クアラルンプール市が新たな15ヶ年計画を発表

クアラルンプール市の新たな15ヶ年計画を発表しましたが、この計画では、建物の大きさと高さの制限を設定し、2040年までに都市の改善を図るため、敷地比率の優遇措置などが盛り込まれています。
この計画は、マレーシアの国家戦略と調和しつつ、地域や国際的影響も視野に入れた構想です。
今回は、この新たな計画の詳細をいろいろな視点で解説します。
(引用元:GREENER HORIZONS | The Star
https://www.thestar.com.my/metro/metro-news/2025/07/31/greener-horizons)

クアラルンプール市が新たな15ヶ年計画を発表
著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2025年12月23日
クアラルンプールの都市変革目標の設定

この計画は今後15年間のクアラルンプールの開発の指針となるもので、市内中心部の商業地区の敷地面積比率を1:10に制限し、主要な商業、商取引、および多目的利用地区は最大1:8に制限されています。
成長と持続可能性を目指す
クアラルンプールのマイナム市長(現在は新市長)は、成長と維持、近代化と包摂性、進歩と持続可能性のバランスがとれた都市を築くために、この計画を策定したと発表しました。
またマイムナ市長は、約7,400万平方メートルの商業用床面積が都市の経済成長を支援し、最大120万人の雇用機会を創出することを目標としていると述べました。
成立の背景
マレーシアは11〜12次の5年計画「Malaysia Plan」を通じて全国的な発展を進めてきました。2011‑20年ビジョン、2021‑50年の長期ビジョン「NTP2050」といった大方針の下、中間的に地域戦略を描いています。
大都市クアラルンプールでは交通渋滞や郊外化によるエネルギー・インフラ負担増加などの課題が多発しています。
2023年に完成した超高層ビル「Merdeka 118」、TRX地区などの象徴的開発が契機となり、更なる都市再構築の必要性が認識され、今、都市政策の転換点を迎えています。
マレーシア経済への影響
この再開発計画は、新しい商業・オフィス機能の形成に加え、交通整備による生産性を向上させ、さらにインフラ投資と雇用創出をもたらすと期待されています。
また、ASEAN内での投資環境整備の流れを整備することで、質の高い外国直接投資(FDI)を呼び込む誘因になると注目されています。
ただ、再開発で地価上昇が見込まれる一方で、民間のデベロッパーには再開発費用の負担や低所得層の住宅価格の圧迫リスクが指摘されています。
成功のキーポイント
この15ヶ年計画「KLLP2040」が真に意味ある成果を上げるためには、単なる都市の再開発にとどまらないためには、以下の点が成功の鍵と考えられます。
まず交通と住宅の統合的な設計が重要です。駅周辺を単なる移動拠点ではなく、暮らしやすい生活のハブとして再設計することが求められます。通勤や通学のストレスを減らすことで、都市全体の生産性と幸福度の向上にもつながります。
第二はインセンティブの設計で、中小の開発事業者や低所得層にも手が届く制度設計を行うことで、真の共生都市を実現することが重要です。
さらに、透明性とガバナンスの確保も重要です。都市計画の進捗が一部の関係者の間でブラックボックス化されると、市民の信頼を損ねてプロジェクトが頓挫しかねません。市民参加型のモニタリングやフィードバック制度の整備などが、持続的で柔軟な運営を可能とするでしょう。
周辺地域との連結性の強化
この計画がクアラルンプールだけの計画で終わるのではなく、マレーシア・ビジョン・バレーなどの近隣経済圏と連動して、その効果は最大化されます。都市単体の成長ではなく、地域全体のバランスある発展があってこそ、真の都市改革が成立するでしょう。
さらに誇りの持てる都市へ
この15ヶ計画の成功は、物理的な再開発よりも、いかに人間中心の都市を目指せるかにかかっているでしょう。
未来のクアラルンプールが、誰もが住みやすく働きやすい、そして誇りを持てる都市となることを期待しています。
新市長の手腕が試されることになりそうです。


















