中国で浸透している乳製品:急速に拡大するヨーグルト市場

中国

「牛乳とヨーグルトは必需品だからないと困る」と、現在ロックダウン中の上海市に住む中国人の友人が話してくれた。近年、中国では経済成長とともに乳製品の国内生産と輸入量が増加し、中国の食卓に乳製品が浸透している。当記事では乳製品のなかでも、健康志向ブームで急速に拡大しているヨーグルト市場に焦点を当てて紹介する。

中国で浸透している乳製品:急速に拡大するヨーグルト市場

   著者:上海gramフェロー 米久 熊代
公開日:2022年5月14日

中国人に浸透している乳製品

実際に政府から配給されたCalbeeのフルーツグラノーラ

上海市のロックダウンは当初予定していた5日間を大幅に超え、5月2日現在も厳しい外出制限が続いている。筆者の小区では政府からの配給が数回あり、内容は野菜や米、肉などが中心で、ティッシュなどの日用品もあった。つい最近だと、日本では朝食でおなじみのフルーツグラノーラが配給された。日本と同じように中国でも牛乳やヨーグルトに混ぜて食べるのが一般的で、マンションの住民約300人が参加しているグループチャットでは好評だった。

团购で購入した「簡愛」のヨーグルト。無糖低糖、無添加を売りにしている低温調理のヨーグルト。他ブランドのヨーグルトは人気がないなか、簡愛のヨーグルトは1時間ほどで完売。筆者は2回目の販売で手に入れることができた

政府の配給だけでは生きていけないため、团购(マンションの住民で団体購入)を利用して食料を調達する。团购には野菜や肉などのほか、コーヒーなどの嗜好品もある(住居によって購入できるものは違い、团购がない場所もある)。筆者が住んでいるマンションの团购は野菜の次ぐらいに牛乳の出品頻度が高く、1本辺り50元(約1,000円)と高級なものでも購入する人が多い。また、ヨーグルトの人気も高く、購入するか迷っている間にすぐ売り切れてしまう。牛乳やヨーグルトなどの乳製品は中国人の生活に欠かせないものとして浸透している。

中国で拡大し続けるヨーグルト市場

中国の乳製品の販売量は2020年に6,385億に達し、これは2019年に比べて0.9%の増加である。過去14年間の複合年間成長率は約10%だった。また、ヨーグルト産業の総市場規模は過去7年間で拡大し続けている。 2020年の中国のヨーグルト市場の売上高は、2013年の616.8億元に対し1,507億元と、7年間の複合成長率は13.6%にもなる。

引用:关注华经情报网 https://m.huaon.com/detail/766659.html

2021年に消費者が最も購入したい乳製品の1位は牛乳(86%)、2位はヨーグルト(85%)と僅差だった。 供給側では、2021年のヨーグルト製品の数が牛乳および乳飲料の数をはるかに上回り、消費規模が過去2年間でなんと90%も増加した。

また、「ヨーグルト+果物」の組み合わせが近年若者の間で非常に人気があり、特にベリーと黄桃のフレーバーは2021年に果物ヨーグルトのなかで最も人気のあるものに選ばれた。しかし、コストが高く保存技術などの問題があり、市場に出回っているほとんどの果物ヨーグルトの味、品質を保証するのが難しい状況だ。
(引用:CBNData https://www.cbndata.com/information/219236

健康志向ブームでコロナ禍前からヨーグルトに注目する中国人消費者は増加傾向にあった。また、2016年に国を挙げての健康政策「健康中国2030」が打ち出され、国民一人当たり1日300gの乳製品を摂取するよう推奨している。ヨーグルトは牛乳よりも栄養価が高く、乳酸菌は美容や健康に良いという認識と需要が年々高まっているのだ。このヨーグルト市場の波にのって、明治が「明治プロビオヨーグルト」の販売を中国で開始した。筆者の自宅近くのスーパーでは、明治の特設ブースを設置して販売されているのが印象的であった。

まとめ

中国では業界のトレンドは日を追うごとに急速に変化し、ヨーグルト市場でもブランド間の戦いはさらに激しくなると予測される。中国の乳製品市場は急速に拡大しているが、一人当たりの消費量は依然として世界平均よりも低い。今後も発展する余地が十分にある市場といえるだろう。

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