スマートシティ先進国 シンガポール

シンガポール

2022年8月、3年ぶりに日本に帰国しました。その時に感じたのは、日本入国時から出国するまでのあらゆる手続きにかかる手間と時間の長さでした。帰国申請も煩雑で、そのために多くの日本人が帰国をためらっていました。
特に、マイナンバーカードを申請した際に、申請から入手するまでに最低3か月かかるという事実には正直絶句しました(結局入手できませんでした…)。
一方、スマホの操作だけで迅速かつ簡潔に手続きが行えるシンガポール。改めてそのユーザーファーストなサービスと簡潔な業務体制の両立には感嘆を覚えます。
そこで今回は、シンガポールのスマートシティ先進国ぶりについて解説します。

スマートシティ先進国 シンガポール

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon 
公開日:2023年1月19日

スマートシティランキング1位

スイスのビジネススクールであるIMDによる「IMD Smart City Index(スマートシティランキング)」では、シンガポールは2021年に3年連続で1位を獲得しています(東京は日本トップで世界84位)また、アメリカのBloombergが発表している「イノベーション指数」でも2021年に2位を獲得するなど、スマートシティやイノベーション関連のランキングにおいては必ず上位に選出され、高い評価を得ています。また、テック企業世界トップ100の8割以上がシンガポールに事業所を構えています。

「Smart Nation(スマートネーション)」

リー・シェンロン首相は、2014年に「Smart Nation」構想を発表し、その後国を挙げて取り組んでいます。この構想は「より良い暮らし、より多くの機会、より強固なコミュニティ」を実現することを目的にスタートしています。

スマートネーション構想では特に重要な以下の5分野に注力しています。
・都市生活(Urban Living)
・交通(Transport)
・健康(Health)
・電子政府(Digital Government Services)
・企業・ビジネス支援(Startups And Businesses)

行政サービスを中心にデジタル化が進んでいるのはもちろん、今回のコロナ禍を経験しての未曽有の危機への対策が功を奏し、それをきっかけに上記5分野でのデジタル化・スマート化が急速に進んでいます。

デジタル化への本気度

シンガポールに入国すると感じるのは政府のデジタル変革に対する本気度です。入国手続きにしても、私自身の日本帰国時とは違って、スマホ操作だけでスマートで快適に手続きが進む環境でした。

現在、大型スマートシティプロジェクト「Tengah Town(テンガータウン)」が政府主導で進行中で、西部で開発が進むこのスマートシティは、約4万世帯、10万人以上が暮らす予定で、最新のエネルギー管理システムが住宅に導入にされるなど、スマートテクノロジーを街全体に計画的に導入したシンガポール初の公共団地で、2023年にも入居開始予定とあって注目が集まっています。

また、以前の記事でも紹介しましたが、キャッシュレス化から食料政策、観光対策など、小国の都市国家だからこそできる徹底ぶり、本気度は潔いほどです。

サステナブルな街づくり

シンガポールはアジア随一の「エコ先進国」で、政府がサステナビリティ推進に力を入れており、先進的な取り組みが多数行われています。サステナブルな街づくりにおいても、シンガポールのスマートシティ政策は大きく貢献しています。

シンガポールは持続可能なスマートシティを目指し、「生きた実験室」として、シンガポールに暮らす600万人もの人々の生活の効率と快適さを向上させるのに役立つスマートシティ技術をシンガポールで試験し、開発する取り組みを企業に強化しています。

清潔で安全な環境

地下鉄での飲食や路上のポイ捨ては厳禁、罰金制度があり、街が安全できれいに保たれているシンガポールは、物価は高く生活費もアジア諸国の中では抜きんでて高いです。世界生活費ランキングでも2位と厳しい面もありますが、デジタルを活用したインフラが整い、清潔で安全な環境は日本人にとっても暮らしやすい国であることに間違いはないでしょう。

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