KLIA第2ターミナル改修

マレーシア

私はこれまで、クアラルンプール国際空港第2ターミナル(以下klia2)を何度も使ってきました。

LCC利用、早朝便、深夜着、出張、日本への一時帰国――

そのすべてを経験した立場から言うと、今回の改修は「やっとここに手を入れるか」という部分が多いのも事実です。詳しく紹介していきましょう。

(引用元:KLIA T2 upgrades comfort | The Star
https://www.thestar.com.my/news/nation/2025/12/10/klia-t2-upgrades-comfort

KLIA第2ターミナル改修 

   著者:マレーシアgramフェロー Malay Dragon
公開日:2026年02月19日

klia2は「便利」だが「疲れる」空港だった

klia2は、決して悪い空港ではありません。

むしろLCC専用としては規模も大きく、商業施設も充実しており、世界的にも評価の高い空港です。

ただ、長年使って感じてきたのは「とにかく歩かされる」「動線がわかりにくい」「暑さと湿気が残る」この3点でした。

特に乗り継ぎや高齢者、子ども連れには厳しいです。空港は国や都市の玄関口ですが、klia2はこれまで正直”覚悟して使う場所”だったと思います。

16項目改修が意味する「方向転換」

今回の改修内容は

・空調
・照明
・トイレ
・案内表示
・保安検査周辺

といった、利用者のストレスに直結する部分が中心です。

これは非常に象徴的です。新しいものを派手に作るのではなく、使われ方を見直す段階に入ったということだからです。

マレーシアはここ数年、インフラの考え方が少しずつ変わってきました。それは、やっと「量から質へ」「建設から運用へ」と進化しているということです。今回のklia2の改修は、その延長線上にあります。

『Visit Malaysia 2026』とは何か

ここで少し、「Visit Malaysia 2026」について紹介しておきたいと思います。

これは単なる観光プロモーションではありません。マレーシア政府が掲げる、ポスト・コロナ時代の国の顔づくりとも言える国家的キャンペーンです。観光客数の回復はもちろんですが、狙いはそれだけではありません。

滞在の質、再訪率、地方への波及、多民族国家としての魅力の再提示——

「数を呼ぶ」から「記憶に残す」へ、軸足を移そうとしています。

だからこそ、空港・公共交通・都市の第一印象が、これまで以上に重視されています。

klia2の改修もその大きな流れの一部として見ると、意味合いがはっきりしてきます。

最初に訪れる場所が空港である以上、ここが「暑い・疲れる・わかりにくい」では話にならないでしょう。

私は長年、マレーシアは中に入ると良さがわかる国だと感じてきました。だからこそ、入口の印象を整えるという今回の動きは正しいと感じています。

チャンギ空港との比較で見えてくるもの

どうしても比較されるのが、シンガポールのチャンギ空港です。正直に言えば、完成度ではまだ差があります。

ただ、マレーシアが目指すべきなのは「チャンギになること」ではないはずです。マレーシアらしい余白、多民族が行き交う雑多さ、少し不器用だけれど人の温度がある空間。そんなマレーシアらしさを残したまま、不便さだけを削る。klia2改修はその方向を選んだように見えます。

感じる、静かな期待

私自身、やっと観光客に胸を張って迎えられる準備が始まった、そんな感覚を持っています。

空港は完成した瞬間がゴールではありません。使われ続け、直され続けて、ようやく育つ場所です。2026年、klia2が少しずつ通過点から歓迎の場へ変わっていくなら、それはこの国に長く住んできた者として素直にうれしい変化です。

派手さはなくてもいい。まずは、疲れない空港へ。マレーシアが次の段階に進もうとしている、今回の改修はその静かな合図なのかもしれません。

Malay Dragon

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マレーシア・シンガポール在住のgramフェロー 経済上から時事ネタ、現地のマナーまで幅広く執筆。

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