用を創出し、企業、特に中小企業に真の機会を生み出したことの方が重要だとし、持続可能で高付加価値の産業に投資された投資は、相乗効果を生み出し、経済を強化するだろうと期待を述べています。
2025年も好調を継続
「今年は地政学的な不確実性が多く厳しい年になるでしょう」と大臣は述べましたが、国内投資の活発化と、電気・電子やデジタル経済などの高成長分野への持続的な関心が、投資の勢いを引き続き牽引し、企業は次の3カ月間は安定した事業環境を予想しています。
複合的な要因
マレーシアの投資認可額が2024年過去最高を記録した背景には、地理的、社会的、政策的、地政学的、そして世界的な政治情勢が複合的に影響しています。
「社会的事情」
マレーシアは多民族国家であり、多様な文化背景を持つ労働力が存在します。また、平均年齢が若く、労働力の供給が豊富であることも投資家にとって魅力的な要因となっています。
「政策的事情」
政府は積極的な投資誘致政策を展開しています。
例えば、マレーシア投資開発庁(MIDA)は、製造業やサービス業への投資を促進するために優遇策を進めています。2024年第1四半期には、製造業への投資認可額が前年同期比で2.6倍となり、430億リンギに達しています。
「地政学的事情」
米中対立の影響で、多くの企業がサプライチェーンの多様化を図っています。
マレーシアは安定した政治環境と戦略的な立地から、製造拠点として選ばれるケースが増えています。特に、電気・電子産業への投資が活発化しており、2024年第1四半期の製造業への外国投資認可額の約90%がこの分野に集中しています。
引き続き魅力的な市場
2025年のマレーシアの投資認可額は昨年同様に堅調に推移するものの、世界的な経済情勢や地域の競争状況を考慮すると、成長率はやや鈍化する可能性があるとされています。
しかし、政府の積極的な政策や地理的な優位性、多様な労働力といった強みを活かすことで、引き続き投資家にとってマレーシアは魅力的な市場であり続けるでしょう。